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ケンタッキー、オリジナルチキンのおいしさのヒミツを日本でただ一人の“チキンマイスター”笠原氏から学んできた

2026年7月30日 取材
ケンタッキーフライドチキン「オリジナルチキン おいしさのヒミツ発見キャンペーン」

 日本ケンタッキー・フライド・チキンは、「オリジナルチキン おいしさのヒミツ発見キャンペーン」を9月まで実施している。長年愛されている秘密はどこにあるのか探るべく、横浜にある本社に足を運んだ。

チキンマイスターからおいしさのヒミツを学ぶ

 本社で出迎えてくれたのは「チキンマイスター」の肩書を持つ笠原一樹氏。実は、オリジナルチキンを調理するには「チキンスペシャリスト」という社内資格が必要で、その中でもトップに位置するのがチキンマイスターの笠原氏だ。チキンマイスターは2013年に開始された日本KFC独自の制度で、創業者カーネル・サンダースの志と調理法の指導を行なっている。

チキンマイスター 笠原一樹氏

 お店の看板商品であるオリジナルチキンを調理するには厳格なマニュアルがあるのだろうと思っていたが、それ以上に資格まで必要とすることには正直驚いた。チキンスペシャリストの資格を持っている従業員は日本全国で約1万9000人とのことで、取得するには筆記試験と実技試験に合格しなければならない。その中でもレベルに応じてC/B/A/Sの4段階でランク分けがされており、最高のSランクは両方のテストで満点を取る必要があり、全国に数%しかいないスペシャリストだ。ちなみに、チキンマイスターはSランクの中からさらに特別な受験資格を得て突破しなければならず、現在のところ笠原氏のみが名乗ることを許されている。

チキンスペシャリストの認定試験は毎年行なわれる
現在のチキンマイスターは笠原氏のみ。コロナ禍では活動を休止していたが、2026年6月より再開

 その笠原氏がオリジナルチキンについて分かりやすく解説してくれたのが以下の項目だ。
・オリジナルチキンの正式名称は「オリジナルレシピチキン」
・1940年にカーネル・サンダースがレシピを完成させてから86年が経過
・日本では56年が経過
・レシピは10+1の11種類のハーブ&スパイスから成る
・オリジナルチキンで使う鶏は国内産の若鶏で生後35日前後の中雛
・鶏は5部位・9ピースに分割された状態で店舗に納入される
・5部位とは「キール(胸)」「ウイング(手羽)」「サイ(腰)」「ドラム(脚)」「リブ(あばら)」のこと
・各店舗において手仕込みで調理する
・圧力調理できるフライヤーを使い、185度で約15分間揚げる
・調理完了まで約40分

 笠原氏はオリジナルチキンのさまざまなエピソードを話してくれたが、どれも興味深い内容だった。カーネル・サンダースがレシピを考案している時に10種類まではすんなりと決まったが、あと1つのピースがなかなか探し出せずに試行錯誤したことや、極秘扱いにされているレシピは世界で3人しか知らないとされていること、世界各国に出店しているKFCだが、カーネルが3回も訪れたことがあるのは日本だけであることなどを紹介した。カーネルは日本について、「日本のチキンが自分のオリジナルレシピにもっとも近い」と評価していたそうだ。

オリジナルチキンのレシピは11種類のハーブとスパイスで構成されている

 使用している鶏肉は、日本KFCと契約している飼育農場(全国約170か所)で育てられた生後35日前後の「中雛」を原料としている。35日前後の若鶏を使用する理由として、骨が細くて筋肉が柔らかく、鶏特有の臭みが少ないためであると笠原氏は説明した。

