ニュース

木村屋總本店とNEC、AIで恋愛感情を味に変換した「恋AIパン」開発

2024年1月17日 発表

恋AIパン 運命の出会い味

 木村屋總本店とNECは、AIを活用して恋愛感情を味として表現した「恋AIパン」を2月1日に発売する。関東近郊のスーパーマーケットや木村屋の直営店、オンラインショップで販売される。

 恋AIパンの開発にあたっては、Ameba TVの恋愛番組「今日、好きになりました。」に参加した現役高校生の会話をAIを使った音声解析技術のNEC Enhanced Speech Analysisでテキスト化。これをデータの意味を理解するNEC Data Enrichmentを使って分析して、出会いや告白、初めてのデートといった恋愛シーンごとの感情の傾向を可視化した。

 さらに、約100万曲の日本語の歌詞データベースから183種類のフルーツやスイーツなどの食品を含む約3.5万曲を抽出し、食品を含む歌詞の感情スコアを算出。感情の傾向が似ている恋愛シーンと食品を紐づけ、恋の感情を表現する食品50種をリストアップし、その中から木村屋の職人がベストな組み合わせを選び、恋AIパンを開発した。

開発の流れ

 恋愛シーンは、5つに分類されており、「運命の出会い味」「初めてのデート味」「やきもち味」「涙の失恋味」「結ばれる両想い味」の5種類のパンをラインアップする。第1弾の「涙の失恋味」「結ばれる両想い味」が2月1日、第2弾の「やきもち味」が3月1日、第3弾の「運命の出会い味」「初めてのデート味」が4月1日に発売される。価格は各200円。

5つの商品をラインアップ

「運命の出会い味」は、わたがし味の生地にりんごを練り込み、青クランチをトッピングすることで、運命のいたずらを演出し、これから始まる恋を予感させる味を表現している。

「初めてのデート味」は、ライム味の生地をベースに柿のマーブルを使用し、初めて一緒になったワクワクやドキドキといった感情を表現。ほのかな甘みが感じられるオレンジピールをトッピングすることで、未来への一歩を後押しする味になっているという。

「やきもち味」は、紫芋味の生地にずんだとトリュフオイルを練り込み、レーズンをトッピング。嫉妬や妬みをイメージする緑色や紫色を使い、複雑な感情を表現しているほか、感情が重たくなることから、他の商品とは異なるもっちりとした食感に仕上げたとされている。

初めてのデート味
やきもち味

「涙の失恋味」は、青いサイダーの生地にぶどうを入れ、ドライりんごをトッピング。つらい気持ちをイメージして青や紫とすることで、恋の儚さが表現されている。

「結ばれる両想い味」は、ももの生地にドラゴンフルーツを練り込み、はちみつをトッピング。恋愛をイメージするピンク色と甘いフレーバーで想いが通じ合ったときの感情を表現している。

涙の失恋味
結ばれる両想い味

 パッケージには、NECが開発したLLM(大規模言語モデル)のcotomiによって生成された商品解説文が添えられて販売される。

 木村屋總本店 取締役の齊藤浩二氏によれば、同社が創業155周年を迎えるにあたり、次世代をテーマにしたプロジェクトを立ち上げ、その中で若年層を対象とした商品を開発することになった。

 若者の日常を調査すると、若者の恋愛離れが進んでいることが分かったが、恋をしている若者は減っているかもしれないが、恋をしたい若者は減っていないとの結論に至り、恋を応援するパンを本気で作ることにしたという。

 そこで、過去にAIを活用してコーヒーやチョコレート、クラフトビール、プリンといった商品開発で実績があるNECに協力を依頼。1年ほどをかけて今回の恋AIパンを開発してきた。

 恋愛成就への効果を聞かれた齊藤氏は、「効果はあると思って制作しているが、そのシーンで買って食べていただくことが大事。しっかりと営業を含めてチャレンジしていきたい」と答えていた。