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かっぱ寿司社長、辞任。新社長が会見「不正競争防止法に対する認識の不足があったのでは」
2022年10月3日 18:28
- 2022年10月3日 会見
かっぱ寿司の運営会社「カッパ・クリエイト株式会社」は10月3日、記者会見を開催した。代表取締役社長であった田邊公己氏と社員1名が不正競争防止法違反の疑いがあるとして9月30日に警視庁によって逮捕。さらに10月2日に同法の両罰規定により、カッパ・クリエイトが書類送検されたことを受けてのもの。
同日に田邊公己氏は責任をとる形で代表取締役社長・取締役を辞任したい旨の申し出があり、取締役会としてこれを受理しており、新任の山角豪（やまかど つよし）氏と、取締役 経営戦略本部長（マーケティング担当）の久保田令氏、取締役 営業本部長（店舗運営担当）の石川恵輔氏が会見に出席し経緯が説明された。
新任の山角氏は2020年6月から「ステーキ宮」や「にぎりの徳兵衛」などを展開する「株式会社アトム」の代表取締役社長を務めており、兼任となる。兼任については、PCや電話、執務スペースなどをわけるといった“物理的に情報を遮断する”ことを行ないつつ、経営の監督を実施するという立場に専念するとしている。
事件の背景には「不正競争防止法に対する認識の不足があったのでは」
前代表の田邊氏は、ライバル会社「はま寿司」在籍中の2020年8月中旬当時、担当していた海外寿司事業で活用するため、職務として、メニュー原価表及び仕入先データを業務用PCに保存し、前職を退職するに際しては、当該データに限らず、自らのPC内に保存されていた資料を、前職の社員に依頼のうえ、USBメモリーとして受領したという。
そして田邊氏がカッパ・クリエイト顧問であった2020年11月当時、カッパ・クリエイト社員1名に資料として渡され、それをもとに、商品原価に関する比較表の作成指示がなされた。当該社員は、比較表を作成し、田邊氏に資料を送付し、その際に当時の上司である本部長と部下1名にCCなどで共有されている。
これらについてカッパ・クリエイトは、田邊氏に情報の持ち込みを依頼・指示したり、仕入データなどの取得を依頼したりした事実は一切ないとしている。また、この作成された比較表などにもとづいて、社内的に新たな商品の開発や仕入先の変更といった具体的な活用がなされた形跡ないともしている。
ただし、これらのデータが社外から持ち込まれていること自体があってはならないことであり、深くお詫び申し上げると山角氏は頭を下げた。競争環境の厳しさが事件の背景にあったとはヒアリング調査からは確認されておらず、「不正競争防止法に対する認識の不足があったのでは」と述べた。
不正を認識したタイミングは、2021年6月下旬の強制捜査を受けたタイミングだったという。
前代表・田邊氏のカッパ・クリエイトへの入社経緯
当時、コロワイドグループ全体として大手人材紹介会社を通じて、幹部人材候補を社外から複数名募集し、田邊氏はこの過程において転職サイトへの登録者として紹介を受けた1名だった。
前職在籍時に複数の上場会社の責任者を経験していることから、マネジメント力に期待して、採用することになった。
この際の内部的なプロセスとして、コロワイドグループから当時のカッパ・クリエイト社長に対して、幹部人材として田邊氏に関する打診があり、当時の社長がこれを了承したことで、採用及び配属が決定された。
田邊氏の採用に関するオファーレター（内定通知）は2020年8月26日に送付しており、当時候補者だった田邊氏とのやり取りは人材紹介会社を通じて行なわれており、それ以前に前代表に対して役員就任の打診をしたことはないという。
今回の前代表より持ち込まれた情報と、カッパ・クリエイトとしての採用の意思決定については何ら関係していないとしている。
カッパ・クリエイトが示した再発防止策
1. 不正競争防止法に関する理解の徹底及び営業秘密管理の徹底
・専門家による営業秘密に特化した研修及び誓約書の提出
・秘密情報区分の制定及び資料への明記による管理意識の浸透
・USB等の外部記録媒体の原則使用禁止
・入社時誓約書を通じた営業秘密持込禁止(既存社員全員についても誓約書取得)
2. コンプライアンス教育の推進
・従来実施しているコンプライアンス研修に加え、本社系・店舗系各々で関連する法令研修を追加し、遵法意識の醸成・定着を強化する。
・採用教育部における研修体制・運用状況に対し、グループコンプライアンス統括室によるモニタリングを実施し、コンプライアンス研修の実施状況を担保する。
