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ネスレ、トヨタの戦略的仮眠ツールで“コーヒーナップ”を提案
2025年8月19日 17:31
- 2025年8月19日～
ネスレ日本は、東京・原宿の「ネスカフェ 原宿」（東京都渋谷区神宮前1-22-8）内にトヨタ自動車が開発した戦略的仮眠ツール「TOTONE（トトネ）」を設置し、コーヒーと組み合わせて最適な昼寝を実現する“コーヒーナップ”を体験できるようにする。
ネスレでは、2017年からカフェインを含んだコーヒーやカフェインレスのコーヒーの飲み分けを通じて良質な睡眠習慣を学べる場として「ネスカフェ 睡眠カフェ」を展開。2023年には立ち寝スタイルの仮眠用ボックスを設置するなど、さまざまな切り口の提案を行なってきた。
今回設置されたTOTONEは、クルマの空間やシートの快適性を追求するトヨタのノウハウを活かして開発された仮眠用シートとなっており、入眠から覚醒までをスムーズかつ快適に進められるように設計されている。
シートヒーターでじんわりと体を温めたり、エアクッションの動きで眠りに落ちやすい揺れを起こしたりすることで入眠をサポート。頭部壁面にはスピーカーが内蔵されており、リラックスできる音楽が静かに流れ、3層構造のクッションが体を包み込み、質の高い睡眠を実現。覚醒のタイミングでは、エアクッションを大きく膨らませて背中をストレッチするとともに、朝日がのぼるように光で空間内を照らし、自動的にシートを起こすことでスッキリと目覚められる。
睡眠や眠気を研究する広島大学大学院人間社会科学研究科 人間総合科学プログラム 教授の林光緒氏によれば、人間の眠気には半日周期の体内リズムがあり、14時～15時頃はとくに眠気が起きやすい時間帯だという。
眠気が高まると意欲や集中力の低下が起き、ミスを誘発する可能性が高まることから、適切な形で昼寝をとることで、夜の睡眠を妨げず、午後のパフォーマンスを維持できるとする。
ただし、長時間の昼寝は禁物。眠りが浅すぎると寝足りない状態になるが、深すぎると覚醒のスイッチが入りづらく、「まだ眠たい」といった不快感が残り、作業効率が低下してしまう。さらに、昼寝でしっかりと深睡眠の時間をとると、夜間睡眠を妨げることになり、これが翌日の強い眠気につながる負のスパイラルに陥りやすくなる。
このため、林氏は良質な昼寝を実現するには、眠りの深さ、長さ、時間帯がポイントになると指摘。15分～20分の昼寝が最も効果的だと説明する。
眠りを妨げるとされるカフェインも、血液中の濃度が最大になるまでに15分～20分程度の時間を要する。昼寝の前にコーヒーを飲むことで、ちょうど起きたところで覚醒作用が働くことから、コーヒーと仮眠を組み合わせる“コーヒーナップ”は理に適っているという。
ネスレ日本 飲料事業本部 レギュラーソリュブルコーヒー＆液体飲料ビジネス部の岩渕聡氏は、「TOTONEを導入した航空会社の事例を見て、個人的に寝てみたいと思った」と両社のコラボレーションのきっかけを振り返る。トヨタ側に話を持ちかけていくなかで、法人向けのリースの形でしか体験できないのはもったいないとの思いから、自社で展開する睡眠カフェのなかで一般の消費者が体験できる場を設けることにした。
今回の取り組みでは、ネスカフェ 原宿 2階のカフェスペースにネスカフェ仕様のTOTONE 1台を8月19日～9月23日まで、3階の睡眠カフェに標準仕様のTOTONE 2台を8月19日～12月18日までの期間限定で設置。コーヒー1杯とあわせ、30分程度のコーヒーナップ体験を825円で提供する。
体験するには専用サイト上での予約が推奨されているが、空きがあればその場で体験を申し込むこともできる。なお、TOTONE利用者限定のメニュー「きなこのブランマンジェとコーヒーゼリー」（650円）も期間限定で提供される。
トヨタ自動車 先進モビリティシステム開発部 TOTONE-Zグループの加藤彩綾氏によれば、同社として長年蓄積してきた技術をクルマの内外で活用することで、さまざまな社会課題の解決を図りたいと考えるなか、睡眠不足が労働生産性の低下を招いたり、交通事故の原因になったりするとして、脳疲労を回復できるパワーナップ（仮眠）に着目。効果的に仮眠が行なえる“戦略的仮眠ツール”としてTOTONEを開発したという。
実際にTOTONEでの昼寝を体験してみると、限られた空間でありながらも圧迫感なく、快適に眠りに落ちやすく工夫されている。シートの寝心地（座り心地？）も快適で、クルマメーカーならではのノウハウが注ぎ込まれていることが分かる。
最近はカーシェアも普及しているが、クルマにこの機能が搭載されていれば、30分だけ借りてコーヒーを持ち込んで昼寝する、といった形で新たなビジネスチャンスにつながる可能性もあるだろう。
ネスレでは、今回のコラボを通じてコーヒーナップの有用性を体験してもらいながら、TOTONEを導入する企業に対してネスカフェのコーヒーメーカー「バリスタ」などの併用もアピールしていきたいとしている。
