インタビュー
サントリーに聞く、水道水をおいしくするキャップ「minel」の秘密
2023年2月27日 13:16
サントリー食品インターナショナルは「植物ミネラルエキス」の力で、水道水などを新たな美味しさの水に変えることができる、ミネラルinウォーターキャップ「minel(ミネル)」を開発した。
同商品の抽選販売をECサイトで行なっており、2月28日23時59分まで応募を受け付ける。当選人数は5000人で「初回限定 minelスターターキット」(キャップ6個セットと専用ボトル1本)を用意している。価格は1380円。
キャップをプシュッとひねるだけで、まろやかな味わいの水へ変えられる「minel」。サントリーのちいさな新発明とこだわりのポイントを、イノベーション開発部の高橋大樹氏に伺った。
キャップをプシュッとひねるだけで水道水をおいしく
――まず「minel」とは、どんな商品か教えてください。
高橋氏:「minel」は専用ボトルに水道水や浄水などの飲用水を線まで入れてキャップを装着してひねると、自然素材の力に着目して独自開発した「植物ミネラルエキス」がプシュッと音を立てて噴射され、一瞬でまろやかな味わいの新たな美味しさの水に変えることができる商品です。
さまざまな研究から、ココヤシのヤシ殻活性炭がカリウムを主としてミネラルを豊富に含有することに注目し、このヤシ殻活性炭から、サントリーの独自技術でミネラルエキスを抽出しました。
――どんな特徴があるのですか?
高橋氏:キャップの中に2mLの「植物ミネラルエキス」が入っていて、一瞬でまろやかな味わいの水になります。キャップは手のひらサイズの使い切りタイプで、専用ボトルは洗って繰り返し使えます。キャップをストックしていただければ、重たい水を買う労力が省け、収納スペースもコンパクトになります。
――商品開発の経緯や企画のきっかけについて教えてください。
高橋氏:商品開発は2018年頃から開始しました。「水と生きる」を掲げるサントリーで水のプロジェクトをスタートしようとなり、水の選択肢として新たな消費・提供の仕方があるのではないか、と考えたところから始まりました。
そこで、R&D部門が「植物ミネラルエキス」を開発し、「美味しさ」が我々が提供できる価値ではないかとの議論になりました。水道水をはじめ家庭の水に「植物ミネラルエキス」を入れることで美味しくなることは新たな選択肢になるのでは? と話が見えてきて、キャップの仕組みも含めて4年かけて実現しました。
キャップはどういう仕組みになっているの?
――このキャップはどういう仕組みになっているのでしょうか?
高橋氏:キャップの中は空洞で二重構造になっています。黒いタンクの部分に「植物ミネラルエキス」を窒素と一緒に高圧充填しています。キャップを開けた時に、二重構造がズレて液体と気体の流路ができ、「植物ミネラルエキス」がプシューッと噴き出すような仕組みになっています。
――開発時に苦労した点はありますか?
高橋氏:「minel」のキャップの仕様を日本に持ってくることに非常に苦労しました。このキャップにしようと思ったタイミングとコロナが重なり、調達先はアメリカの会社でキャップを作っている工場がスロバキアにありました。実際に会っていない中で、キャップの開発を3拠点で行ない、オンラインミーティングを50回以上行ないました。
基本的に日本が夜の22時、アメリカが朝の5時、スロバキアが昼の時間帯で、1回2時間ぐらいの打ち合わせを何度もしました。サンプルを作ってもらい、日本に取り寄せて評価をしフィードバックするのを何度も繰り返しました。
海外では水が入った通常のボトルに、「minel」のキャップのような仕組みで中にフレーバーが入っていて、キャップをひねるとフレーバーウォーターができるといった用途で使われているそうです。
実際に使う上での注意点
――「minel」で作った水の消費期限などありますか?
高橋氏:冷蔵保存で2~3日を推奨しています。殺菌処理をしているわけではないので、なるべく新鮮なうちに飲んでいただきたいです。洗い方は作った水を使い切り、水で洗い流していただくだけで、衛生を維持した状態でお使いいただけます。
――どんな人に使ってもらいたいですか?
高橋氏:美味しい水を飲みたい人全員です。利便性に特長があるので、スマートなライフスタイルを送りたい人、子育て世代などです。実際40~50代の女性から、「水の買い出しが重くて大変だったけど『minel』なら楽になる」といった利便性を評価いただいています。そのほか、外出先でも使いたいとの声もあり、水は多くの人が飲むので、それぞれの使い方があるのではないかと考えています。
今後の展望はいかに
――水以外にもミネラル成分を追加できるのでしょうか?
高橋氏:まずは水からスタートしています。我々が展開している「天然水」も水から始めて色んなフレーバーを拡大しているので、その可能性もあるかと考えています。
――今後の展望などありますか?
高橋氏:2つあります。1つめは我々が開発した「植物ミネラルエキス」の用途についてです。今回は水道水などにミネラル成分を追加する商品として使っていますが、「植物ミネラルエキス」の素材自体がほかの商品にも活かせる可能性はあると思っています。
2つめはキャップの使い方です。今回は2mLの液体(植物ミネラルエキス)を入れていていますが、こういった手軽に持ち歩けてプシュッとひねるだけで何か加えられるといった“容器としての可能性”があると思います。
――なるほど。今後の展開にも期待ですね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。