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「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」の矜持を感じる豪華な食を体験してみた

海の幸も山の幸も岩手県産の上質な食材を存分に楽しめる

岩手の安比高原にある「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」

 2月25日に開業した「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」は、IHGホテルズ&リゾーツの展開するブランドでも最上位に属するラグジュアリーホテルだ。僚誌トラベル Watchでは5月に試泊した際の客室やサービスについて紹介したが、本稿ではその食事についてレポートしたい。

 筆者が到着して早々に案内されたのは、ホテルの1階にあるメインダイニング「白露/SHIRATSUYU」だ。ディナー、ランチ、朝食ブッフェを提供する和食・フレンチが楽しめるダイニングで、郷土料理と西洋料理を融合したメニューが味わえる。お昼時だったので、ランチメニューをいただいた。こちらのレストランの特徴は“地産地消”を掲げていることで、地元の上質な素材から吟味したものをシェフがていねいに調理したものが提供される。

レストラン「白露/SHIRATSUYU」では朝食、昼食、夕食を楽しめる

ランチも地元の材料を使った料理を贅沢に楽しめる

 ランチメニューを見てみると、「岩手県産鴨蕎麦」「岩手牛ビーフカレー(サラダ付き)」「お造りと金色の風(お新香・小鉢・味噌汁付き)」「いわて牛 カツサンド(フィレ200g)」「いわて牛フィレステーキセット 100g(サラダ・スープ付き)」等々、そのほかにもバラエティに富んださまざまなメニューが用意されていた。

“そば”モードになっていた筆者は、岩手県産鴨蕎麦を選んだ。岩手県は「わんこそば」で知られるとおり、古くからそば文化が根付いている。そば畑がいたるところにあり、ここ安比高原も一大そば産地として有名だ。

 往路で「最高品質のそばが近くにある」「そば打ちにに欠かせない良質な水がある」と説明されたばかりであれば致し方ない。温・冷どちらも選べるが、今回は温かい岩手県産鴨蕎麦にした。

 これがまたうまい! そばとユズのさわやかな香りが口の中に広がり、つるりとしたのど越しも心地よい。そして、めずらしいのが衣をまとった鴨肉。薄い衣をまとった鴨肉は旨味をしっかり閉じ込めており、濃厚な味わいをそのまま楽しめる。箸で衣を少し除けば、肉汁がツユに混じって風味が増し、これまた絶妙な味わいに変化するので飽きずに食べられる。ほんのり焼き目を付けたネギも甘味とシャキシャキ感が楽しめる鴨肉に負けない名優振りだった。

鴨南蛮風の「岩手県産鴨蕎麦」(3025円)
こちらは鴨せいろ風の「岩手県産鴨蕎麦」(3025円)
牛肉がたっぷり入った「岩手牛ビーフカレー(サラダ付き)」(3025円)
彩り鮮やかな「お造りと金色の風(お新香・小鉢・味噌汁付き)」(4840円)
究極に贅沢なサンド「いわて牛 カツサンド(フィレ200g)」(1万2100円)

アフタヌーンティーとイブニングカクテルも用意されている

 ANAインターコンチネンタル安比高原リゾートの特筆すべき点は、ホテルすべてが「クラブインターコンチネンタル」仕様になっていることだ。クラブインターコンチネンタルとは、インターコンチネンタルブランドでもさらにワンランク上のサービスを提供するもので、きめ細かなパーソナルサービスに加え、アフタヌーンティーやイブニングカクテルといったドリンクサービスも提供される。アフタヌーンティーではセイボリーやスイーツ、イブニングカクテルではカナッペやタパスなどの軽食とお酒が楽しめる。どちらもメニューが用意されており、好きなドリンクをオーダーできる。

アフタヌーンティーでは、セイボリーやツイーツをのせたケーキスタンドが用意される
こちらは筆者の滞在中に提供されたタパスプレート
モスコミュールを注文してみた。ほか、シャンパンや地ビールも用意されている

岩手の高級食材を堪能できる至福のディナー

 ディナーにおいても岩手県産の高級食材を堪能できるのが自慢だ。入荷した素材を吟味し、シェフが腕を振るってくれる。この日のメイン素材は、アワビ、サケ、2種の和牛だった。

 三陸沿岸からアワビは生きたままで、サケは高級なキングサーモン、和牛は「八幡平牛」のA5ランクと漢方を混ぜて飼育された「岩手あか毛和牛」が本日のメニューに出されることが紹介された。入荷した素材からもっともよいものを使って調理するのが基本であり(キングサーモンは、高級魚のサクラマスに変更になった)、別の日では和牛2種の牛タン食べ比べや、安比高原で特別飼育されている「プライムポーク」を使った料理が提供されたそうだ。岩手県は三陸の海の幸が有名だが、日本で2番目に広い土地を活かした牧畜も盛んだ。ブランド牛も数多く飼育されており、海の幸と山の幸に恵まれていることが分かる。