オリジナルチキンは生後35日前後の中雛を使う

 さらに調理工程の概要についても説明してくれた。生の鶏肉が毎日店舗に届けられるので、品質チェックをまずは行なう。その後、スパイスと小麦粉を配合した衣を付けるために鶏肉を専用バットの中で規定回数混ぜて味付けし、最高温度185度で約15分間、圧力をかけたフライヤーで揚げることが説明された。原材料の受け入れから調理完了まで約40分を要するため、もし大量オーダーで商品切れが発生した場合は、「店舗ごとに手間をかけて調理しているので、時間がかかるのをご理解いただけると助かります」と説明した。

調理の流れ
専用のフライヤーで圧力調理するのがポイント

 オリジナルチキンの5部位についても学ぶことができた。鶏肉は「キール(胸)」「ウイング(手羽)」「サイ(腰)」「ドラム(脚)」「リブ(あばら)」の5種類・9ピースに分けられ、それぞれに味わいが違うと説明した。店舗では部位を選んで購入することはできないが、まんべんなく各部位を入れて販売することが決められているとのこと。とくに味わいが大きく変わるムネ肉とモモ肉に分類される部分は偏らないようにされている。たとえば、1ピース購入の場合は5部位のどれかになり、2ピース購入の場合は、キール/ウイング/リブのどれかとサイ/ドラムのどれかを提供するようにしている。もちろん、購入するタイミングによって、店舗にどの在庫が残っているかで前後する可能性はあるが、基本的には“まんべんなく”が徹底されているとのことだ。なるほど。

食べ応えの「サイ(腰)」、コラーゲンたっぷりの「ウイング(手羽)」、あっさり柔らかい「キール(胸)」、深みのある旨み「リブ(あばら)」、食べやすくジューシーな「ドラム(脚)」

オリジナルチキンの調理を体験する

 今回の体験会では、筆者も実際に鶏肉に衣を付ける作業を行なった。その中で重要こととして、ハーブ&スパイスと小麦粉を混ぜ合わせた粉の中で10回かき混ぜながらまぶし、7回押し込んで味を浸透させることを笠原氏は伝えた。

用意された材料や器具
まずは水で洗う
水をよく落とし
衣を付けるバットに鶏肉を移す
「まぶす」「押し込む」を規定回数行なう
余計な衣を振り落とす
手首をくっつけるようにして落とすのがポイント
ウイングはプラプラしないように最後に折り曲げる

 そして、衣をまぶした鶏肉は必要以上に付着しているので、それを2回の作業でふるい落とすことも紹介した。ポイントは、1回目は下に向かって衣を落とし、2回目は手首と手首をくっつけるようにして軽く落とすということだった。見よう見まねでやってみたが、どの程度落としてよいものかが分からないのでなかなか難しい。

筆者が衣を付けたもの。力の加減が難しい

 また、実際にテストキッチンにて、店舗と同様の調理器具を用いた営業時の調理作業も見せてもらった。手際のよさはさすがマイスターというべきもので、スピーディーでありながら所作の美しさが印象的だった。

フライヤーにセットするまでの調理作業を間近で見学できた
調理が完了する30秒前から蒸気が勢いよく噴き出す
専用の器具を使ってオリジナルチキンを引き上げる
完成!

やっぱりケンタッキーはおいしかった

 最後は自分が手掛けたオリジナルチキンを実食した。材料がよく、レシピも秀逸なおかげか、立派にケンタッキー・フライド・チキンといえる味わいだった。では、マイスターが調理したオリジナルチキンと比較するとどうか。食べ比べてみると「あれあれ?」という感じで、自分が調理したものは塩味が強い感じがした。じっくり観察すると、所々、衣が厚ぼったくなっているような部分が散見され、「衣は付けすぎても、薄すぎて(はがれる)もダメです」という説明が理解できた。さすがはプロ中のプロ、凄いぞマイスター!

筆者作のオリジナルチキン
マイスターが調理したオリジナルチキンも味わうことができた

 ちなみに、オリジナルチキンの調理体験(参加費2000円)ができる「KFCおいしナブルキッチン」を全国の一部店舗で実施しているので、興味のある方はチェックしてもらいたい。小学生以上を対象としているので、親子で参加することも可能だ。