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サントリー「大隅」に初のプレミアム芋焼酎。芋を蒸さず焼かず130℃で調理した蜜のような甘みを試飲してきた

2026年11月17日 発売
サントリー本格芋焼酎「THE PREMIUM OSUMI〈STARDROP〉」(左)と、リニューアルする「大隅OSUMI〈芋〉」「同〈麦〉」

 サントリーは、本格焼酎ブランド「大隅OSUMI」初のプレミアム焼酎となる本格芋焼酎「THE PREMIUM OSUMI〈STARDROP〉」を数量限定で発売する。紅系さつまいもを加圧下130℃で調理する「甘み開花製法」を採用し、焼き菓子のような甘やかさと深いコク、余韻を持たせたという。

 定番の「大隅OSUMI〈芋〉」「同〈麦〉」も2027年3月上旬以降、順次リニューアルする。定番品の刷新は初めて。発表会には、大隅酒造 代表取締役社長の矢ケ崎哲也氏、サントリー マーケティング本部 リキュール・スピリッツ部長の新関祥子氏、同 スピリッツ・ワイン商品開発研究部 部長の伊藤定弘氏が登壇し、試飲も行なわれた。

「THE PREMIUM OSUMI〈STARDROP〉」のテイスティングノート。香りは「スイートポテト、バニラ、ブランデーのような甘い香り」

サントリー本格芋焼酎「THE PREMIUM OSUMI〈STARDROP〉」

発売日: 2026年11月17日(数量限定)
販売地域: 全国
価格: 4200円前後(税別)
容量: 720mL
アルコール度数: 40%
品目: 本格焼酎
※2026年11月4日から各種ECサイトで予約受付

サントリー株式会社 スピリッツ・ワイン開発生産本部 スピリッツ・ワイン商品開発研究部 部長 伊藤定弘氏

 開発の出発点は「大隅酒造×サントリーだからこそできる本当に革新的な芋焼酎をつくれないか?」という問いだった。構想も含めて約5年をかけて開発したという。サントリー商品開発センターの長年の蒸留酒の研究から、上質な蒸留酒に感じられる甘みとコクに注目した。

 同社の調査(n=200)では、豊かな味わいや香りのよさ、食事に合うこと、本格的であることは、3000円以上の焼酎を飲む人も1500円未満の焼酎を飲む人も重視する基本的なニーズだった。差が開いたのはコクや甘み、ご褒美感、気分転換で、グラフから読み取ると「甘みがある」は1500円未満の約6割に対して3000円以上は約8割、「ご褒美感があること」も約6割に対して約8割となっている。

3000円以上の焼酎を飲む人は、コクや甘み、ご褒美感、気分転換を重視する割合が高い

 一般的な焼酎用のさつまいもは白系で、加工は蒸すか焼くかだが、蒸す方法では求めるレベルの甘みとコクが得られなかった。焼く方法では焦げ感を伴うことが多く、甘みとコクを感じにくくなったという。

白系さつまいもを蒸す、焼くという一般的な方法では、求める甘みとコクに届かなかった

 そこで通常の焼酎では使わない品種や加工方法まで検討を続け、行き着いたのが「第3の加工方法」と位置づける「甘み開花製法」だ。品種は紅系さつまいもで、加工には通常行なわれない芋の加圧高温調理を採用した。調理温度は蒸しの100℃、焼き芋の150~210℃に対して130℃で、焦げ感を抑えつつ甘みとコクを引き出せるとしている。

紅系さつまいもを加圧下130℃で調理する「甘み開花製法」

 テイスティングノートによると、味わいは「蜜のような芋の深い甘み」、後味は「長く続く、甘やかな余韻」。定番品と同じ「香り厳選蒸溜」による心地よい香りも特徴だという。

