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エスビー食品、創業100周年記念商品を発売。「赤缶カレー粉」の分包スティック&パウダールウ

2023年2月6日 発売

エスビー食品の100周年記念商品「カレー粉スティック」(上段左)と「S&B 赤缶カレーパウダールウ 中辛」(下段)

 エスビー食品は2月6日、創業100周年記念商品「カレー粉スティック」「S&B 赤缶カレーパウダールウ 中辛」を発売した。同社の代表的商品である「赤缶カレー粉」の味わいはそのままに、少人数世帯での使いやすさなどをより高めたのが特徴。発売当日には、製品の開発経緯などに関する発表会も開催した。

エスビー100年の歴史はカレー粉からはじまった~1923年に初めて国産カレー粉を製造

 エスビー食品は1923年(大正12年)に創業。胡椒やわさびといった食卓調味料の販売でも知られるメーカーだが、その歴史は、創業者の山崎峯次郎氏が日本で初めて国産カレー粉の製造に成功したことに端を発する。洋食屋で食べたカレーの味を再現しようと、材料が全く分からないところからの研究スタートであったという。

現在のエスビーの前身となる企業が1923年に創業

 その後も製品改良を重ね、1930年には太陽(SUN)と鳥(BIRD)を図案化した「ヒドリ印」、そして翌年には英語の頭文字をとった「S&B」の商標の利用を開始。そして1950年、今なお親しまれている「赤缶カレー粉」の販売を開始した。

同1923年に初の国産カレー粉の製造に成功。そこから時は下って、「赤缶カレー粉」は戦後1950年に発売した

 創業100周年にあたって、エスビーでは各種の施策に取り組んでおり、1月4日には記念サイトを公開。そして2月6日、記念商品2種を発売した。

 発表会で語られたところによれば、記念商品の開発がスタートしたのは約2年前。100周年に向けた商品案を全社員から広く公募したところ865件のアイデアが寄せられた。その後厳正な審査が行われ、今回発売となる2製品の商品化が実現した格好だが、そこでフィーチャーされたのが、同社の象徴的製品である「赤缶カレー粉」だった。

創業100周年を記念して、各種施策を展開中

「赤缶カレー粉」は、戦中~戦後の原料不足を乗り越え、それまでのノウハウを詰め込んだ集大成として1950年に発売された。30種類以上のスパイスとハーブを配合し、豊かな香りを実現。以来70年以上に渡って販売され続けており、エスビーが国内トップのカレー粉市場シェア約7割を獲得する原動力ともなった。

「赤缶カレー粉」の特徴

余る心配が少ない「スティックタイプ」、1袋小さじ1杯分×5本入り

 記念商品の1つ目が「カレー粉スティック」だ。「赤缶カレー粉」は通常、缶入りで販売されてきたが、本商品は小さじ1杯分に相当する量がスティック状のパッケージに分包されている。価格は200円前後(税別)。全国で販売される。

「カレー粉スティック」200円前後(税別)

 味やスパイスの配合は、缶入りの「赤缶カレー粉」と変わらない。ただしスティックからカレー粉が出やすくなるよう、でん粉から作られるデキストリンが原材料に加わっているが、風味などに影響はないという。

 赤缶カレー粉は、ターメリックやクミンなど30種類以上のスパイスをブレンドしており、香りの豊かさが特徴とされる。また粉末状なので、食べ物に単純にふりかけたり、料理の下味を付けるなどさまざまな応用ができる。

「カレー粉スティック」の特徴

 とはいえ、カレー粉の便利さが世間にアピールしきれていない実情もあるようだ。カレー粉市場の年代別購入金額構成比は20代が9.0%、30代で16.5%と、50代以上の27.0%と比べて低い。また、そうした20~30代の消費者は「(買っても)使い切れない」「計量するのが面倒」「使い方が分からない」などを悩みとして挙げる率が他年代よりも高かった。

20~30代の世代は、カレー粉の利用が広がっていなかった

「カレー粉スティック」では、20~30代の若い世代にまず1度「赤缶カレー粉」を試すきっかけになってほしいとの期待が込められており、使いやすさが徹底的に追求されている。例えば1袋分の内容量が小さじ1杯分となっているのは、カレー粉を使った多くのレシピで「小さじ○○杯分」が利用基準になっているから。つまり容器から取り出しやすいだけでなく、計量の手間がない。

 またパッケージ裏面には、1袋分のカレー粉で作れるレシピを掲載。一部については、より具体的な作り方も記載されており、カレー粉の利用に苦手意識がある消費者にも使い道をわかりやすくアピールした。

