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menu、auスマートパスプレミアム会員の配達料を無料に

2022年6月1日10時~

 フードデリバリーのmenuは、KDDIが運営する有料会員サービス「auスマートパスプレミアム」(月額548円)の会員向けを対象に、配達料などの手数料を6月1日から無料にすると発表した。

 無料の対象となるのは、デリバリーの基本配達料300円と距離に応じた追加配達料にあたる「配達料」のほか、注文が集中する時間帯の注文でかかる「混雑時手数料」、商品代金が1000円未満の場合にかかる「少額取扱料」、遠い店舗からの配達で商品代金4000円未満の場合にかかる「長距離少額手数料」、コンビニなど小売店の注文でかかる「取扱サービス料」、複数店での同時注文の時にかかる「コンボ注文手数料」。至高の銘店サービスの予約注文にかかる「銘店サービス料」は対象外となる。

 これにあわせ、auスマートパスプレミアム会員を対象に、menuアプリでのデリバリー注文のうち還元対象額の最大10%をPontaポイントで還元するキャンペーンもスタート。ポイント還元の上限は1 au IDにつき月間5000ポイント。キャンペーンの終了日は未定とされている。

 両社は2021年6月に資本業務提携を開始し、これまでにも各種キャンペーンを実施してきたが、5月20日にはmenuが新たに発行する株式をKDDIが取得。日用品や食料品など、フード以外のデリバリー(クイックコマース)の領域を強化していくとしている。

 両社では6月1日、発表にあわせてKDDI パーソナル事業本部 サービス統括本部 副統括本部長の大野高宏氏とmenu 取締役の佐藤裕一氏が出席する形でメディア向けのラウンドテーブルを実施。大野氏は、同日付でmenuの代表取締役副社長に就任している。

KDDI パーソナル事業本部 サービス統括本部 副統括本部長の大野高宏氏(左)とmenu 取締役の佐藤裕一氏(右)

 大野氏は、「フードデリバリーは、諸外国の事例を見ていると、20兆円超と言われる日本の外食産業の1割を占めるようになるということで、au経済圏の中でも非常に大切な領域だと考えている」と語る。

 これまでのキャンペーンや連携施策においてもシナジー効果が発揮できているが、フード以外の領域のau PAY加盟店が全国に多数存在することから、フード以外での活用を進めていきたいとしている。

 同氏は「これからインバウンドのお客さまも増えてくる。ホテルと連携し、到着した日は疲れたから部屋からデリバリーサービスを利用できるようにするなど、いろんな機会がある」と述べ、業界の垣根を超えた連携にも意欲を示した。

 一方、コロナ禍で急激にニーズが高まったデリバリーサービスは、外出自粛の制限が緩和されるに伴い、外資の撤退や経営統合が起きるなど、順風満帆とも言えない状況にもある。

 佐藤氏はこの点について「日本独自の文化や商圏の形成というところがある中で、資本力があってもなかなかそれを突破するのは難しいところがある。欧米に比べ、日本は人口密度が高く、店舗密度も高い中で、どうやってマッチさせるかというところが他国とは違う状況もある」と指摘。

 その上で「他のプラットフォーマーが苦戦していたのは配達員を集めるというところで、当社は日本で働く方々の感性に合ったような報酬体系を作ってみたり、機能拡充するといったところで対応してきた。店舗側も、直接営業部隊を持って開拓することで、うまく乗り越えてきた。KDDIとの提携で信頼度を持って進めて来られた」と説明する。

 デリバリーとテイクアウトの利用比率については、具体的な数字は公表できないとしながらも、「コロナでデリバリーが伸び、現状でもデリバリーの方が多い。コロナ禍と最近での比率はあまり変わっていない」としており、フード以外の領域の開拓を進めることで成長を加速していく意向を示した。