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カクヤス×宝酒造、日本酒の新しい楽しみ方「酒ハイ」を提案

2025年9月10日 発表
カクヤスと宝酒造が日本酒の新たな飲み方「酒ハイ」を提案

 カクヤスと宝酒造は9月10日、日本酒需要創造会議を通じて共同で取り組んでいる「酒ハイ」についての記者説明会を開催した。

 日本酒需要創造会議は、日本酒の魅力を発信しユーザー層を拡大すべく、メーカーや流通業者が集まって2024年4月に設立された団体。その活動の第一弾として、「酒ハイ」という日本酒の新たな飲み方を提案している。

酒ハイ三原則

 酒ハイとは「日本酒のソーダ割り」のことで、日本酒需要創造会議が掲げる「酒ハイ三原則」によれば、「日本酒と炭酸水はキンキンに冷やしておく」「日本酒:炭酸水=1:1で割る」「日本酒本来の味わいを楽しむ」という3つがポイントとなる。

 かつては大人のたしなみとして少し敷居が高いイメージもあったウイスキーがハイボールの普及によって身近になったように、日本酒に苦手意識を持っていた人や若者にもまずは気軽に楽しんでもらおうという試みだ。

こちらの「酒ハイ」ロゴはカクヤス社内のデザイナーによる内製だという。店舗向けに提案するメニューPOPなども作っているそう

 カクヤスでは、主に飲食店向けの営業を通じて酒ハイを提案しており、2025年9月時点で個人店に限っても1513店のメニューに導入されたという。

 酒ハイの施策は、日本酒の新しい飲み方をアピールすることで潜在需要を発掘し、業界全体を盛り上げることが目的となる。そのため特定の「公式おすすめ銘柄」のようなものは存在しないのだが、カクヤス社内で独自の検証を重ねながら飲食店にメニューを提案している。その検証結果としては、「香りが強い」「酸度が高い」「吟醸系」「フルーティー」といった条件のいずれかに当てはまれば炭酸割に合うとのことだ。

宝酒造は酒ハイ専用の「松竹梅 瑞音」を飲食店向け限定で先行販売中

 宝酒造は、酒ハイのための炭酸割り専用日本酒「松竹梅 瑞音(みずおと)」を開発。2024年10月から業務用ルート限定で先行販売している。

 ターゲット層は、和食に合わせて日本酒を楽しみたいと興味を持ちつつも「アルコール度数が高い」「ゴクゴク飲めない」といった理由で手を伸ばせていなかった人としている。炭酸割りで度数を抑え、爽やかな香りを楽しめるようにしつつ、日本酒らしい余韻を残し満足感のある味わいに仕上げた。

 導入店舗からの反響としては、和食メインの居酒屋から「以前から自慢の刺身にあわせてぜひ日本酒をおすすめしたかったが、飲み慣れていない人にはおすすめしづらい場面もあった。瑞音の酒ハイならおすすめしやすい」といった声があったほか、日本酒のイメージが薄い肉料理主体の店舗でもハイボール感覚で合う新たな選択肢として受け入れられているという。

「瑞音」の酒ハイ用マドラー

 瑞音を酒ハイで試飲してみると、甘味と酸味のバランスがよく、メロンや洋梨のような華やかな香りを楽しめる。刺激やクセはほとんどなく、後味でほんのり日本酒を飲んだと再認識する程度で、日本酒を飲む習慣がない人でもおいしく楽しめるだろう。アルコール度数は14%なので、1:1で割った場合は約7%となり一般的なウイスキーのハイボールと同等の度数になる。

 飲食店向けの発売から約1年が経過している瑞音だが、現時点では小売での展開は未定。酒ハイという新たな飲み方を前提とした銘柄なので、まずは飲食店での提案・体験を通じて普及させていくフェーズにあるという理由だ。

瑞音はまだ個人では買えないが、宅飲みなら「松竹梅 昴」が酒ハイに適している

 お店で瑞音を飲んでハマった人が自宅でも酒ハイを飲んでみたくなったなら、個人で買える宝酒造の商品のなかでは「松竹梅 昴(すばる)」が酒ハイに適しているという。

 こちらは専用に開発されたものではない既存の銘柄だが、瑞音とは異なる酒ハイとしての魅力があると感じた。爽やかな果実感があり、炭酸割りにした際に香りがよく広がる。甘さが少なくすっきりした飲み口なので、食中酒として料理にも合わせやすい。

 このほか、カクヤスがセレクトした他社銘柄でも酒ハイを試飲したが、日本酒に詳しくなくてもそれぞれの香りや味わいの個性を捉えやすいことに驚いた。ウイスキーの飲み方にたとえるならハイボールでありつつ、推奨している比率からすればトワイスアップでもあるおかげだろうか。飲みすぎには注意だが、飲みやすい分だけ飲み比べもしやすい。日本酒の魅力に触れる第一歩としては大いにありだ。

このほか「天狗舞 山廃仕込 純米」「菊正宗 純米樽酒」「梅乃宿 純米」を酒ハイで試飲した