ニュース

キリン、カップ型の「エレキソルト」を発売

2025年9月9日 発売
「エレキソルト カップ」と「エレキソルト スプーン」

 キリンホールディングスは、電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強する減塩サポート食器「エレキソルト」の新商品となる「エレキソルト カップ」(ES-B001)と、リニューアル品の「エレキソルト スプーン」(ES-S002)を9月9日に発売した。

 同社では、2024年5月に初代「エレキソルト スプーン」を数量限定で発売していたが、スプーン以外の形態を求める声やスプーンを使わずに汁物を食べたいとする声に応える形で新たに「エレキソルト カップ」を開発。

 エレキソルト カップの価格は2万6950円。大きさは約101×130×88mm、重さは約186g(電池含まず)。3Vのリチウムコイン電池(CR2032)で動作する。

 エレキソルト スプーンについても、先端の小型化や食洗機対応のほか、より自然な動作で効果が得られるように改良を重ね、リニューアル発売されることになった。こちらの価格は2万4750円。。大きさは約39×201×28mm、重さは約57g(電池含まず)。3Vのリチウムコイン電池(CR2032)で動作する。

 9日から公式オンラインストアでの販売が開始されているが、11月以降は家電量販店や生活雑貨専門店などでも取り扱われる予定。

 9日に開催された発表会では、取締役常務執行役員 ヘルスサイエンス事業本部長の吉村透留氏が登壇し、キリングループにおけるヘルスサイエンス事業の位置づけなどが説明された。

(左から)ヘルスサイエンス事業部 新規事業グループの佐藤愛氏、取締役常務執行役員 ヘルスサイエンス事業本部長の吉村透留氏、ヤーマン 開発本部 開発企画部の小島英明氏

 同氏は、「キリングループは、世界のCSV(Creating Shared Value)先進企業を目指し、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいる。我々が掲げるビジョンは、アジアパシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーになること」と述べ、FANCLやBlackmoresとあわせ、それぞれの強みを融合し、新たな価値を創造していく方向性を示した。

 健康課題へのアプローチのしかたとしては、プラズマ乳酸菌を中心に「土台の健康づくり」を推進し、人間が本来持っている力を高め、その上で生活習慣病や肌の健康といった個別の健康課題の解決に効果的に取り組むことができるとた上で、「個別の健康課題は、素材からサービスまで、キリングループが持つ強みを最大限に使うことで、お客さまの健康に貢献したい」としている。

 吉村氏は、「ヘルスサイエンス事業は2019年に本格的に開始したが、今年度初めて黒字化となる予定。2027年には180~200億円、2030年には300億円、今から10年以内に既存アセットのみで500億円以上の事業利益の創出を目指し、ヘルスサイエンス事業をグループ全体の利益成長を牽引していく事業へと育てていく」と語る。

 同氏は、こうした目標を実現していくためには、基盤となる市場における安定的・持続的な成長に加え、新市場や新領域への進出が重要だとして、M&Aによる外部リソースの取り込みとあわせ、キリンの強みと社内外のイノベーションをかけあわせた新規事業開発を推進していく必要があるとする。

 エレキソルトについては、新規事業開発に位置づけられる取り組みとなり、同氏は「事業の種まきから検証、育成、事業化までつなげるプロセスを確立している」としつつ、「すでに顕在化した健康課題だけでなく、潜在的な健康課題にも挑戦したい。5年後、10年後の未来の社会を見据えて、将来につながる事業領域を先取りして、一人ひとりの生活者に新しい健康価値をお届けしたい」と宣言。2035年時点で複数の新規事業により200~300億円規模の売上を目指すとしている。

 続いて登壇したヘルスサイエンス事業部 新規事業グループの佐藤愛氏は、エレキソルトについて、「減塩食をおいしく楽しんでいただくことで、健康的な食生活をサポートする新規事業」と改めて説明。

エレキソルトの仕組み

 同氏は、昨年発売した第1弾商品が販売開始から7か月で予定台数の7倍を上回る注文数を記録したことを紹介しながらも、スプーン以外の形状を求める声や、食洗機で使いたい、使い方が難しいといった声が寄せられたことから、こうした課題を解決すべく、美容機器の製造や通電技術のノウハウを保有するヤーマンに協力を依頼したと振り返る。

 ヤーマン 開発本部 開発企画部の小島英明氏は、第2弾となる今回の商品を開発するにあたっては、同社の小型化設計技術や電気設計技術、防水設計技術を応用したと明かす。

 佐藤氏によれば、第2弾商品においては1万台以上の販売を目標に掲げつつ、2026年には日本同様に塩分の過剰摂取の課題を抱えているアジア圏への進出を皮切りにグローバル展開も視野に入れているという。さらに、将来的には塩味やうま味以外の電気味覚の技術開発にも取り組み、2030年にはエレキソルト事業で数十億円規模の売上を目指していくとしている。

 その後、佐藤氏の解説の下、1.5倍に薄めたミネストローネスープを「エレキソルト カップ」を使って試食する体験会も行なわれた。カップに口をつけてから約2秒間、微弱な電流(3段階に調節可能)が流れ、塩味やうま味を増強する仕組みになっているため、ゆっくり飲むのがポイント。電池が入っているカップの底面部は外れるようになっており、これにより食洗機にも対応しているとのことだ。

電極が仕込まれたエレキソルト カップ
電流の強さは3段階に調節できる
底面を外すことで食洗機にもかけられる

 なお、初代のエレキソルト スプーンではCR2リチウム電池が使用されていたが、今回の商品ではコンビニエンスストアなどでも購入できるCR2032リチウムコイン電池に変更されている。佐藤氏は、駆動時間は同等で、3食使用して20日間は電池がもつ想定だとしている。