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30分で日用品が届く「pandamart」、都内初のダークストアが渋谷にオープン
2021年11月2日 18:39
フードデリバリーサービス「foodpanda」を展開するDelivery Hero Japanは、デリバリー専門の店舗を使った日用品などの配達サービス「pandamart」の新拠点を渋谷にオープンさせた。
オープン記念キャンペーンも11月15日まで実施される。キャンペーン期間中は配達料が無料となり、クーポン適用後価格で3000円以上の注文でオリジナル保冷バッグがプレゼントされる。また、1500円以上の買い物で利用できる500円クーポン3回分も提供される。
pandamartは、一般客の立ち入らない、配達専門の店舗「ダークストア」を利用した日用品の宅配サービス。対応エリア内であればfoodpandaのアプリに「pandamart」が表示され、ユーザーはそこからオーダーすると、各種商品を届けてもらえる。
現在、pandamartの拠点は神戸、大阪、名古屋、大宮、京都にあり、今回オープンした渋谷の拠点は7拠点目となる。渋谷の拠点は渋谷駅と恵比寿駅の間の明治通り沿いにあり、渋谷区を中心に港区、目黒区、新宿区あたりまでをカバーする。営業時間は8時~22時30分までで、土日祝日も営業する。配達料は一律220円となる。
取り扱う商品は日用品、冷凍食品、レトルト食品、菓子、調味料、飲料など、2000種類。順次、商品を拡充していく予定で、酒類も販売許可が取れ次第、取り扱う。
現在の品揃えとしては、生ものは少なく、実店舗のスーパーマーケットやネットスーパーに比べると、それだけで生活できるというものではない。また、菓子類や冷凍食品などもプライベートブランド品もあるスーパーの方が若干安いというケースも多い。一方でコンビニに比べると品揃えがはるかに多く、12ロールのトイレットペーパーなど、かさばる商品の取り扱いもあり、多くの商品で価格も安い。
利用シーンとしては、通常の買い物はスーパーマーケットで済ませつつ、トイレットペーパーや飲料など、かさばる重たいものをpandamartで購入したり、買い忘れたものや急遽必要になったもの、買い物に行く時間がないときに利用する、といったことが想定される。
なお、薬品類は扱っていないが、生理用品や避妊具の取り扱いがある。この辺りのデリケートな商品は、ピックアップ時にはレジ袋の中でさらに紙袋に入れられ、配達するライダーには商品がわからないように配慮されるとのこと。
フードデリバリーと同じ仕組みを使っているため、ほかのネットスーパーなどと異なり、オーダーから30分程度で配達してもらえる。これは「より早い」というだけでなく、「受け取り待機している時間が短い」という利点もある。例えばネットスーパーやECでは時間帯指定しても2時間程度の大まかな時間枠指定になり、受け取れる状態でいる時間が長くなる。しかし、pandamartはいつ届くかをかなり正確に予想できるので、その数分だけトイレを我慢すれば済む、というわけだ。
例えば、育児で忙しい家庭や在宅勤務中で買い物の時間が作れない家庭、体調不良で療養していないといけないときなどは、ネットスーパーより待ち時間なく受け取れるというメリットが大きい。一方で生鮮食品などについては、やや受け取りが面倒でも安価で取り扱いのあるネットスーパーが適しているといえるかもしれない。
配達するのは、foodpandaなどと同じ、配達業務を受託する外部の契約ライダーとなる。いまどきのこうしたライダーは、複数の事業者と契約し、その時々で都合の良い宅配依頼を受託する。例えば、同じ方角であればpandamartで複数の荷物をピックアップすることもあるし、その道すがらでさらにfoodpanda(あるいはUber Eatsなど)の料理を受け取り、ついでに配達していく、といったことがあり得る。
ただし、その場合も冷たい飲料と温かい料理が一緒にしないなどの指導はしているとのこと。また、標準のバッグに入らないような分量にならないようにもするという。料理と違い、12ロールのトイレットペーパーなど、かさばる商品もあるので、この辺りの取り扱いはfoodpanda運営、契約ライダーともに気をつけるべきポイントになるのだろう。
店内にはひたすら棚が並べられ、そこにさまざまな商品が並んでいる。店内には2000種類の商品があるとのことだったが、商品は簡単なジャンルごとに分けられていて、店内のピッカーが比較的容易に商品を見つけられるようになっている。
店内にはDelivery Hero Japanのスタッフがピッカーとして常駐する。オーダーが入ると店内のピッカー専用端末に通知が入り、ピッカーが商品のバーコードを読んで確認しながらカゴに入れていき、店先にあるカウンターで袋詰めする。その袋にはオーダーの番号がマジックで書かれ、店先のカウンターで配送を受託したライダーがピックアップするのを待つ、という形式だ。
オープン初日、渋谷店には5台のピッカー専用端末があり、最大で5人のピッカーが商品をピックアップできる体制となっていた。店内は数人のピッカーしかいないので、棚と棚のあいだの通路はカートが動ける最小限の広さしかなく、照明も一般店舗ほど明るくはない。しかし、将来的な商品点数増に備え、棚はやや余裕があるように配置されていた。店内の広さは320m2、一般的なコンビニの1.5〜2倍程度の広さだが、陳列されている商品の量はそれ以上に多い印象だ。
pandamartの渋谷進出は、事前にそれほど大きく告知されているわけではなかったが、取材時(オープン当日の10〜11時ごろ)はそこそこの頻度でオーダーの通知音が鳴っていた。ライダーもひっきりなしに商品のピックアップに来店していたが、それでも店先のカウンター上にはピックアップ待ちの商品の入った袋が複数並んでいる状態だった。
pandamartの店舗には一般客は入らず、契約ライダーしか訪れない。しかし、商品在庫があるので、そこそこの広さが必要で、さらにライダーが出入りしやすいフロアと建物の構造が必要となる。立地としては駅から近い必要はないが、需要の多い地域をカバーできる位置である必要がある。
今回オープンした渋谷の拠点は、渋谷駅と恵比寿駅の間、少し恵比寿寄りの位置で、周囲には飲食店もない場所だ。しかし、渋谷、恵比寿、代官山、目黒、広尾、麻布、白金台、六本木、表参道、青山といった名だたる住宅街が周囲に密集している、pandamartにとっては好立地でもある。店舗は明治通り沿いの1階にあるため、ライダーは移動しやすく、到着したらすぐに荷物をピックアップできるようになっている。
こうした立地を探すのが、今後、pandamartを広げていく課題になっているという。例えば、渋谷近辺では新型コロナウイルス感染症の影響もあり、好立地にある飲食店の閉店も目立つが、そうした飲食店が入るようなテナントは立地が良すぎて家賃が高く、条件に合いにくい。同社では条件に合う物件を探し、今後も積極的に新店舗をオープンして対応エリア拡大に努めていくという。
すでにDelivery Hero Japanはレストランから料理を配達サービスに加え、提携する店舗、例えばローソンやツルハドラッグなどの商品を配達するサービスを展開しているが、pandamartは拠点となる店舗(ダークストア)自体を同社が運営している、というのが大きな違いになる。
店舗を同社自ら運営しなければいけないというリスクがある反面、同社が仕入れや在庫管理ができるので、商品の構成や価格を同社の判断で変えていけるというメリットがある。まだスーパーマーケットほど安くない商品も多いが、今後はスーパーマーケット並みの価格を目指していくとのことだ。