岩手県産のアワビとキングサーモン。アワビは生きたままの状態で動いていた
八幡平牛(左)と岩手あか毛和牛(右)の塊肉。どちらも極上のサシが入っている

 前菜の盛り合わせは、三陸産のヒラメにポン酢のジュレ、アワビの唐揚げ、梅肉で和えたフキノトウの天ぷら、北寄貝と葉ワサビの和え物が出された。ヒラメは上品な白身が前菜にふさわしく、梅肉で和えたフキノトウはほろ苦さが春を思わせてくれる。北寄貝の弾力ある歯応えと旨み、葉ワサビのピリッとした辛みの組み合わせも絶妙だ。そして、アワビは一風変わった唐揚げという調理法。外側をカラッと揚げることにより、中はジューシーな状態だ。コリコリした歯応えとともに濃縮された磯辺の味が噛むたびに口の中に広がるのは至福だ。

前菜の盛り合わせ。旬であったフキノトウが使われていた

 次にパンとともに登場したのはマッシュルームの特濃スープ。こちらのはスープは八幡平でとれたマッシュルームを1皿あたり15~20個も使い、安比高原の牛乳を使ったミルクフォームを上にのせている。泡を崩すとそこからふんわりとマッシュルームの香りが漂い、口に運べば濃厚な山の幸が味わえるようになっていた。筆者はこれまでマッシュルームはどちらかというと、歯応え優先的なキノコのイメージがあったが、ここまで濃厚に仕立てるとそのものにしっかりとした味わいがあることに気づかされた。思わず「もう一杯おかわり!」と言いたくなる逸品だった。

地元産マッシュルームの特濃スープ。これまで食べたことのない味わいに感動!

 メインディッシュの魚として登場したのは、サクラマスのムニエルだ。素材を紹介した際はキングサーモンだったが、より鮮度と質のよいサクラマスがあったので、こちらに差し替えたと説明を受けた。キングサーモンに劣らずこちらも希少な高級魚。そのサクラマスにはグレープフルーツで香り付けしたバターソースをかけ、地元でとれたホウレンソウと山菜のウルイが添えてあった。よく食べる普通のシロサケも美味しいのだが、それよりもさらに脂がのっていて旨みが強く、高級魚の実力を存分に味わえるものだった。

サクラマスのムニエルは、表面はパリッ、中はしっとりで食感も素晴らしい

 そして、メインディッシュの肉料理は、岩手県の誇るブランド和牛の食べ比べというなんとも幸せを感じずにはいられない一皿だ。八幡平牛、岩手あか毛和牛のどちらも、シンプルなステーキで登場。調味料は、トリュフを混ぜた塩、地元産のすりおろしたばかりのワサビ、コショウ、ポン酢が用意された。漢方を飼料に混ぜて育てられたという岩手あか毛和牛は説明されたとおり、焼きあがると独特な香りを漂わせていた。少しオーバーかもしれないが、さらに草原が感じられるような感じ。柔らかな肉質は脂と赤身のバランスがよく、塩で食べるのが一番で、シンプルかつダイレクトに和牛の美味しさを堪能できた。

 八幡平牛はそれよりも少し脂のりがよく、より濃厚な味わいが口の中に広がった。また、添えられたワサビと一緒に食すことで味のコントラストがはっきりとし、より深い味わいを満喫できた。「美味しいものって、まだまだ世の中にあるんだな」と思うことしきりで、選りすぐりの上質を提供するというインターコンチネンタルの矜持を食でも感じた。

岩手あか毛和牛をミディアムレアでいただく。赤身と脂のバランスがほどよい感じで筆者好みだった
A5ランクの八幡平牛。上質で濃厚な脂が、噛むごとに口の中に広がる幸せを満喫できる

朝食も期待をはるかに超える品でおもてなし

 朝食もこちらのレストランで用意され、洋食と和食の2種類から選べるようになっている。さらに好みのスタイルで調理してくれる卵料理とサラダバーもあり、朝からこれまたリッチな食事が楽しめるわけだ。卵料理は目玉焼きにはじまり、オムレツやエッグベネディクトにすることもでき、オムレツは中身も指定できる。

 筆者は基本の朝食は和食、それにオムレツをオーダーした。出されたお膳を見てこれまた驚くのだが、赤魚の幽庵焼きにお刺身2点盛り、蓮根饅頭などが並び、まぁなんとも華やかで、朝から気分が上がる。それぞれの料理もひと手間以上かけられており、どれもが美味しいのはいうまでもない。また、屋外の席で食事をとることもできるので、鳥のさえずりを聞きながら朝食タイムを過ごすことも可能だ。

和食をオーダーしてみたが、朝から彩り鮮やかなメニューに気分も上がる
ゴーダチーズとマッシュルームを入れたオムレツ。付け合わせはハッシュドポテトとプライムポークのソーセージ
サラダバーで野菜類を好きなだけ盛り付けることもできる
サラダバーの横には種類豊富なパンも置かれており、好みに合わせて選べる
レストランの外で自然に囲まれながら朝食をとることも可能だ

 紹介したように、ANAインターコンチネンタル安比高原リゾートのメインダイニング「白露/SHIRATSUYU」では、“Farm to Table”をコンセプトに掲げているとおり岩手県産の高品質な素材を活かした上質な食事が、朝でも昼でも夜でも堪能できる。いつもよりワンランク上のホテルで過ごしたい、大事な人との記念日を祝いたいといったニーズにもきっと応えてくれるはずだ。

※記事で紹介しているメニュー・料金は取材時のもので、時期などによって変更する可能性があります