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大分県、レストラン型アンテナショップで県産の麦焼酎の魅力を紹介

2023年7月20日 取材

 大分県は7月20日、東京有楽町にあるレストラン型アンテナショップ「坐来(ざらい)大分」に県内で麦焼酎を作る5つの酒蔵の代表者を集め、大分の食材を使った料理とのペアリングを紹介した。

 大分県東京事務所 所長の馬場真由美氏は、「大分県は麦焼酎で有名で、たくさんのブランドがある。その中から本日は選りすぐりの5つの蔵元さんにおいでいただいた」として、大分県酒造組合 会長の久家里三氏を招き入れた。

 久家氏は、「大分県酒造組合は清酒と焼酎の蔵が集まる全国でも珍しい組合。清酒専業の蔵が6蔵、焼酎専業の蔵が6蔵、清酒と焼酎の両方を作っている蔵が24蔵で、計36蔵で構成されている」とした上で、「海岸部の蔵もあれば、山間部の蔵もあり、全国的に有名な大きな蔵もあれば、家族で作っている小さな蔵もある。本当に多様性抜群」と述べ、今回集まった縣屋酒造、井上酒造、南酒造、牟礼鶴酒造、赤嶺酒造場の5つの蔵元を紹介した。

大分県東京事務所 所長の馬場真由美氏
大分県酒造組合 会長の久家里三氏

 各蔵元の代表者は、各々の蔵の成り立ちや代表銘柄などを説明。

 縣屋酒造 営業部課長の殿畑孝治氏は、1712年創業の県内で最も古い酒蔵であり、当初は醤油や味噌、清酒を作っていたという歴史を紹介。30年ほど前に同じ市内にある3社の蔵と共同で瓶詰め会社を設立し、そこで生み出されたのが現在の同社の代表銘柄となっている「安心院蔵(あじむくら)」だという。

 今回は、大麦を50%まで磨き、吟醸造りの考え方を取り入れて飲みやすさを追求した「高精白 安心院蔵」と、20年熟成した稀少な米焼酎と15年以上樫樽で寝かせた麦焼酎をブレンドした「秘蔵 安心院蔵 古酒ブレンド」を持ち込み、アピールしていた。

 井上酒造 代表取締役社長の井上百合氏は、同社が作る焼酎の「百助(ももすけ)」ブランドの名称が創業者の井上徳次の雅号に由来していることを紹介。自身の名前にも百の字が受け継がれているという。

 今回は、焼酎製造のために開発された麦のトヨノホシを使い、減圧蒸留で作られた麦焼酎「トヨノホシ百助」と、樫樽で3年以上熟成させた「長期貯蔵百助」をアピールしていた。

 南酒造 専務取締役の南さやか氏は、妹と姉妹2人で切り盛りしている小規模な酒蔵だと自己紹介。創業当初は日本酒を作っていたが、戦時中は休業。戦後に米焼酎を作ったのが現在の蔵の基盤となっており、祖父が自作した蒸留器を大事に使いながら、地元に愛されることをモットーに麦焼酎を作り続けていると語った。

 今回は、看板商品の「本格麦焼酎 とっぱい」と、とくによくできた醪を使用して長期貯蔵して仕上げた「本格麦焼酎 喜納屋(きのや)」を案内。喜納屋については、同社の屋号を冠した自信作で、日本の酒を対象にしたフランスのコンクール「Kura Master」の麦部門でプラチナ賞を受賞している。

縣屋酒造 営業部課長の殿畑孝治氏
井上酒造 代表取締役社長の井上百合氏
南酒造 専務取締役の南さやか氏

 牟礼鶴酒造 代表社員の森健太郎氏は、県南部の山間地域で豊富な湧水を使って焼酎を製造していることを紹介。同社も当初は日本酒を作っていたが、4代目が麦焼酎の製造を始め、日本酒の銘柄だった「牟禮鶴(むれづる)」を継続して使っているという。

 今回は、華やかな香りが特徴の「聞牟禮鶴(もんむれづる)」と、ロックや炭酸割りにあうブレンド酒「夏牟禮鶴(なつむれづる)」をアピールしていた。

 赤嶺酒造場 専務取締役 営業部長の向井蓮氏は、自社の焼酎について「甘さと飲みやすさが特徴」だと語る。代表となる銘柄は「どっとん」だが、近年はマーケティングに力を入れており、タレントとコラボした商品を発売するなど、新しいことに挑戦しているという。

 今回は、常圧蒸留製法で麦の甘さを引き立て、オーク樽に貯蔵してウイスキーのような風味や色合いとなった「DOTTON GOLD」と、竹内力プロデュースの「焙り焦がし麦 真政」を持ち込んだ。

牟礼鶴酒造 代表社員の森健太郎氏
赤嶺酒造場 専務取締役 営業部長の向井蓮氏
坐来大分 料理長の櫻井政義氏

 その後、坐来大分 料理長の櫻井政義氏が各蔵元が持ち込んだ2銘柄、計10銘柄にあわせて用意した料理が披露された。

10銘柄にあわせたメニュー

・九重 夢ポークリエット 最中バーガー(南酒造 喜納屋)
・中津 鱧炙り 半摺り枝豆和え(井上酒造 トコノホシ百助)
・臼杵 太刀魚 焼き霜造り(赤嶺酒造場 焙り焦がし麦 真政)
・姫島 車えび 昆布巻き(牟礼鶴酒造 聞牟禮鶴)
・おおいた和牛 メンチカツ(赤嶺酒造場 DOTTON GOLD)
・安心院 猪ベーコン 国東 バジル じり焼(南酒造 とっぱい)
・大入島 蒸し牡蠣 焦がし葱油 青葱ピュレ(縣屋酒造 高精白 安心院蔵)
・関あわび 乾しいたけ バターソテー(井上酒造 長期貯蔵百助)
・おおいた和牛叩き 芥子醤油(牟礼鶴酒造 夏牟禮鶴)
・杵築 焙じ茶プリン/豊後高田 そば粉アイスクリーム(縣屋酒造 秘蔵 安心院蔵 古酒ブレンド)
※()内はペアリングした銘柄

九重 夢ポークリエット 最中バーガー(手前右)、中津 鱧炙り 半摺り枝豆和え(奥)、臼杵 太刀魚 焼き霜造り(手前左)
姫島 車えび 昆布巻き(右奥)、おおいた和牛 メンチカツ(左奥)、安心院 猪ベーコン 国東 バジル じり焼(手前)
(左から)大入島 蒸し牡蠣 焦がし葱油 青葱ピュレ、関あわび 乾しいたけ バターソテー、おおいた和牛叩き 芥子醤油
(左から)杵築 焙じ茶プリン、豊後高田 そば粉アイスクリーム

 櫻井氏がそれぞれの銘柄にあわせて考えたということもあるが、大分県産のこだわりの食材が贅沢に使用されており、大分の食の魅力を存分に堪能できた。

 坐来大分では、今回の10銘柄のうち一部を常備しており、今回披露されたものとは異なるが、大分産のこだわりの食材を活かした料理が提供される。