 記者が試飲すると、しっかりとした飲み応えがありつつ、それでも雑味などは徹底的に排除されている。まさにスイーツのような甘い香りはご褒美感のある一杯になるだろう。

 パッケージは、焼酎の本場・鹿児島の桜島と、大隅酒造から望む美しく澄んだ星空がモチーフ。ゆったりと過ごすひとときと、焼酎の深い味わいを表現した。

「芋は、これほどまでに深く、甘い」をメッセージに掲げた「THE PREMIUM OSUMI〈STARDROP〉」

サントリー本格焼酎「大隅OSUMI〈芋〉」「同〈麦〉」

発売日: 2027年3月上旬以降順次
販売地域: 全国
価格: 〈芋〉998円前後、〈麦〉962円前後(いずれも税別)
容量: 900mL
アルコール度数: 25%
品目: 本格焼酎

新たに透明瓶を採用する「大隅OSUMI〈芋〉」(左)と「同〈麦〉」

 定番の2本は新たに透明瓶を採用し、大隅半島から見える澄んだ空と桜島をパッケージのモチーフにした。〈芋〉は昼から夕方にかけての穏やかな空気、〈麦〉は澄みわたる爽快な朝の空気をイメージしている。

 中味は、現行品で評価されている香味の骨格を活かしつつ、爽快さを加える方向でわずかに調整した。〈芋〉はふかし芋のようなふっくらした甘い香りと、なめらかな口当たり、心地よい余韻。〈麦〉はすっきりとしたフルーティな香り立ちと、軽やかな口当たり、ほのかな甘みが特徴だという。

〈芋〉(左)と〈麦〉の香り、口当たり、後味の特徴

 この2本を支えるのが、独自製法の「香り厳選蒸溜」だ。蒸留が進んでアルコール度数が75度から10度へ下がっていくなかで、出てくる香りは華やかな香り、素材由来の甘みやコク、重い香り、焦げ臭へと変わっていく。大隅は雑味や苦味の成分を含む蒸留後半をカットし、素材本来の香りが際立つ部分だけを使う。サントリーの洋酒づくりの技術と鹿児島の伝統的な焼酎づくりの技術を掛け合わせたもので、鹿児島の100以上の蔵元の中で独自の製法だとしている。

雑味が出る手前で、香りのよい部分だけを使う「香り厳選蒸溜」

 発表会では、香り厳選蒸溜を使っていない比較用の芋焼酎も用意された。伊藤氏は、自身もこうした一般的な焼酎が好きだとしている。ソーダ割りは、ソーダ2に対して焼酎1の割合で試飲した。

「大隅OSUMI」の芋と麦は香りにこだわるサントリーらしさが感じられた。酒好きの記者としては、焼酎の重さはもちろん雑味まで醍醐味と思ってしまっているが、それらがカットされ、華やかな香りや軽やかさを楽しめる仕上がりになっていた。ソーダ割りにすれば焼酎を飲み慣れない人にも親しみやすいものになると感じた。

 現行品は〈芋〉が2019年、〈麦〉が2020年に発売された。雑味のない澄んだ味わいと豊かな香りが食事に合うと好評だといい、TWSCでは〈芋〉が3年連続の金賞で殿堂入りし、ベストコストパフォーマンス賞も3年連続で受賞。ISCでは〈芋〉〈麦〉がそろって金賞を受賞している。

「大隅OSUMI」の国内外での主な受賞歴

「カテゴリーで選ばない」20~40代へ。3000円以上の焼酎瓶市場は4年で約1.7倍

サントリー株式会社 マーケティング本部 リキュール・スピリッツ部長 新関祥子氏

 なぜプレミアム品を出すのか。資料によると、焼酎市場は縮小傾向にあり、小売金額はグラフから読み取ると2021年12月の約4000億円から2025年12月の約3700億円へ減っている(12か月移動累計、同社推計)。

 そのなかで「大隅OSUMI」は飲食店を中心に伸びている。売上数量は5年連続で110%以上の成長で、グラフでは2020年の3万ケース弱から2026年見込みの約10万ケース(720mL瓶×12本換算)へ増えた。飲食店の取扱店数も7099店から1万7146店(2026年見込み)に広がっている。

