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サントリーが「ジューシーブリュー」を東北限定で発売する背景

2025年8月19日 発売
ジューシーブリュー

 サントリーは7月30日、東北エリア限定で販売するビール「ジューシーブリュー」に関する発表会を開催した。

 発表会には、執行役員 東北営業本部長の山縣哲氏、ビール・RTD本部 プレミアムビール部長の本山峰之氏、ビール開発生産本部 ビール商品開発研究部 開発主幹の山口豊氏が出席し、発売の背景などを説明した。

 山縣氏は冒頭、「1959年の仙台営業所の開設以降、東北エリアの皆さまとのつながりを築く活動を長年にわたり続けてきた」と述べ、2011年の震災以降、幅広く復興支援活動を展開してきたことや、エリア独自の取り組みとして、各種イベントを企画したり、地域の祭に参画したりしてきたことを紹介。

 今回の取り組みでは、「東北エリアにおいてより多くの方々にサントリーのファンになっていただくべく、東北のお客さまの嗜好にあわせた新ビールをテスト販売させていただく」として、新商品の「ジューシーブリュー」を紹介した。

 本山氏によれば、2026年10月の酒税改正により(狭義の)ビールカテゴリーの伸長が予測されるほか、エコノミーカテゴリーの根強い需要も続くとして、ビールとエコノミーの両輪を強化していくとした上で、新市場・新需要の創造にも取り組むと説明。

 市場調査を行なうなかで、東北エリアの消費者が甘いものやフルーティさを求める傾向があるほか、全国的にもそうした嗜好の変化が見られることから、大きなポテンシャルがあるとして、ニーズに応えられる新商品を開発し、東北エリアにおいて新商品のテストマーケティングを行なうことにしたという。

 商品の開発を担当した山口氏によれば、最初にパッションフルーツのようなみずみずしいフルーツのような香りが体感でき、飲み込むと鼻に戻る香りとしてピーチやマンゴーのような熟した果実の香り、飲んだあとに舌に自然な甘みが感じられるように設計されている。

 こうした味覚を実現するためには、同社が磨いてきた高濃度醸造技術が活かされている。高濃度醸造技術は、一般的には仕込み工程で麦汁の濃度を高めることにより、出来高を増やして生産性を高めるために用いられるが、同社ではこれを風味の強化に活用。

 ビールのフルーティな香りは、麦汁内の糖分を酵母が食べることで変換して生み出されるため、甘みと香りがトレードオフの関係となる。ここに高濃度醸造技術を用いることで、麦汁の糖分を増やし、酵母が香りに変換する糖分の量を確保し、最終的に甘みを残しながら香りの量を維持することを実現しているという。

 香りの質にもこだわり、ザ・プレミアム・モルツで培ったホップの抽出技術や香るエールで培った上面発酵技術を融合させることで、今回の香りを表現しているとのこと。

 まずは最も需要が見込める東北エリア限定での販売となるが、同社では今回の商品の売れ行きを見ながら、2026年には全国展開を目指していきいとしている。