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キリン「一番搾り」と「本麒麟」をリニューアル。本麒麟は発泡酒から麦100%の生ビールへと進化

2026年5月27日 発表
キリンビール「キリン一番搾り生ビール」と「本麒麟」をリニューアル

 キリンビールは5月27日、2026年下期のビール成長戦略発表会を開催し、「キリン一番搾り生ビール」と「本麒麟」のリニューアルを発表した。本麒麟は新ジャンル(発泡酒 2)からビールへと製法を変更する。ここでは発表会の模様と新しい味わいをお伝えする。

キリンビール「キリン一番搾り生ビール」「本麒麟」リニューアル

キリン一番搾り生ビール

発売日: 2026年8月製造品より順次切り替え
容量・容器: 135mL缶、250mL缶、350mL缶、500mL缶、小びん、中びん、大びん、慶祝ラベル中びん、7L樽、15L樽、20L樽、3Lペットボトル
アルコール分: 5%
製造工場: 北海道千歳工場、仙台工場、取手工場、横浜工場、名古屋工場、滋賀工場、神戸工場、岡山工場、福岡工場

 麦本来のうまみが感じられる、調和のとれた飲みやすい味わいに中味を変更。ザーツホップやヘルスブルッカーホップのホップ配合の最適化と糖化法をインフュージョン法に変更することで、「一番搾り製法」と麦芽100%による満足感を維持しながら、より飲みやすく飲み飽きない味わいに仕上げた。

「キリン一番搾り生ビール」

本麒麟

発売日: 2026年11月4日
容量・容器: 350mL缶、500mL缶
アルコール分: 5%
製造工場: 北海道千歳工場、仙台工場、取手工場、横浜工場、名古屋工場、滋賀工場、神戸工場、岡山工場、福岡工場

  新ジャンルからビールへ製法を変更し、麦100%の生ビールへ進化させた。アルコール度数も6%から5%へ適正化することで、「麦本来のうまみがより味わえ、飲みごたえがありながら飲み飽きないおいしさ」を実現しているとのこと。雑味のとれた調和のある味わいを実現する、長期低温熟成を継続して採用。

「本麒麟」

ビールは複数の魅力あるブランドをそろえることで市場の活性化を目指す

 発表会では執行役員でマーケティング部長の今村恵三氏が現状と今後の取り組みについて説明した。2026年の1月から4月のビール類販売実績については、市場全体が昨年4月の価格改定前の過熱の裏返しにより、数量ベースでは前年比-7%と推計した。そのような厳しい市場環境の中で、キリンビールは新商品の発売がなかったにもかかわらず、販売金額は前年比-3%で着地したと説明した。ブランド別実績では、春にリニューアルした「晴れ風」が前年比+3%で好調に推移し、3月に年間販売目標を上方修正した「グッドエール」もプラスに貢献していると述べた。

キリンビール株式会社 執行役員 マーケティング部長の今村恵三氏
2026年1~4月の販売予測と実績

 ビール市場が漸減傾向にある中で、同社はビール類購入率がプラスで推移しており、現在の好調な状況を作れている要因として、2016年から10年間にわたる「酒税一本化を見据えたビールの魅力化への取り組み」と、顧客変化を捉えた「商品開発・ブランド育成」を継続的に行なってきたことを挙げた。具体的には、約8年後の酒税一本化後にビール化することをあらかじめ想定した「本麒麟」を2018年3月に発売し、健康志向の拡大を想定した「一番搾り糖質ゼロ」を2020年10月に発売した。

ビール類購入率の直近推移
酒税法改正を見据えたブランド展開

 酒税改正後の市場については、ビール類市場は「高価格」「スタンダード」「エコノミー」「オフ・ゼロ系」の4つのカテゴリーに分かれると予測し、スタンダードが継続成長し、最大構成比を占めるであろうと説明した。エコノミーカテゴリーについても、物価高や節約志向を背景に底堅いニーズがあるとのことで、そちらにも注力していく。約半年後に酒税一本化を迎えるに当たり、「過去最大規模の全社活動とマーケティング投資で、ビールカテゴリーのさらなる魅力化と発展に取り組んでいきたい」と話した。

ビールは4つのカテゴリーに分化すると予測
「高価格」
「スタンダード」
「エコノミー」
「オフ・ゼロ系」

「一番搾り」と「本麒麟」をリニューアル

 商品展開については、マーケティング部でカテゴリーマネージャーの木村正一氏が登壇し、リニューアル発売する「キリン一番搾り生ビール」と「本麒麟」をメインに説明した。130年以上ビールを作り続けてきたキリンビールのフラッグシップブランドとして「キリン一番搾り生ビール」をリニューアルするが、中味については製法から原料までを見直し、キリンビールのおいしさポリシーである「飲みやすく、飲み飽きない味わい」をさらに進化させることに成功したと話した。

キリンビール株式会社 マーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当 カテゴリーマネージャー 木村正一氏
「一番搾り」と「本麒麟」のリニューアルでカテゴリーを活性化させる
酒税一本化に向けて新しい「一番搾り」を投入する

 7月からは一番搾りのブランドアクションも開始するとし、日本の食文化に貢献できる取り組みを行なう。具体的な支援例としては、“暑さに強い米”を栽培する生産者に対して、一番搾りの売上本数と連動した寄付を行なうと説明した。2026年の寄付金額は約5500万円を見込んでいる。

