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ハウス食品、10分で調理できる「バーモントカレーシェフズアレンジ」

2024年2月12日 発売

バーモントカレーシェフズアレンジのパッケージ

 ハウス食品は、濃縮ペーストルウを使用した「バーモントカレーシェフズアレンジ」2商品を2月12日に発売する。店頭価格は各270円程度になる見込み。

 同商品では、一般的な固形ルウを用いた場合に材料の仕込みを含めて40分程度かかっていたところを、10分程度に短縮しつつ、バーモントカレーらしさをベースにした本格的な味わいのカレーが楽しめる。

 りんごペーストやバナナ、マンゴーの果実ピューレ、チャツネを組み合わせ、ふくよかな甘みが感じられる「果実仕立て」と、生クリームやバターを組み合わせ、まろやかなコクが感じられる「クリーム仕立て」の2商品をラインアップ。それぞれ2~3皿分としての利用が想定されている。

調理イメージ

 食品事業一部1ビジネスユニットマネージャーの山本篤志氏によれば、個人の嗜好が多様化し、世帯構造も変化しているなかにおいて、同社として、ライフステージにあわせた製品展開に加え、コスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス)、エンパ(エンターテインメントパフォーマンス)といったカレーならではの3つの価値を訴求していく戦略を立てているが、若年夫婦二人の世帯におけるルウカレーの購入率が年々減少しており、ここをメインターゲットに開発されたのが今回の商品となる。

 若年夫婦二人世帯においては、仕事が遅くなった日に40分も時間をかけられない、何日も同じメニューが続くと飽きる、片付けにも時間がかかる、といった意識から、家でカレーを作ることが敬遠されがちで、こうした課題を解決できるように、短時間で調理できるカレーを開発することにしたという。

 一方で、こうした世帯はテイクアウトや外食の機会も多く、山本氏は、家で作るカレーには外で食べるカレーとは異なる“安心感”が求められていると指摘。さらに、せっかく作るなら上質なものをという声に応えるため、「シェフがバーモントカレーのルウを使って作ったような上質なカレー」が開発コンセプトに掲げられた。

食品事業一部1ビジネスユニットマネージャーの山本篤志氏(右)と開発研究所 グループ長の濱洲紘介氏(左)

 開発研究所 グループ長の濱洲紘介氏によると、商品化において鍵となったのは、濃縮ペーストルウを採用したこと。一般的な固形ルウは濃縮倍率が高く、水分含量が5%以下と少ないため、殺菌の必要がない反面、水分が多い材料を使えないというデメリットがある。これに対し、レトルトソースは濃縮倍率が低く、水分含量が80%と高いため、水分が多い材料を使える反面、120℃を超える高い温度での殺菌が必要となり、これによって風味に変化が出てしまうとされる。

 濱洲氏は「濃縮ペーストルウは、両方のいいとこ取りで、増殖する微生物の種類を絞ることができ、レトルトに比べると低い温度で殺菌でき、フレッシュな風味をそのまま活かせる」と表現する。こうしたメリットを活かし、簡単に調理できるのに自分ではなかなか作れないような味わいを実現したり、短時間で煮込んだような旨みやコクを表現したりしている。濃縮ペーストルウ自体は従来商品でも採用の実績があるが、上質感やコクの表現や溶けやすさといった点っで新たな技術開発を行なうことで進化させているという。

 開発にあたっては、Chez Innoの古賀純二シェフにアドバイスを求め、フレンチの技法を用いることで味に深みを持たせた。具体的には、水ではなくブイヨンで煮込むことで、しっかりとした旨みを実現。さらに、スパイスを高温で加熱する際にハチミツを入れることで、コクをアップさせることを狙った。同社では、こうしたアドバイスを元に300回以上の試作を繰り返し、2年かけて完成に漕ぎ着けたとのことだ。

 なお、固形ルウを使用する場合と比べ、煮込む時間が大幅に短縮されることから、同商品とあわせて使用する推奨される材料については、薄切りの肉と玉ねぎに絞り込まれている。どうしてもジャガイモやニンジンを使いたい場合は、電子レンジなどを利用して別途調理する必要があるだろう。山本氏は、「短時間の加熱でおいしく食べられるキノコなどの材料を使ったアレンジレシピを提案していきたい」としている。

パッケージの背面で紹介されている材料と作り方
レトルトっぽいが調理が必要