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Oisixが高温耐性米の取扱を拡大、少規格の食べ比べセットも用意

2025年10月23日 発表
Oisixが高温耐性米の取扱を拡大

 Oisix(オイシックス・ラ・大地)は10月23日、高温耐性米の取扱を拡大すると発表した。

 Oisixでは、「つくった人が自分の子どもに食べさせられる食材のみを食卓へ」をコンセプトにサブスクリプション方式で食品を宅配するサービスを提供しているが、近年の気候変動に伴い、今後も安定した品質の食材を提供していくため、暑さに強い高温耐性米に着目し、3年前に2品種の販売をスタートしていた。

 農業・食品産業技術総合研究機構・中日本農業研究センターグループ長補佐の梶亮太氏は、高温環境下においても育てやすい高温耐性米の開発に取り組んでいるが、2023年の猛暑を振り返り、米粒が白く濁る「白未熟粒」が多くなるという問題が発生していたことを紹介。

(左から)オイシックス・ラ・大地 執行役員 商品本部長の冨士聡子氏、茨城県で「にじのきらめき」を育てる大嶋康司氏、秋田県で「サキホコレ」を育てる齊藤拓氏、農業・食品産業技術総合研究機構・中日本農業研究センターグループ長補佐の梶亮太氏

 白未熟粒は、高温などの影響でデンプンが正常に蓄積せれず、白く濁って見える状態を指すが、米粒が割れたり砕けたりする原因となり、等級が落ちることにつながる。こうした事象が増えると、農家の収入減はもちろん、歩留まりが悪くなった結果、市場に流通する米が減ってしまう原因ともなってしまう。

 白未熟粒の被害を軽減するため、水を流し込んで田んぼの温度を下げる方法が用いられることも多いが、近年の気候変動では渇水により、そもそも使える水がないということもしばしば起きてしまう。このため、高温耐性を持つ品種に対しての期待感が高まってきているという。

 梶氏によれば、2000年頃からこうした高温耐性米の開発が始まり、農研機構だけでも9品種の育成に取り組んでおり、徐々に作付面積も拡大しているが、種もみの供給量が十分ではないといった背景もあり、主食用水稲面積に占める割合は20%に満たない状況だ。

 農研機構で育成に取り組んでいる品種の中では、「にじのきらめき」の生産量が急拡大している。コシヒカリとの比較では、同じ高温環境下においても白未熟粒が発生せず、2021年の猛暑では同じ環境下で育てたコシヒカリが2等~3等になったのに対し、にじのきらめきは1等品質をキープ。

 また、にじのきらめきは、コシヒカリに比べ粒が大きいのが特徴だが、肥料を多めにするとコシヒカリが重さで倒れてしまうのに対し、にじのきらめきは倒れにくく、効率よく収量をアップさせられるとして、東北南部から九州まで広範囲で栽培されるようになってきるという。

 Oisixでは昨年、7品種を取り扱っていたが、今年は12品種まで拡大。昨年比で1.5倍の販売量を確保するとともに、手軽に試せるように300gや2kg単位の食べ比べセットも用意し、会員向けに販売していく。

サキホコレ
にじのきらめき
はれわたり
あきさかり

・にじのきらめき 石川県金沢市(白米)2kg/300g(3002円/572円)
・有機はれわたり 青森県中泊町産(白米)2kg/300g(3348円/659円)
・有機あきさかり 福井県越前市産(白米)2kg/300g(3348円/659円)
・サキホコレ 秋田県仙北郡(金芽・無洗米)5kg(8197円)
・にじのきらめき 茨城県産(無洗米)5kg/2kg(7009円/3089円)
・高温耐性米3種食べ比べセット(各2kg):にじのきらめき 石川県金沢市、有機あきさかり 福井県越前市産、有機はれわたり青森県中泊町産(9213円)
・【お試し少量】高温耐性米3種食べ比べセット(各300g):にじのきらめき 石川県金沢市、有機あきさかり 福井県越前市産、有機はれわたり青森県中泊町産(1852円)