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三ツ矢青空たすき、黒部ダムで自然の恵みを体感するツアー開催

2025年7月5日 取材
アサヒ飲料、かんでんエルファーム、関西電力が黒部ダムを舞台に「自然の恵みを五感で体験する1日ツアー」を開催

 アサヒ飲料、かんでんエルファーム、関西電力の3社は7月5日、黒部ダムを舞台に「自然の恵みを五感で体験する1日ツアー」を開催した。

 アサヒ飲料では、自社の商品が自然の恵みに依存しており、130年以上の歴史を持つ日本生まれの炭酸飲料の「三ツ矢サイダー」が長きにわたって世代を超えて親しまれていることから、さまざまな体験を通じて次の100年に向けて日本の自然や文化を伝えていく「三ツ矢青空たすき」という活動を展開している。

 一方、関西電力の第1号ベンチャーとして2000年に設立されたかんでんエルファームでは、これまで焼却廃棄されるだけだったダムに漂着した流木を畜産資材や堆肥などに加工して再生する事業を手掛けている。

 今回のツアーは、関西電力が水力電源開発事業の一環として開発し、現在は観光資源としても活用されている黒部ダム周辺を舞台に3社のコラボレーションによって実現した特別な体験を提供しようというもの。

 事前の抽選募集に当選した10組19名の参加者は、9時前に長野県大町市の扇沢レストハウスに集合し、オリエンテーションを受けた後、電気バスに乗り込んで黒部ダムへ。

扇沢レストハウスでオリエンテーション
電気バスで黒部ダムへ

 黒部ダムに到着すると、通常は一般公開されていない「ケミカルトンネル」に案内され、黒部ダムの建設当時の様子を映像で振り返りながら、掘削機械や歩荷が担いで歩いたという背負子に触れ、難工事の一端を体感した。

ケミカルトンネルの中で建設当時を映像で振り返る
掘削機械を体験。実際の1/5のパワーに抑えているとのこと
歩荷の背負子。実際には80kgほどのものを担いで歩いたという

 そしてダムの堰堤に移動し、流木の引き上げ作業の様子をレクチャーを受けながら見学。引き上げられた流木の多くは木質バイオマスに加工する形で再生されているが、黒部ダムのスケールの大きさに比例して巨木が漂着することもあるという。かんでんエルファームでは飛騨の木工職人たちの手を借りて工芸品に加工し、「クロベのキセキ」として商品化している。

ダムの堰堤で流木の引き上げ作業を見学
発電所用の取水口を塞がないように流木を取り除く必要がある
ボートで引き上げ用の籠に流木を集める
クレーンで引き上げ
大きな流木はトラックに積んで運べるサイズに切断する
工芸品に加工する取り組みも。一部はレストハウスでも販売されている

 午前中の行程はこれで終了。参加者は大迫力の観光放水を眺めたり、レストハウスで名物の「黒部ダムカレー」に舌鼓を打ったり、思い思いの形で昼食休憩を楽しんだ。

実はしっかり辛い「黒部ダムカレー」

 午後はダム展望台で流木を組み合わせてコースターを作るワークショップでスタート。一口に流木と言っても、いろんな種類の木々があり、色形もさまざまだ。参加者はあらかじめ四角く加工されたピースを組み上げ、自分だけのコースターを作って楽しんだ。

ダム展望台でコースター作り

 その後、黒部ダム周辺の自然を熟知したネイチャーガイドの案内の下、2時間ほどのトレッキングツアーへ。山の天気らしく、時折強い雨が降るなかでのトレッキングとなったが、この地に多く育つクロベ(ネズコ)をはじめ、個性豊かな自然の世界を満喫した。

ネイチャーガイドの案内で黒部ダム周辺のトレッキング

 最後はレストハウスでの昔ながらのフルーツポンチ作り。フルーツが入ったカップに三ツ矢サイダーを注いで手軽にフルーツポンチが作れることを再確認しつつ、さっぱりとした甘みで歩き回った疲れを癒やした。

レストハウスでフルーツポンチ作り
「くろにょん」も駆けつけた
参加者には3社からのおみやげも手渡された

 どの参加者も雄大な自然のなかでの特別な体験の思い出を心に刻んだようで、笑顔で帰路に着いていた。

 2回目は8月23日に開催される予定で、7月22日17時まで応募を受け付けている。参加費は1名3500円で、現地集合・現地解散となるため、別途交通費などが必要になる。

 今回が3社での初めての取り組みということもあり、来年以降の開催については今年の反響を踏まえて検討していくとのこと。黒部ダム下流の黒部川のほとりにはアサヒ飲料の北陸工場もあることから、新たな観光ルートとして開発中の「黒部宇奈月キャニオンルート」が旅行商品化されれば、工場見学と組み合わせた体験ツアーが実現するかもしれない。