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「港でカニシャン」~富山の紅ズワイガニの魅力を発信

2023年11月11日 取材

「カニシャン」で提供されたスプーン&フィンガーフード2種とドリンク

 11月11日、富山の紅ズワイガニを“おしゃん”(おしゃれ)に楽しむイベント「港でカニシャン」が新湊きっときっと市場(富山県射水市海王町1)の駐車場スペースAで開催された。

 同イベントは、富山のおいしいものを通じて地域の魅力を全国に発信する団体「みんなの声」が企画。紅ズワイガニをおしゃれに楽しむ「カニシャン」プロジェクト初の食イベントとなる。

 みんなの声 理事長の駒方廣行氏は、開催のきっかけについて、「カニ一番屋」のカニがすごくおいしく、これを世の中に広めたいと考えたことだったと振り返る。昨年、東京で開催された大きなイベントに参加した際、富山の紅ズワイガニを出したところ、「こんなの食べたことがない」という人が多く、福井の越前ガニもおいしいが、富山の紅ズワイガニのおいしさが伝わっていないことを実感。富山の何が強みかと考え、東京や関西に広めていくことへの賛同者を募ったところ、最初に手を挙げてくれたのがカニ一番屋だったという。

 もう1人の仕掛け人である有限会社マロンブランドの栗山圭介氏に相談したところ、カニの食べ方についても、黙々とカニに向き合うのではなく、家族や友人とおしゃべりを楽しみながら食べられるようにしたらどうかと指摘され、手を汚さずにスマートにカニを食べられるスタイルの提案がイベントのコンセプトに掲げることになった。

 そこで白羽の矢が立ったのが元公邸料理人で、国内外のミュシュランの星獲得店舗で修業し、2022年に大阪から富山県高岡市に移住し、フレンチレストラン「s.r-trois」を開業した村田晴児シェフ。

みんなの声 理事長の駒方廣行氏
有限会社マロンブランドの栗山圭介氏
「s.r-trois」の村田晴児シェフ

 独創的なフレンチを得意とする村田氏が作るスプーン&フィンガーフード2種とドリンク1杯を、カニの爪をイメージした価格の2200円で提供することになった。

 1品目の「オマージュ・タルトレット~カニ鍋」は、カニ鍋で使われる食材のカニと春菊を使用し、タルト仕立てにしたもの。あやめカブとメランジェ、春菊のピュレをカニ身に絡め、カニの泡をイメージしたカニからとったブイヨンの泡ソースを上にふわっと乗せられている。

 2品目の「オマージュ・ブーシェ~カニ酢」は、湯がいたカニ身に秋茄子と胡瓜の浅漬けをあわせたワンスプーンメニュー。茄子からとった酸味が効いたジュレとともに楽しめる。

「オマージュ・タルトレット~カニ鍋」(手前)と「オマージュ・ブーシェ~カニ酢」(奥)

 このほか、甘みを引き出した南瓜ペーストにカニの殻からとった濃厚なビスクをあわせ、炙ったカニ身をトッピングした「パルフェ」(800円)、ポテトサラダに漬け卵をあわせ、カニ味噌をトッピングし、スライスしたバゲットにのせて食べる「カニ味噌ポテトサラダ」(500円)といった単品メニューも提供された。

「カニ味噌ポテトサラダ」(手前)と「パルフェ」(奥)

 いずれのメニューも、紅ズワイガニをメインの食材に使いながらも、独創的で、カニ以外の食材のよさもしっかりと引き出したものとなっていた。

 駒方氏によれば、「今回は1か月強という短期間で、とにかくやってみるというスタンスで開催まで漕ぎ着けた。0回目という位置づけで、今後は街中など、さまざまな場所で形を変えて開催していきたい」とのことで、さまざまな場所での開催も視野に入れて活動を続けていく意向だ。

16時のオープンにあわせて多くの人が詰めかけた