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アサヒ飲料、2025年事業方針と「ワンダ」ペットボトル2種/「おいしい水」新商品を発表。ワンダはフルリニューアル
2025年3月19日 06:00
- 2025年3月18日 発表
アサヒ飲料は3月18日、都内において2025年の事業方針説明会を開催した。会場には代表取締役社長の米女 太一氏とマーケティング本部長の野村和彦氏が出席し、事業方針や今後のマーケティング、新商品の「ワンダ クリアブラック」「ワンダ ロイヤルラテ」「アサヒ おいしい水 天然水 からだ澄む水」について説明した。
100年ブランドを持つ強みと新しい価値の創造で企業価値の向上に努める
最初に米女氏が2024年の総括と今後の事業方針について説明した。昨年は観測史上もっとも暑い夏となり、飲料の販売はプラスになったものの、原材料やエネルギー価格の高騰などにともなう価格改定もあったため、飲料業界全体では前年並みに推移した。また11月には、物流2024年問題や温室効果ガス(GHG)排出量削減、食品ロス問題といった社会課題に対応するため、同社を含む清涼飲料水を手掛ける5社(アサヒ飲料、伊藤園、キリンビバレッジ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナル)で、社会課題について研究する「社会課題対応研究会」を発足させたことも報告した。
そのような中で同社は、100年ブランドや高付加価値商品の強化に取り組んだ。140周年を迎えた三ツ矢サイダーは、周年商品の発売や過去最大級の「三ツ矢の日」などプロモーションを強化した結果、小型PET商品(500mL)や「特濃」シリーズが大きく伸長した。120周年を迎えたウィルキンソンは、“WithFood”訴求など無糖炭酸の飲用シーンの拡大に努めたことで新規顧客の獲得に成功し、17年連続で過去最高の販売実績を記録した。カルピスは、希釈タイプの特徴である“経済的”や“つくる楽しさ”の評価による伸長に加え、新ブランド「PLUSカルピス」や期間限定商品の「ブレンドリッチ」シリーズが好調に推移した。
同社が掲げている「100年のワクワクと笑顔を。」には、100年ブランドを持つ企業として、今後も長くおいしさを届けていきたいという意味が込められている。その実現に向けて、既存領域の価値向上、新規領域における新しい価値の創造をしていくのが事業方針とのことだ。三ツ矢サイダーなどの既存ブランドにも注力しつつ、新100年ブランドを見据えて「十六茶」「ワンダ」「アサヒ おいしい水」のバリューアップにも努める。
新しい価値の創造については、「CO2を食べる自販機」を起点にしたCO2資源循環ビジネスの拡大、強炭酸サーバーや“ボトル to ボトル”の推進によるサステナブルドリンク事業の推進、高果汁希釈飲料「Fruits Presso」を発売することによる高付加価値の創出、アメリカと台湾における海外事業の強化などを説明した。
新商品「ワンダ クリアブラック」や「からだ澄む水」で潜在ニーズを狙う
マーケティングの詳細については、野村氏が登壇して説明した。猛暑化や水分補給習慣の推進もあり、飲料市場に求められるニーズである「止渇」「リラックス」「刺激・爽快」「栄養補給」の4つに対して、それぞれ合致するブランドを当てはめてプロモーションしていく。そのなかでも次の100年ブランドに指名している「ワンダ」と「アサヒ おいしい水」については、新商品を投入してブランド強化を図る。
ワンダの新商品は、ペットボトル専用コーヒー飲料として開発された「ワンダ クリアブラック」(184円)と「ワンダ ロイヤルラテ」(194円)の2つで、4月1日に発売する。どちらも苦味が少なく、香りに特化した「気軽に気ラクに飲めるコーヒー」であるとのこと。水分補給ニーズを重ね持つ、PETコーヒーの潜在ニーズを掘り起こすために、無糖茶やミネラルウォーター領域からも消費者を取り込めないかと従来とは違うアプローチで企画された。クリアブラックは、最初のコーヒー感はあるが、苦味が残らないようにスッキリとした後味に仕上げており、ロイヤルラテはコーヒーとミルクのバランスを重視し、失われがちなコーヒー感を味わえるような商品になっていると説明した。従来からの缶やボトルタイプはコーヒー感を重視し、新商品のPETコーヒーは飲みやすさに重きを置いて展開していく考えだ。また、「はじまりのコーヒー」を新コンセプトにし、24年ぶりにブランドロゴを大幅に刷新したことも発表した。
おいしい水の新商品としては、水分と植物生まれのアミノ酸「シトルリン」を補給できる「アサヒ おいしい水 天然水 からだ澄む水」(167円)を4月15日に発売する。ミネラルウォーター市場は2010年代にフレーバーウォーターが登場し、2020年代前半には天然水仕立ての低果汁飲料が登場するなど、枝分かれ商品が数多く販売されている。しかし、昨今は有糖よりも無糖を支持する人が増えており、同社はミネラルウォーターに加えて健康感を強く感じられる飲料として同商品を開発したとのことだ。
2025年における6ブランドの販売計画については、三ツ矢が4130万箱(前年比100.2%)、カルピスが3530万箱(同100.1%)、ウィルキンソンが3380万箱(同100.3%)と若干の上積みであるのに対し、ワンダは2670万箱(同106.2%)、おいしい水は2140万箱(同115.6%)、十六茶は2000万箱(106.3%)と、さらなる売上の伸長を目指すと説明した。