「大隅OSUMI」は5年連続で110%以上の成長。飲食店の取扱店数も2026年見込みで1万7146店

 市場全体を見ると、伸びているのは中高価格帯の瓶だ。2025年の小売金額(同社推計)は対前年で、700mLで2000円以上のジンが118%、同じくテキーラが145%、700mLで3000円以上の梅酒(瓶)が158%。焼酎も900mLで1000円以上の瓶は524億円で102%と、それ以外の3175億円・97%を上回った。

ホワイトスピリッツ、リキュール、焼酎のいずれも中高価格帯の瓶が伸びている

 買っている人にも違いがある。グラフから読み取ると、焼酎全体では約25%の20~40代が、中高価格帯の焼酎では約33%に上がる。3カテゴリー以上の瓶酒を買い回る人も、焼酎全体の約3割に対して中高価格帯の焼酎では約4割だ(A企業のID-POS、2025年1~12月)。

中高価格帯の焼酎は20~40代の比率が高く、複数のカテゴリーの瓶酒を買い回る人も多い

 同社はこの動きを「瓶酒のカテゴリーレス化」と呼ぶ。「カテゴリーで選ばない」人はグラフから読み取ると20代で約6割、60代以上で約4割(2025年、n=3万)。判断基準(2026年、n=1000)も、本格感や香りは20~40代と50代以上で変わらないが、その時の気分は57%と49%、お酒づくりの背景にあるストーリーは38%と21%、デザインは40%と21%で差が開いた。

20~40代は「その時の気分」「お酒づくりの背景にあるストーリー」「デザイン」を判断基準にする割合が高い

 一方で「大隅OSUMI」のイメージ(2025年4月、n=766)は「香りがよさそう」が10%、「飲みやすそう」「品質がよさそう」が各14%、「センスがよい」が13%で、同社はお酒に求められている価値との間に「大きな開きがある」としている。

お酒に求められる価値と「大隅OSUMI」のイメージには開きがあるという

 プレミアム焼酎の市場も伸びている。3000円以上で900mL以下の乙類焼酎(瓶)の小売金額は、グラフから読み取ると約12億円から約22億円へ、4年で約1.7倍に拡大した(同社推計)。ユーザーは20~40代が約7割を占める。

3000円以上の乙類焼酎(瓶)市場は4年で約1.7倍。ユーザーは20~40代が約7割

 これまでも小売のルートはあったが、現状の売れ行きは飲食店が約9割を占める。今後は定番品の初リニューアルとプレミアム限定品の発売に合わせて、家庭用チャネルやECの販売を強化し、「THE PREMIUM OSUMI〈STARDROP〉」は免税店にも展開する。体験イベントも実施する。2030年には2026年比で約2倍の20万ケースを目指す。

2030年に20万ケースを目指す中期計画

鹿児島県曽於市の大隅酒造は、焼酎のほかウイスキーも製造

大隅酒造株式会社 代表取締役社長 矢ケ崎哲也氏

 大隅酒造は鹿児島県曽於(そお)市大隅町にあり、2005年に創業。2014年にサントリーの100%子会社となった。従業員数は22名(2026年11月時点)で、製造品目は単式蒸留焼酎、スピリッツ、リキュール、ウイスキー。周辺環境には美しく澄んだ空と、シラス台地に磨かれた清冽な水を挙げており、矢ケ崎氏によると、天の川が肉眼で見えるほどの空気だという。

大隅酒造は鹿児島県曽於市大隅町にある

 サントリーグループで唯一、麹・発酵を使った原料酒づくりに特化した拠点で、焼酎のほかジャパニーズウオツカやRTD(缶入りのお酒など)の原料酒も製造している。強みに挙げるのは、焼酎づくりの場では珍しいというパイロット蒸留設備で、小規模かつ高速で試作や改良ができるという。

焼酎づくりの場では珍しいというパイロット蒸留設備を備える

 目指す姿として掲げるのは、海外に向けて日本発のスピリッツ「SHOCHU」を発信することであり、鹿児島・大隅酒造が「SHOCHUの聖地」になることを目指していく。