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バカルディ、デュワーズ12年とバカルディハイボールでさらなる市場拡大を目指す
2025年4月15日 19:27
- 2025年4月15日 取材
バカルディジャパンは4月15日、2025年の事業・マーケティング戦略に関する説明会を開催した。
代表取締役社長の東智徳氏は、2024年を振り返り、「デュワーズ12年」への注力と「バカルディハイボール」で新たな飲用スタイルを作ることの“2トップ戦略”に加え、「パトロンテキーラ」や「ロイヤル・ブラックラ」といった“プレミアムへのチャレンジ”を軸に展開してきたことを紹介。
その結果、デュワーズにおいては、スコッチウイスキーで国内No.1のポジションを獲得。バカルディは、業務用で2000店舗超での展開を達成し、家庭用の配荷も前年比70%増となったことで、前年比2倍の出荷を記録。パトロンは金額ベースで80%増、ロイヤル・ブラックラは出荷数ベースで前年比10倍となったという。
同氏は、2025年の洋酒市場を取り巻く環境として、消費者物価指数が今後も2%増の高水準で上がっていくことが予想され、消費者意識としては健康志向や量より質を求める声の高まる傾向が継続、外食単価や2軒目需要の上昇、家庭では食中酒やリラックス需要が見込まれ、ウイスキーの多層化とウイスキー以外への多様化が同時に進行していると指摘。
その上で、スタンダード価格帯の安定需要に加えてプレミアム価格帯の需要拡大が期待できるほか、多層化・多様化する消費者ニーズに対応するために付加価値を提供していく必要があるとして、2025年も2024年同様の3つの軸で市場拡大に取り組んでいく意向であることを明らかにした。
デュワーズにおいては、過去5年で国内での販売金額が2.5倍になっているが、同氏は「これほど成功しているブランドは近年ない」と自信を示しつつ、その背景にはサッポロビールとの協働がうまく機能しはじめたことが大きいと語る。
サッポロビール マーケティング本部 ワイン&スピリッツ事業部 部長の河端英明氏は、2011年にスタートしたバカルディとの業務提携を振り返り、「文化が全然違う。かなり意見の相違もあり、お互いに言いたいことを言い合い、ぶつけ合って高めていく、そういう非常に良い意味での信頼関係が築けている」と評価。2024年の実績については、「2011年の提携の時には考えられない成績。ちょっと夢を見てるぐらいの感じ」(河端氏)だという。
4月3日にはデュワーズを寝かせた木樽にビールを入れて熟成させるという新たな取り組みもスタートしており、同氏は「両社の共創が新たなフェーズに入った。お客さまに新しいお酒の楽しみ、豊かさ、魅力を発見していただけるように今後も挑戦し続ける」と意気込みを語った。
続いて登壇したバカルディジャパン ブランドマネージャーの李坤龍氏は、デュワーズブランドでの取り組みを紹介した。
同氏は、堅調に推移するウイスキー市場において、2000円以上の価格帯の売上構成比が上昇傾向にあり、そうした環境下において、デュワーズは認知率が47.0%、試飲率が23.1%、過去6か月での飲用率が7.5%となっており、これを加速させるために、さらなるプレミアム感の醸成に取り組んでいくと説明。
「デュワーズ12年」を中心にエイジドウイスキーの価値を伝えていくため、引き続きテレビやネット広告で認知拡大を図っていくほか、自社主催のイベントや外部のイベントへの協賛などを通じて飲用体験の機会を増やしていく。
さらに、1杯目としてヱビスビールを飲み、飲み残しに氷を入れ、デュワーズ12年と炭酸水を注いでハイボールを作って飲むことを提案。5月27日からコラボグラス付きのパッケージを販売していく。
次にバカルディブランド担当のマーケティングマネージャーの奥村龍太郎氏が同ブランドの取り組みを紹介した。
同氏は、国内のバカルディを除くラムカテゴリーは、コロナ禍からの回復後、頭打ちからダウントレンドで推移している一方で、バカルディはゴールドラムの成長を軸にラム全体のマイナストレンドをカバーしていると指摘。
カクテルでの消費のウエイトが大きいラムの裾野を広げ、手軽に飲めることを広める必要があるとして、昨年から展開している「バカルディハイボール」の普及に継続して取り組むとする。
ウイスキーハイボールを飲む人の中にも、ウイスキーの味わいに満足していない人が2割ほど存在していることから、こうした層にクセの少ない「バカルディハイボール」を提案していくことで市場の拡大を目論む。
これに加え、同ブランドが音楽との親和性が高いとして、音楽フェスに出店するなどして、飲用体験の機会創出にも取り組んできた結果、ブランド認知率や購入意向がじわじわと増加。
2025年は、こうしたトレンドを継続させ、市場への早期定着を図るため、ゴールドラムの育成に注力しつつ、バカルディハイボールの普及を通じてラムのメジャー化を目指していく。あわせて、音楽ファンからの支持獲得を狙い、アーティストとコラボし、楽曲を作って発信していく「DO WHAT MOVES YOU 音楽蒸溜所」といった企画にも取り組んでいく。
奥村氏は、こうした施策を通じて2030年までにはラムカテゴリー全体を100億円規模まで成長させたいとしている。
最後に東氏が再び登壇し、プレミアムブランドのさらなる強化について説明した。
スーパープレミアムテキーラ市場は過去3年で3.6倍に拡大し、カテゴリーの成長を牽引していることから、同社では「パトロン」の販売を強化することでシェア拡大を目指す。
同氏は、「パトロン」の特徴について、「アガベ100%のテキーラであっても1%までは添加物を入れてもよいということで、砂糖やカラメルが加えられている。パトロンは、基本的に最高の材料を使って最高のプロセスで作ったら添加物はいらないということを旨としており、メジャーどころでいうとパトロンだけ」と他のテキーラとの違いをアピール。
さらに、その上のプレステージカテゴリーでも新製品を発売する予定であることを明らかにした。
また、シングルモルトウイスキー「ロイヤル・ブラックラ」については、初の王室御用達となった歴史の訴求に加え、シェークスピアの戯曲「マクベス」の舞台になった地に蒸溜所があるというつながりから、吉田鋼太郎が芸術監督を務める舞台「マクベス」にも協賛。バーテンダー向けのセミナーなども行ないながら、ブランド認知の拡大に取り組んでいくとしている。