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大阪王将、ひとくち餃子やワンプレート中華など春夏向けの冷凍食品を発表

2025年1月17日 発表

大阪王将(イートアンドフーズ)の春夏向け新商品

 大阪王将を運営するイートアンドフーズは、3月以降に発売する冷凍食品の新商品を発表した。新商品7品とリニューアル品8品が順次販売される。

 商品本部 商品企画開発部 戦略企画グループの田島薫氏によれば、冷凍食品市場の近況について、2023年は2019年比で128.6%に拡大し、カテゴリー別ではスナック、麺、食卓惣菜、中華が130%超となっているとした上で、「消費の意識の変化として、健康志向、経済性志向、簡便化志向の3つとも上昇傾向にある」とする調査結果を紹介。

 節約意識が高まる一方で「自分と家族、普段の食卓とご褒美品といったところに関してお金をかける傾向は増加している」として、シーンや目的に応じた価値を念頭に置いた商品の重要性が高まっていると指摘する。

 同社では、直近の秋冬向けの商品でも、いわゆる“タイパ”をコンセプトにした商品開発を行なっていたが、タイパ意識は流行のフェーズから定着のフェーズに移行しており、シーンにあわせた提案が求められ、多数の選択肢が存在する中では際立つ魅力が必要だとしている。

 主力商品となる「羽根つき餃子」については、一層の肉感や香りを求める消費者の声を反映する形にリニューアルを実施。肉感の強化に加え、おろししょうがで香りを高めるとともに、自家製焦がし味噌にエビチリなどで使われる調味料のチューニャンを使うことで香りを強化している。

「羽根つきスタミナ肉餃子」についても、同様に肉感を強化しつつ、肉の旨みを引き立てるアンデスピンク岩塩を使用し、ローストガーリックパウダーを増量することでパンチ力をアップしたという。

定番の「羽根つき餃子」(右)と新商品の「神焼き羽根つき餃子」(左)

 餃子シリーズの新商品としては「神焼き羽根つき餃子」が登場。こちらは「羽根つき円盤餃子」として販売していたものを進化させたもので、同社の冷凍餃子の特徴となる“水・油・フタいらず”に加え、並べる手間を省き、そのままフライパンに置くだけで丸くきれいに焼けるという価値を提供する商品となる。

 さらに、「クリスピーひとくち餃子 止まらぬやみつき味」「クリスピーひとくち餃子 ハマるのり塩味」の2商品も登場する。こちらは、社内のアイデア公募から生まれた商品で、すでに業務用に通常より一回り小さな商品を提供しており、これが子どもや女性も食べやすいとして好評だったことから、家庭向けにも展開されることになった。

「クリスピーひとくち餃子 止まらぬやみつき味」(左)と「クリスピーひとくち餃子 ハマるのり塩味」(右)

 こちらも“水・油・フタいらず”という特徴を受け継いでいるが、羽根なしの仕様となっており、薄皮でサクッと食べられ、ニンニク不使用で弁当などにも活用できるとしている。サイズが小さいことから、12個5分で時短調理できることも特徴の一つとされる。

 2つのフレーバーでの展開となるが、やみつき味については、玉ねぎと隠し味のソースでコクを表現。のり塩味については、青のりと塩のバランスで旨みを表現しているとのこと。

 また、猛暑の影響でコンロを使わず、電子レンジで調理したいというニーズも高まっていることから、レンジ調理にフォーカスした「ぷるもち水餃子」も改良してリニューアル発売する。田島氏によると、レンジ調理でももちもち食感が得られるように配合を変更しているとのことで、夏に向けて冷やしレシピなどもアピールしていきたいとしている。

 餃子以外での注目商品となるのは、ワンプレートタイプの「楽ラク中華 中華おこわと黒酢肉団子」「楽ラク中華 中華おこわと油淋鶏」の2商品。

「楽ラク中華 中華おこわと黒酢肉団子」
「楽ラク中華 中華おこわと油淋鶏」

 田島氏は、ワンプレートの冷凍食品はコロナ禍を経て直近の6年で市場が7.7倍に拡大しており、購入者の7割が女性だとして、女性をメインターゲットに開発したと語る。開発する上では、彩りを意識するとともに栄養をしっかりとれることを重視したという。

 いずれも脂っこくならず、腹持ちがよくなるように、白米ではなく、もち麦を使用した中華おこわが合わせられており、1食分のたんぱく質と食物繊維が摂取できるように設計。おかずの調理にあたっては、工場に中華鍋で炒める設備を新たに導入し、本格的な中華料理の香ばしさを追求している。

 このほか、「3種の海鮮中華粥(まるかゆ)」「ムネチキタツタ」といった新商品、「もっちり中華おこわ」「黄金の大学いも」といったリニューアル品が販売される。

「3種の海鮮中華粥(まるかゆ)」
「ムネチキタツタ」

 冷凍食品以外では、大阪王将の193店舗で販売されている「大阪カレー」の味わいをレトルトにした「無限ループカレー」が登場する。大阪カレーは、大阪発祥の「インデアンカレー」をリスペクトしつつ、フルーツの甘みと刺激的な辛さが交錯する複雑な味わいが特徴で、甘さと辛さを交互に繰り返すことから、無限に食べたくなるとして、無限ループの商品名が付けられたという。

 さらに、大阪王将の店舗で提供される天津飯のような“ふんわりたまご”をレンジ調理で作れる「レンジでかに玉の素」も発売される。卵と餡をそれぞれレンジアップする形になるが、フライパン不要で作れる。

なぜか強引にワンプレートに盛り付けられてしまった「無限ループカレー」(右)と「レンジでかに玉の素」(左)

 取締役専務執行役員 商品本部 本部長の山本浩氏は、「(同社では)年間で7000~8000トンのキャベツを使うが、年末から野菜がなくなってきた。こういう環境は想定していなかったが、対処しながら安定供給を図っていかないといけない。加工食品メーカーとして、安定して供給する使命があることを改めて思い直した」とコメント。

 タイパを意識した商品開発に取り組んでいる同社だが、同氏は「これに加えてコスパについてもしっかりと意識し、過剰な値上げはないように頑張りたい。出火の影響で休んでいた関東第一工場も今年2月から復旧し、体制が整った。食品の安定供給を図る上でも頑張って取り組んでいきたい」としている。

(左から)取締役専務執行役員 商品本部 本部長の山本浩氏、商品本部 商品企画開発部 戦略企画グループ マネジャーの大菅夏実氏、商品本部 商品企画開発部 戦略企画グループの田島薫氏、商品本部 商品企画開発部 部長の山本邦彦氏