一番搾りの売上に応じて生産者に寄付する取り組み

 また、ビールの新しい美味しさ体験を創出する取り組みとして、「極みの泡 一番搾り」をリニューアルに合わせて全国9工場で展開する。これはビールサーバーのタップ部分を改良したもので、きめ細かな泡立ちのビールが楽しめるものだ。空気に含まれる窒素を活用することで、窒素ガスボンベを使わずに高密度な泡を表現できる新しい技術であることを説明した。

工場見学の試飲に導入される「極みの泡 一番搾り」

 本麒麟のリニューアルについては、製品の構想時から温め続けてきた念願のリニューアルであることを強調した。木村氏は2018年の発売時に初代ブランドマネージャーを務めていたこともあり、購入層の「本当は我慢しないでビールを毎日飲みたい」というシンプルでストレートな願いに応えるコンセプトで誕生したブランドであることも説明した。11月4日のリニューアルでは、麦100%の生ビールレシピに変更することで、本麒麟の強みである飲みごたえと飲みやすさの両立を実現できたと伝えた。

「本麒麟」リニューアルの歴史
麦100%にすることでブランド価値の向上を目指す

“飲み飽きない”を基本として再設計した2つの商品

 味に関してはマスターブリュワーの田山智広氏が説明した。「キリン一番搾り生ビール」については「ヴァイタートリンケン」(飲み飽きない)というコンセプトに基づいて開発している。このヴァイタートリンケンはドイツ語の造語で、キリンビールの哲学であるとし、同氏も入社当時から教え込まれたことを明かした。この概念は三角形の頂点に位置し、「親しみやすい個性」と「バランス」という2つの要素によって支えられている。一番搾りは「麦の旨みを主体とした理想のピルスナービール」として位置づけられ、一番搾り製法により麦の雑味のない旨みをストレートに引き出し、上品なコクを実現していると説明した。

キリンビール株式会社 マスターブリュワー 田山智広氏
キリンビールの哲学「ヴァイタートリンケン」

 今回のリニューアルでは時代の変化に対応するため、麦の旨みを主体にしつつも少し控えめにし、同時に雑味をさらに減らす方向性で開発した。具体的には、従来の「デコクション法」(麦から旨みをギュッと引き出す方法)から、「インフュージョン法」(マイルドに麦の旨みを引き出す方法)に変更。ホップの配合も見直して、よりさわやかな香りを強調することで、スッキリ志向とフレーバー志向の両方のトレンド変化に対応したと説明した。

一番搾りのリニューアルポイント

「本麒麟」については、新ジャンルの中でデイリーに飲めるビールとして開発されたが、制約が多い中で本格派を目指した同商品は、同社のラガービールで100年以上培ってきたDNAを一番引き継いでいる商品であると話した。今回の酒税法改正により新ジャンルの制約(麦芽使用比率、スピリッツ添加、エキス調整など)がなくなり、ビールカテゴリーに移行できることから、ゼロベースで見直しを行なった。

本麒麟のリニューアルポイント

 本麒麟の変えない要素として「長期低温熟成」や伝統の素材であるドイツ産「ヘルスブルッカーホップ」の使用など、昭和のラガービールから大事にしてきた製法や素材は継承させたと話した。一方で、麦芽使用比率の制約がなくなったことで、麦芽と大麦を使用した麦100%の生ビールレシピに変更することで、麦のしっかりした旨みがありながらも、よりスッキリとした味わいでデイリーに飲めるビールに仕上げることができたと説明した。また、新ジャンルの制約下でビール並みの飲みごたえを付与するためにアルコール度数を6%としていたが、ヴァイタートリンケンの観点から「ちょっとアルコールが強すぎる」と判断し、アルコール度数を5%に下げたことも明かした。

上品になった「一番搾り」とビールになった「本麒麟」

 会場では「キリン一番搾り生ビール」と「本麒麟」の現行品とリニューアル品の試飲が用意されていたので、筆者も新旧の違いを味わってみた。一番搾りは製法が変わったことで、確かに新しい方がマイルドな感じで舌に伝わる。それに合わせて、香り立ちもしっかり感じ取れるようになった。

 本麒麟は明らかに味の質が変わった。アルコール度数の違いもあるのだろうが、飲んですぐにスゥーっと拡散していた苦みや甘みが、ゆったりと舌に残るような余韻も感じられるようになった。これが麦100%の力かと感心した。

一番搾りと本麒麟の新旧比較

 工場の見学&試飲で試せるようになる「極みの泡 一番搾り」も体験してみた。泡の大きさは説明の通り、きめ細かく、見た目は高級な洗顔フォームに近い。口に含むと、プチプチという感じよりはもっちりとした感じで、舌触りもクリーミーだ。スタッフに聞いたところ、炭酸ガスで生成した泡は粒が大きくはじけやすいという特徴があり、窒素ガスで生成した泡はきめ細やかだがボンベをさらに設置するなど面倒であるとのこと。新たに開発したタップには、空気中から真空の力で窒素を取り込む機構が取り付けられており、そこで得られた窒素を使って泡を生成しているそうだ。店舗への導入はまだ検討段階だが、工場では10月から提供を開始するそうなので、気になる方は工場見学ツアーに参加してもらいたい。

泡立ちがよりきめ細やかになる「極みの泡 一番搾り」
泡の粒が微細になり、ビールとの境界線が美しいグラデーションになる
1番が通常のタップ(注ぎ口)で、2番が「極みの泡」を生成できる新型タップ