パッケージの裏面にはレシピを掲載。カレー粉の利用イメージを分かりやすく伝えている

スティック型なら「計量不要」「サっと使える」

 発表会では、赤缶カレー粉を使ったレシピの試食が実施された。まずは通常のコンソメスープ。そのままでも味わえるが、「カレー粉スティック」1袋分を混ぜるとどのように味が変化するか、体感してもらうのが狙いだ。

「カレー粉スティック」の1袋分は、このような形状

 1袋分のカレー粉を紙コップ1杯分のコンソメスープにサっと混ぜると、それだけでもう完全に“カレースープ”へ早変わり。飲み進めると、それだけで額にちょっと汗をかくような刺激が味わえた。レシピとしても紹介されているが、チャーハンやサラダに「カレー粉スティック」を1袋分かけるだけで、違った料理へ“味変”できるだろう。この手軽さが、スティック型カレー粉の魅力と言えそうだ。

こうしたスープに1袋混ぜるだけで、簡単にカレースープに早変わり

 また意外だったが、タコライスも「赤缶カレー粉」で作れる。カレー粉の利用に関する検索動向を世代別で調べたところ、若年層ではカレー粉とタコライスの組み合わせがトップだったとのデータもあり、レシピ開発担当者としてもイチオシメニューという。

 タコライスの肉の味付けはケチャップが基本だが、そこに「赤缶カレー粉」を加えることで味の深みが出る。今回の試食でも、そぼろ状の肉の味の濃さと、白米のプレーンさのコントラストがしっかり味わえた。タコライス用のスパイスが手元になくても、カレー粉1つで作れるため、料理初心者との相性もよいだろう。

担当者イチオシというタコライス。タコライス用の調味料が手元になくても、カレー粉で作れてしまうのは魅力だ

 そして汁物の調理にもカレー粉は使える。試食で提供されたのは味噌カレー牛乳ラーメン。キャンプなどアウトドアの場面でも、カレー粉スティックの持ち運びやすさ・手軽さを体感できるようにと、レシピを開発したという。

 カレー粉を使う量にもよるだろうが、今回の試食ではスープにほんのりカレー風味を感じるのが印象的だった。それでいて牛乳と味噌も風味もしっかり味わえる。調理の面では、最後の仕上げ時に振りかけるカレー粉の量を調整すればよいので、辛みの苦手な子供にもオススメできそうだ。

こちらは味噌カレー牛乳ラーメン

 また、カレーナムルは茹でたもやしに塩とカレー粉を和え、最後にごま油を一回しするだけで作れる。手軽なおつまみもまた、カレー粉の出番という訳だ。エスビーの担当者は「カレー粉は熱を加えないと食べられないという先入観があるかもしれないが、実はそんなことはない。スープに混ぜるだけ、料理にかけるだけでも十分楽しめるということをさらにアピールしてきたい」と話していた。

茹でたもやしにカレー粉を和えて作ったナムル

赤缶カレー粉の「パウダールウ」版も

 そして2つ目の記念商品が「S&B 赤缶カレーパウダールウ 中辛」である。固形の板状のイメージが強いカレー(ライス)用ルウだが、本商品はパウダー状となっているのが特徴。製品パッケージには、2皿分の調理用に小分けされたパウダーが4袋分入っており、価格は368円前後(税別)。全国で販売される。

「S&B 赤缶カレーパウダールウ 中辛」

 担当者によれば、固形ルウの市場需要はやや停滞感があるものの、一方のパウダールウは着実に利用が広がっている。ニーズの多様化などさまざまな要因があるとみられるが、その1つが世帯構成の変化だ。子育てが一段落した世帯・シニア世帯などでは、大鍋で沢山のカレーを作るシーンは少ない。その点、パウダールウは量の調整が効きやすく、「S&B 赤缶カレーパウダールウ 中辛」でも2皿分の調理に必要なルウが小分けで提供される。

世帯構成の変化などを背景に、パウダールウの利用は広がっている

 本商品の味のベースは「赤缶カレー粉」。ここに国産牛の出汁や国産炒め玉ねぎなどの主要素材、隠し味として鰹節、昆布出汁、味噌などをブレンドしている。そして仕込みの工程では、加熱することでうま味が引き出せる素材、後工程で混ぜ合わせる素材という2段階の仕込みを行い、美味しさ・香りのよさを追求した。

 またパウダールウは固形ルウと比べて油脂の配合比率が低く、また小麦粉も不使用のため、味わいが軽やかという。その結果として、皿や鍋など洗い物の際の油落ちがよいというのも隠れたメリットだ。

「S&B 赤缶カレーパウダールウ 中辛」は現在テレビCMを制作中。また特設ブランドサイトは、発売日当日の2月6日より公開している。

商品の特徴
調理例。味の良さはもちろんのこと、油脂分の少なさによる健康面・後片付け面のメリットも魅力だ