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想定の3倍以上で売れている永谷園のカップ入りお茶づけ

永谷園 マーケティング本部 Cユニットの栗原紘明氏

 永谷園は、9月に「カップ入り お茶づけ海苔」「カップ入り さけ茶づけ」を発売。9月9日~30日で販売計画3か月分の出荷数量を達成したという。今回は、マーケティング本部 Cユニットの栗原紘明氏にヒットの裏側を聞いた。

 同社では、これまでにもカップ型のお茶づけを販売してきたが、従来商品は「無菌包装のパックごはん」+「お茶づけの素」という構成で、ごはんをお湯で戻すかレンジアップした上でお茶づけの素とあわせてお湯を注ぐという手順で調理する必要があった。

 これに対し、新商品ではカップの中に「フリーズドライのごはん」+「お茶づけの素」が混ざった状態で入っており、お湯を注いで3分待つという、カップラーメン同様の手軽さで食べられるようになっている。

「フリーズドライのごはん」+「お茶づけの素」という構成になった新商品
従来商品は「無菌包装のパックごはん」+「お茶づけの素」という構成だった

 カップ入りタイプの商品の開発背景としては、「自宅でごはんを炊かなくなり、ごはんがあるのが当たり前ではなくなっている」(栗原氏)というライフスタイルの変化への対応がある。しかし、従来商品は手軽さという点で課題を抱えており、同社がお茶づけの素や即席みそ汁で培ってきたフリーズドライ技術をごはんにも適用することで、「いつでもどこでも手軽にお茶づけを食べてホッと一息つける」を目指すことにしたという。

永谷園の看板商品とも言えるお茶づけのパッケージデザインを踏襲

 開発に着手したのは1年半ほど前のこと。栗原氏は、創業の商品である「お茶づけ海苔」誕生のルーツを探るべく、永谷宗円を祀る茶宗明神社を訪れたり、海苔、あられ、鮭など、お茶づけの素を構成する具材の特徴を購買部に確認したりする作業から着手。その上でそれぞれの素材の最適なバランスを探ったのだとか。

 今回の商品開発を進める上でキモとなったのは、フリーズドライにするごはんの選定。さまざまな品種を試したが、お茶づけらしいサラサラ感と粒感を表現でき、フリーズドライにした際に風味やおいしさがしっかり残ることからコシヒカリを採用。サラサラ感を実現するため、米のパウダーが極力出ないような加工も施している。

 ちなみに、加工方法としてフリーズドライを採用したことで、賞味期限は従来商品の9か月から12か月に延長されており、保存食としての価値も高まった。お湯を入れるだけなので、災害への備えはもちろんのこと、キャンプなどのアウトドアシーンでも便利に活用できそうだ。

「お茶づけのおいしさを手軽に楽しんでもらいたい。一旦お茶づけから離れた人にも、たまにはいいな、と懐かしさやおいしさを思い出して、少しでもホッとした気持ちになってもらえると嬉しい」と語る栗原氏。一口食べると懐かしさとともにホッとできるお茶づけは、日本食が恋しくなる長期の海外旅行のお供にもよさそうだ。