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担当者が語る「サッポロ生ビール黒ラベル」へのこだわり

2026年1月23日 取材
サッポロビール ビール&RTD事業部 サッポロブランドグループ 黒ラベル ブランドマネージャーの黒柳真莉子氏(右)と商品・技術イノベーション部 ビール開発グループ 黒ラベル 中味開発担当の勝又郁実氏(左)

 サッポロビールは、2025年12月製造分から「サッポロ生ビール黒ラベル」のクオリティアップを実施している。今回の施策の狙いについて、ビール&RTD事業部 サッポロブランドグループ 黒ラベル ブランドマネージャーの黒柳真莉子氏と商品・技術イノベーション部 ビール開発グループ 黒ラベル 中味開発担当の勝又郁実氏にお話を伺った。

 黒柳氏は、黒ラベルについて、「丸くなるな、星になれ。」というブランドビジョンの下、「憧れと共感」というアクションテーマを設け、「大人エレベーター」のような広告と、「THE PERFECT 黒ラベル WAGON」や「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」といったリアル体験を通じて「自分らしく生きる喜び」を感じてもらえるように、さまざまな施策を実施していると説明する。

 黒ラベルの強みについては、“生のうまさ”という機能価値と、「大人エレベーター」のような独自の世界観を表現することで情緒価値の両方を大事にしており、今回のクオリティアップにおいては、その“生のうまさ”をさらに追求しているという。

 1977年に「サッポロびん生」の名称で生まれ、愛称の黒ラベルが定着し、現在では商品名の一部となっているが、黒柳氏は「黒ラベルは『完璧な生ビールを』という言葉を掲げながら、それを目指して日々進化している。2011年に『旨さ長持ち麦芽』を採用したり、いろんな泡だったり、一口目のうまさを追求して進化してきている」と振り返る。

サッポロ生ビール黒ラベル

 飲食店においては、「ザ・パーフェクト黒ラベル」という認定制度を作り、提供品質の向上に取り組み、2025年末時点で約6300店がその認定を受けている。あわせて音楽フェスなどのイベントへの出店や、前述の黒ラベル WAGON、THE BARといったタッチポイントでの飲用体験を作り出すことでファン層の拡大を図っており、こうした活動が実際に売上に寄与しているとの手応えも得ているとする。

 中味開発を担当する勝又氏は、「私が考える“生のうまさ”とは、ビールを一杯目に飲んだ時の、この“一口目の瞬間”がすごく大事なところだと思っている。泡がクリーミーで、もうすごく新鮮な香りが立って、ふわっと麦のうまさを感じられながらも、すっときれいなバランスの取れた後味がある。こういったおいしさが非常に重要な特徴だと考えている」と語る。

 その一口目のうまさにこだわりながら、それが持続することで飲み飽きないうまさを表現しているのが黒ラベルで、直近では「新鮮さが長持ちする技術開発」「クリーミーで長持ちする泡の研究」「麦のうまみと爽やかな後味を実現する香味バランスの追求」の3点において進化を遂げているという。

 勝又氏は「ビールは空気に触れると新鮮なうまさが徐々に失われてしまう課題がある。『旨さ長持ち麦芽』は酸化によるビールの品質劣化を抑えることができる特別な麦芽」だと説明する。

 同社では、酸化による品質劣化は、主原料となっている大麦が持っている「リポキシゲナーゼ」(LOX-1)と呼ばれる酵素が原因になっていることに着目。岡山大学が持つ約1万種の大麦麦芽を約2年かけて分析し、可能性のある品種を探し出し、そこから10年かけて開発したのが「旨さ長持ち麦芽」で、これを原料として使うことで、ビールの新鮮な味わいが長持ちし、新鮮さのキープに寄与する泡持ちも持続させられるようになった。

 ビールの泡は、見た目の美しさやクリーミーな味わいだけでなく、新鮮さや香りをキープする蓋の役割も果たす。同社では飲んだ勢いでグラスの中のビールが揺れ、“フロスティミスト”と呼ばれる泡の層が生まれ、飲むごとに泡が再生されることについて研究しているほか、泡の白さの意味についても研究しているという。

照明が仕込まれた特別なコースターにグラスを置くと、フロスティミストで泡が再生させていく様子が見える

 勝又氏によれば、「泡の白さはなかなか比べて見ることもないが、分析機器で白さのレベルを調べると、泡の径が小さく細かいほど白く見えることが分かった。大きい泡から破裂して消え、小さいほど長持ちする」とのことで、いかに白くキメの細かい泡を作るかが鍵になるとのことだ。

 前述の通り、いかに空気(酸素)に触れないように作っていくかが品質向上のポイントになっているため、同社では仕込みの段階からさまざまな局面で空気の巻き込みを防止する工夫を重ね、「フレッシュキープ製法」の名称を掲げてアピールしているが、今回のクオリティアップにおいては、製品中の酸素の量を一定の基準値内に収める取り組みを強化。缶に充填する設備に改良を施し、二酸化炭素を吹き付けてから蓋をして密閉する形にするなど、一口目のうまさを実現するための努力を重ねているという。

一口飲むごとにレーシングと呼ばれる泡の輪ができるのがおいしいビールの証とされる

 パッケージについても、従来のデザインより若干余白を広くとり、スタイリッシュさ、シンプルさを追求。パッと見ただけでは間違い探しのようなリニューアルになっているので、新旧の缶を並べて変更点を探してみるのも面白そうだ。

 16日に開催された事業方針説明会では大阪・梅田に「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR OSAKA」を夏頃に開業することが明らかにされているほか、抽選で100名に缶とグラスの両方を推奨温度で冷やせる冷蔵庫「THE PERFECT BEER CELLAR」をプレゼントするキャンペーンも実施する。

 ちなみに、黒ラベルを家庭でもおいしく楽しむ方法としては「3度注ぎ」が推奨されている。2~6℃が推奨温度とされており、最初に高い位置からグラスの底に当たるようにビールを注いで大量の泡を作り、大きめの泡が消えて落ち着いたら2度目を注ぎ、3度目でグラスの上に盛り上がる泡を作ることで黒ラベルの魅力が最も引き出されるとのことだ。

「3度注ぎ」の方法