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カンロ、飴製のストローや廃棄品を再利用したアルコールスプレーなどを発表
サステナブルとウェルビーイングの取り組み
2021年12月13日 21:15
- 2021年12月13日 発表
キャンディ大手のカンロは「フューチャーデザイン事業」について記者説明会を開催した。
カンロというと看板の「カンロ飴」に加え、「金のミルク」やグミの「Pure」シリーズなどさまざまな商品を展開しているが、基本的にすべてがキャンディだ。
そんなカンロでは「Sweeten the Future」とし、2030年に向けたビジョンを公表していて、それに向けたフューチャーデザイン事業本部を設立した。本部の基本方針は、「サステナブル」と「Well-being(ウェルビーイング)」だ。今回の説明会では、このフューチャーデザイン事業本部の取り組み2つが発表された。
アルコールスプレー
1つ目の取り組みは、サステナブル寄りの、本来廃棄する規格外品などの再利用だ。飴の製造は通常、細く伸ばした材料を型枠で切り取ることで、丸などの形状を作る。ここで型枠で切り取るとき、少しずつ切り屑が発生するのは避けられない。このほかにも欠けがあったり大きな気泡が入り込んでいたりしている規格外品も出るし、原材料も場合によっては廃棄することがある。
こうした残渣は、2020年実績では年間1302トン発生した。といっても、すべて廃棄されているわけではなく、現状でも他社に引き取ってもらい、その90.7%が飼料・肥料として再利用されているが、それを自社内でも再利用して製品を作ろう、という試みとなる。
協業パートナーとして、FERMENSTATIONと提携する。FERMENTATIONは発酵技術を持つバイオエンジニアリング企業だ。今回の取り組みでは、飴の残渣に米を加え、酵母で発酵させることでエタノールを生成し、天然由来アルコールを使った日用雑貨を作る。説明会では試作品として、カンロオリジナルのマスクスプレーとアロマスプレーが披露された。
具体的にどのような商品になるかは未定だが、2022年夏ごろからの商品化を目指し、ハンドスプレーやウェットティッシュなどを検討しているという。
キャンディーストロー
2つ目の取り組みは、飴製の「キャンディーストロー」だ。こちらは「ストローマニア」の野村優妃氏のリベラベルと協業して展開する。取り組みとしては、野村氏が飴製の食べられるストロー「Dlink Straw」のクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げたのがきっかけで、これを見たカンロが野村氏に声をかけ、協業が実現したという。
会場では試作品の飴製ストローを試すことができた。
飴製ストローは強度を維持するためにやや太い。タピオカを吸うストローくらいの外径があるが、内径は普通のストローくらいで、肉厚なので重さもそこそこである。指でストローに触ると少しベタつく感覚はあるものの、それで少し触ったくらいで指先がベタつくほどになることはなかった。
ただの水をこのストローで飲んでみると、ほんの微かに飴の味がする。だが、あらかじめ分かっていて、注意深く味合わないと気がつかないレベルだ。吸いやすさなどは普通のストローと大差はない。
ストロー全体が飴でできているので、当然、飲料の中に浸けていると徐々に溶けていく。7分ほど放置したところ、水に浸かっていた部分だけがかなり細くなり、水の甘みも増していた。それでもまだストローとしては使えたが、かなり脆く、軽く噛んだだけでも噛み砕ける。ちなみに溶けていない部分でも普通に噛み砕けたので、使用後は余った部分をバリボリと食べてしまうことも可能だ。
この飴製ストロー、廃棄プラスチックを減らすというサステナブル要素もあるが、飴の味を楽しむという要素も強い。発表会でリベラベルの野村氏は、カンロの「金のミルク」のようなミルク味のストローを作り、コーヒーで使うことでミルクコーヒーとするようなアイデアを語ったが、わざと溶けやすい原料や形状とすることで、飲み物に味を加えるということも可能になる。ただ、あまり溶けやすくなると使い勝手に影響が出そうなので、そこはバランスを取るのが難しそうなポイントだ。
このキャンディストローの商品化についても具体的には決まっていないが、まずはどうやって生産するか、という問題解決が必要だ。試作品は手作りで、棒に飴を巻くように形を作り、あとで棒を抜いてパイプ状にしているという。製品化するには、大量生産に向いた製造方法を開発する必要がある。例えばペンネパスタのような押し出しも考えられるが、押し出す飴が柔らかすぎると、固まる前に穴が潰れてしまう恐れがある。飴としては前例のない形状なので、新しい作り方が必要になりそうだ。