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キリンビバレッジ2025年事業方針、ヘルスサイエンス領域で前年比127%を目指す
2025年1月29日 17:55
- 2025年1月29日 取材
キリンビバレッジは1月29日、事業方針に関する発表会を開催し、代表取締役社長の井上一弘氏と執行役員 マーケティング部長の成清敬之氏がプレゼンテーションを行なった。
井上氏は、2024年の清涼飲料市場を振り返り、数量ベースで市場全体が前年比100%程度と見込まれるなか、同社としては同103%と市場を上回る実績を残せたとする。カテゴリー別では、プラズマ乳酸菌入り飲料が107%、生茶が112%と好調で、高収益化が進んだ1年だと評した。
同氏は、労働人口がピークを迎え、市場全体での生産数量の減少が見込まれる一方、中長期的には高齢化に伴う健康ニーズの高まりが期待され、SDGsへの意識の高まりとともに企業活動の社会的価値を創出できるかが重要になってくると指摘。
2025年については、「おいしい飲みもので、ヘルスサイエンスリーディングカンパニーへ」というビジョンを掲げ、プラズマ乳酸菌を中心とするヘルスサイエンス飲料への取り組みを強化していく方針。販売計画としては、清涼飲料全体で前年比106%を目指すとしながらも、ヘルスサイエンス飲料は127%と高い目標が設定されている。
同氏によれば、2020年以降、プラズマ乳酸菌入り飲料の購入率は20~60代で大きく伸びているが、19歳以下の若年層には浸透しておらず、70歳以上の高齢者層とあわせて幅広い層へのアプローチを図っていくことで間口の拡大を図っていく。
販売チャネルについても、これまでの取引先とは異なる組み方を模索しつつ、海外への進出も含めて検討していく。同社では、2024年に花王から「ヘルシア」事業を譲り受けているが、傘下のファンケルの事業とあわせ、ヘルスケア領域においては高いウエイトを占める体脂肪対策においても基盤を確立していくとする。
同氏は2030年の目標として、ヘルスサイエンス飲料の売上収益を2024年比で2倍以上にするとしており、午後の紅茶、生茶、ファイアといった主要ブランドと並ぶ柱に育てていく考えを示した。
続いて登壇した成清氏は、「おいしい飲みもので健康を実現するCSV戦略を基軸に、ブランドを育成し、市場創造を加速させる」を2025年のマーケティング方針とし、ヘルスサイエンス、午後の紅茶、生茶の3つのカテゴリーに注力していくと語る。
プラズマ乳酸菌入り飲料については、健康意識が高まっている一方で、実際にトクホや機能性飲料を購入する人がまだまだ少なく、そこに大きな成長の機会があるとして、自分事として意識してもらいながら、エビデンスに基づいて信頼を醸成し、「我慢するのではなく、おいしく無理なく継続できる」ようにさまざまな選択肢を提供していきたいとする。
3月4日発売の「キリン iMUSE オフ・ホワイト ヨーグルトテイスト」については、そうしたニーズの一つに応える商品で、「日々の生活の中で、ちょっとした疲れがたまっている。疲れているからこそ、今リフレッシュできるものが欲しい。オフィス回帰も高まり、外に出る機会も増えているが、オフのタイミングに健康習慣をオンできる」とアピール。ファンケルのカロリミットブランドや、ヘルシアブランドとあわせ、新規層の開拓や習慣層の獲得を目指していく。
午後の紅茶については、2024年6月にリニューアルを実施したほか、夏のアイスティーや冬のミルクティーを訴求したことで2年連続での成長につながったとした上で、少子高齢化や食の欧米化に伴って無糖紅茶のチャンスが大きいとして、無糖紅茶への取り組みを強化していく。
3月18日には「おいしい無糖」シリーズがリニューアル発売されるが、パッケージをシンプルで現代的なデザインに刷新するほか、中味についても後味の苦みや渋みを抑え、すっきりと飲みやすく進化させているとのことだ。
生茶は、2024年4月のリニューアルに行なったこともあり、18年ぶりに3000万箱台の出荷を達成。緑茶市場全体が伸び悩むなか、前年比1割増を記録し、さらに「ほうじ煎茶」は6割増と好調だった。4月15日にリニューアルを実施することで、さらなる進化を図る。担当者によれば、口に含んだ直後の立ち上がりで新茶のような甘みを感じられながらも、すっきりとした後味になるように調整しているとのこと。