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自宅でサントリー「白州」を試飲しながらリモート見学会「白州蒸溜所オンライン・ライブ」に参加してみた

Zoomのウェビナー機能を使ったリモート蒸留所ツアー「白州蒸溜所オンライン・ライブ」

 サントリーは2021年2月からインターネットでのリモート蒸留所ツアー「山崎蒸溜所オンライン・ライブ」「白州蒸溜所オンライン・ライブ」を開催している。山崎蒸留所のオンライン・ライブは以前、筆者も参加してレポートしているが、今回は白州蒸溜所のオンライン・ライブを体験してきた。

 サントリーが持つこの2大蒸留所は、一般の見学ができる施設(要予約)として年間30万人が訪れる大変人気のあるスポットだったが、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、2020年2月から受け入れを休止している。コロナ禍でも蒸留所見学に代わるもの、また遠方からでも参加しやすい形態としてリモート蒸留所ツアーが企画された。

サントリーウイスキー「リモート蒸溜所ツアー」

 リモート蒸留所ツアーは、360度フリーツアー(無料)とオンライン・ライブ(有料)の2つが用意されている。360度フリーツアーはVR技術を使ったもので、視点を自由に変えながら自分のペースで蒸留所を見学できる。

 オンライン・ライブは、リアルタイムに工程を見学できるツアーで、ナビゲーターにチャットで質問できる点も好評だ。そして、事前に送られてくるテイスティングキットでの試飲も楽しみの一つだろう。

 2月から山崎・白州ともオンライン・ライブを開催しているが、これまで1万4000人が参加し、アンケートでは96%の人が「満足した」と答えており、人気コンテンツとして認知されてきているようだ。

360度フリーツアーは無料で楽しめるので、まずはこちらをのぞいてみよう

 山崎蒸留所と並んでサントリーを代表する白州蒸留所やオンライン・ライブについては、サントリースピリッツ ウイスキー事業部の小島葵氏が説明してくれた。サントリー二代目の社長であり二代目マスターブレンダーも務めた佐治敬三氏が、山崎蒸留所とは異なる個性の原酒を求めてこの地に蒸留所の建設を決めた。当時は原酒不足に対応するため山崎蒸留所の増設も検討されたそうだが、上記の理由から新設に舵を切ったそうだ。

 求めるものは良質な水と豊かな自然。それを満たすものを山崎蒸留所の工場長を務め初代チーフブレンダーとして活躍した大西為雄氏に最後の一大プロジェクトとして佐治氏が命じた。そしてたどり着いた場所が、南アルプスのふもとに位置する山梨県北杜市白州町だ。

 花崗岩層に磨かれた軟水はミネラルバランスもよく、美しい森の景観は二人が求めるものを体現していた。そして、ウイスキー作り50周年を迎えた1973年に白州蒸留所を建設。蒸留所のコンセプトは「森林公園工場」で、佐治敬三氏が海外視察の際に工場内にフラミンゴの楽園があることに感銘し、ウイスキー作りに重要な水を育む森を大切にした愛鳥活動を採用した経緯が込められている。自然との調和を最優先に建設された白州蒸留所が「森の蒸留所」と呼ばれる所以である。

 2月から開催している白州蒸留所のオンライン・ライブだが、7月17日開催分よりさらに魅力的になっている点も紹介された。具体的には、森の蒸留所体験の強化として周囲の美しい景観をより多く盛り込み、自宅飲みでの充実した体験を訴求するため、ナビゲーターがオススメする季節に合わせた「白州」の楽しみ方なども紹介する。今後も参加者の声を聞きつつ、季節に合わせて内容を更新していくとのことだ。

水と自然を求めて白州蒸留所は1973年に誕生した

 山崎蒸留所のオンライン・ライブと同じように、参加するには事前に同社のWebサイトから予約する必要がある。自分が参加できる日時のコマを選択して参加者情報を登録し、オンライン決済(3300円・税込)すればOK。

 オンライン・ライブはZoomのウェビナー機能を使って参加するので、開催直前に慌てないためにも余裕をもって事前にインストールしておきたい。その後、事務局からはテイスティングキットが宅配便で送られてくる。刻印の入ったテイスティンググラス、白州のミニボトル(180ml)、製造工程が記されたテイスティングシート、参加方法の詳細が記された説明書が入っているので内容を確認しておこう。白州のテイスティングキットはボトルと同じように森をイメージさせる緑のカラーリング。ライブ当日まで眺めて楽しもう。

事前に届くテイスティングキットにテンションも上がる。森の蒸留所らしい、緑を基調としたパッケージに癒される。付属のテイスティンググラスはブレンダーが使っているものと同じ形状のもの

 オンライン・ライブは白州蒸留所の説明から始まるが、緑豊かで野鳥の鳴き声がする施設内のライブ映像が森の中を歩いているみたいでとても印象的だ。事前に上空から空撮した写真では、南アルプスのふもとに位置し、「サントリー天然水 南アルプス」の工場が隣接していることも紹介された。

 続いてモルトウイスキーの製造工程を、原料、仕込み、発酵、蒸留、熟成・貯蔵、ブレンドと順を追って紹介してくれる。世界的にもめずらしい木桶を使った発酵や木々に囲まれた自然豊かな貯蔵庫など、白州蒸留所ならではの工程を楽しく学べる。

 試飲コーナーでは、本格的なテイスティングの方法、香りが楽しめるトワイスアップの作り方、白州を使った美味しいハイボールの作り方も教えてくれる。白州に合う食べ物としてはスパイス系も合うとのことで、夏野菜をふんだんに使ったカレーや、酸味や旨味のバランスがとれたアジの南蛮漬けを勧めていた。

 チャット機能を利用した質疑応答では、「麦汁の味は麦茶に砂糖を足したようなもの」「木桶の耐用年数はメンテナンスを行なうことで30~40年ほど使用できます」と、さまざまな質問に対しても分かりやすく回答してくれるので、オンラインならではのライブ感があり参加していてとても楽しく感じた。

森に囲まれた白州蒸留所
美しい山々のふもとに位置する
赤の矢印が白州蒸留所で、青の矢印がサントリー天然水工場だ
めずらしい木桶を使った発酵は中の様子も見せてくれる
ポット・スチル(単式蒸溜器)による蒸留過程
貯蔵前の原酒であるニューポット
白州蒸留所で使われている木樽の紹介
白州を使ったオススメのハイボールの作り方を解説
白州に合うフードの紹介
夏にオススメの組み合わせ
蜂蜜を思わせる黄金色にミント香がほのかにする白州。少しの酸味とスモーキーさも特徴だ。変な余韻が口のなかに残ることもなく、すぅーっと消えていくのが素晴らしい。人気の山崎同様、入荷するとあっという間に売り切れる状態なので、近いうちに適正価格で手に入ることを祈るばかり
試飲の際は周囲のみずみずしい森林を映し出してくれる。現地に訪れたような景色が加わることで、白州もことさら美味しく感じる

 自宅に居ながら蒸留所ツアーが楽しめるサントリーのオンライン・ライブだが、「今だけウイスキーツアー、当たる」キャンペーンが7月26日の9時から始まる。文中でも紹介した360度フリーツアーで蒸留所検定で上級を取得すれば、抽選に参加できるものだ。8月26日までの1か月間で合計200名に当たる。ウイスキーファンや興味がある方はこの機会に応募してみてはいかがだろうか。