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アサヒビール2025年事業方針、イノベーションの連鎖で新市場の創造を目指す
2025年2月21日 14:57
- 2025年2月21日 発表
アサヒビールは2月21日、2025年の事業方針説明会を開催し、代表取締役社長の松山一雄氏とマーケティング本部長の梶浦瑞穂氏がプレゼンテーションを行なった。
松山氏は冒頭、以前はボリューム追求型だったが、コロナ禍を境に価値追求型の“Value経営”に舵を切り、イノベーションで新たな市場を創造していくことに取り組んでいると説明。
こうした方針に基づいてさまざまな施策を展開した2024年は、ビール類(金額ベース)は前年比97%とほぼ市場並の着地に。ブランド別(数量ベース)では、主力のスーパードライが100.8%と堅調で、発泡酒のスタイルフリーが99.1%、新ジャンルのクリアアサヒが87.9%と市場を上回ったとする。
ビール類以外(金額ベース)では、「ニッカ フロンティア」の発売により洋酒が109.7%、「未来のレモンサワー」の発売によりRTDが127.6%、「アサヒゼロ」の発売によりアルコールテイスト飲料が123.0%と大きく伸長している。
同氏は、Value経営の推進により、2024年の事業利益はコロナ前の2019年の水準まで回復しており、これを原資に持続可能な賃上げや成長につながる投資を行なう好循環を実現できるようになってきたとして、2025年もValue経営を実践していくと語った。
これを踏まえて明らかにされた2025年の計画の数字は「ややコンサバ」(松山氏)な設定とのこと。4月に予定されている値上げの影響などもあるが、松山氏は「最低限の数字。その上を目指していく」としている。
また、従来の主力市場は、お酒をよく飲むとされる約2000万人とされてきたが、たまに飲むとされる約2000万人や、お酒を飲まないとされる約5000万人を「スマートドリンキング」といった概念で取り込んでいくことで、新たなビジネスチャンスの創出を目指す。
松山氏によると、アサヒビール社内では71%がお酒をよく飲むというデータがあり、「よく飲む人の視点で市場を見ているだけでは、なかなか新しいポテンシャルにたどり着かない。ノンアルも含まれるが、それだけではない取り組みが必要」だとする。
お酒を飲み始める20代での体験の多くが飲食店となっていることから、飲食店における業務用市場でのブランディングを強化する方針で、飲食店や小売店、購入後の体験を分析して次のアクションにつなげるリテールマーケティングに特化した専門組織も新設する。
松山氏は、当初はボツになった「フルオープン缶蓋」と「自然に泡が出る缶胴」を組み合わせることで「生ジョッキ缶」が誕生し、「未来のレモンサワー」の発売にもつながっているというイノベーションの連鎖を続け、世界で一番ワクワクするビール会社を目指すと語る。
続いて登壇した梶浦氏は、ビールカテゴリーにおける2025年の取り組みを説明。
主力のスーパードライについては、2026年の酒税改正や2027年の発売40周年に向けて新たな挑戦を行なうと宣言。キンキンに冷えたスーパードライのおいしさを伝えるため、4℃未満でスーパードライを提供する「スーパーコールド認定店」を設定。さらに家庭向けの缶商品においては、キンキンに冷やすと辛口カーブの部分の色が青く変わる「示温インキ デザイン缶」を5月20日に数量限定で発売。あわせてアルミ素材で冷えやすいオリジナルタンブラー付きの商品を展開する。
また、4月15日には7年ぶりのスタンダードビールの新商品として「アサヒ ザ・ビタリスト」を発売。苦みにこだわった商品をラインアップに追加し、ビール好きに対してさまざまな選択肢を用意する。
このほか、これまで地域や数量を絞って販売してきた「未来のレモンサワー」については、9月から全国発売に移行。「アサヒゼロ」など、好調なアルコールテイスト飲料については、2030年代の前半に売上1000億円という目標を掲げ、2025年にはラインアップの強化を図りつつ、スマートドリンキング関連で約100億円規模のマーケティング活動を推進していくとしている。