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入れたらラッキー!? エスビー食品の歴史が学べる「スパイス展示館」がリニューアルしたので見学してみた
2023年2月8日 14:43
エスビー食品は2023年に創業100周年を迎えることから、記念事業を各種展開している。その一環として、同社の「スパイス展示館」の展示内容がリニューアルされ、このほど報道公開された。なお同施設は社内研修や取引先への説明などに利用するもので、通常一般公開は行なわれていない。
スパイスの啓蒙・普及を目的に、工場跡地に設置
スパイス展示館は、エスビーの事業拠点の1つである「板橋スパイスセンター」(東京都板橋区)内に設置されている。エスビーの創業者である山崎峯次郎氏、社主の山崎春栄氏の遺志により1984年、スパイスの正しい啓蒙・普及のために創設され、そして今回2023年にリニューアルとなった。なお板橋スパイスセンターの敷地はかつて工場だったが、生産拠点の役割は東松山工場(埼玉県)などへすでに引き継がれている。
スパイス展示館は2フロア構成となっている。1階の入り口に入ると、左側には山崎峯次郎・春栄夫妻の巨大な銅像が設置されている。
また右側には鬼神社(きじんじゃ)があるが、これは青森県弘前市にある同名神社の分祀。この神社は鬼をまつり、鬼の好物のにんにくを奉納している。そうした経緯から、エスビーが「ガーリックパウダー」を製品化した際に分祀を申し出たところ、許可されたという。
圧巻の製品発展史「100年表」コーナー
正面の階段(山崎峯次郎氏の自宅から移築)を上った先が、メインの展示領域である。まず目に入るのが山崎峯次郎氏の書斎と、春栄氏の執務室。そして両氏の足跡がパネル展示でまとめられている。
さらに進むと巨大なオブジェがあるが、これはエスビーの代表的商品である「赤缶カレー粉」の缶を模したもの。実物は手のひらサイズだが、その8万個分に相当する大きさという。思わず写真を撮りたくなるフォトスポットとして、人気を集めそうだ。さらに裏側に回ると、山崎峯次郎氏の肉声が聞けるコーナーもある。
そして展示リニューアルの目玉ともいえるのが「100年表」だろう。国産カレー粉の製造からスタートしたエスビーの商品開発が、カレールウ、ラー油、胡椒、わさびなどへ段々と拡大、発展していく系譜が学べるようになっている。
このコーナーでは、実物の製品パッケージが数多く用意されている。スパイスや調味料の発展は、容器や保存法の進化とも直結していることは想像に難くない。旧製品のレトロなデザインも相まって、「これぞ歴史だ」と思わず唸ってしまう充実ぶりだ。
まったくの余談だが、筆者は「5/8(はちぶんのご)チップス」「鈴木くん」「佐藤くん」の展示には思わず悶絶してしまった。これらはエスビーがかつて製造していたスナック菓子で、小学生時代によく食べていた記憶がある。特に「「5/8チップス」は好みの味で、角型の紙箱に入っていて持ち運びやすく、遠足のおやつによくチョイスしていた。これはあくまで筆者の私的なエピソードだが、誰にとっても思い出のエスビー製品があるはず。それらに再び出会える場所としても、スパイス展示館の価値は大きいだろう。
一般向けにはバーチャルミュージアムを公開予定
続く「テーマ展示」のコーナーは、山崎峯次郎氏が掲げる「四つの信条」に基づいた商品開発史がまとめられている。例えば、今は当たり前のチューブ入りわさびが、どのような経緯で誕生・改良されていったかなどを学べる。
「SPICE & HERB LAB」では、エスビーが近年さらに注力しているスパイスおよびハーブについて、その基礎知識、環境との関わりなどを深く解説している。また45種類におよぶスパイス類の香りを実際に体感できる展示もある。
スパイス展示館はすでに述べたとおり、エスビーの事業拠点内に設置されているなどの都合上、一般客は入場できない。ただし今後は、バーチャルミュージアム(Webサイト)を100周年記念施策として公開する計画という。公開時期は4月を予定しており、正式決定の際にあらためて発表される。