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DEAN & DELUCAにメキシコ料理のデリが登場。ミシュラン2つ星「Pujol」元ヘッドシェフの料理を試食してきた

2026年8月7日~9日 実施
DEAN & DELUCA「Taste of Mexico」のメニューを手掛けたJesús Durón(ヘスス・デュロン)氏

 DEAN & DELUCA(ウェルカム)は全国のマーケット店舗で「Taste of Mexico」を8月7日から9日まで実施し、メキシコ出身のシェフ、Jesús Durón(ヘスス・デュロン)氏が手掛けるデリ惣菜(プリペアードフード)を販売する。

 ヘスス氏とDEAN & DELUCAのシェフが共同開発したメニューは、メキシコ各地で親しまれている家庭料理や郷土料理がベース。タコスやバルバッコアなど、現地の味わいや背景を残しながらデリに仕立てた6品がショーケースに並ぶ。

 試食会ではヘスス氏本人からメニューの背景を聞くことができたので、感想も交えながらメニューを紹介していく。

DEAN & DELUCA「Taste of Mexico」

販売期間: 2026年8月7日~9日
販売店舗: マーケット店舗(六本木、品川、吉祥寺、恵比寿、横浜、広尾、名古屋、栄、京都、福岡)
価格:
・「牛頬肉のブレゼ バナナの葉包み焼き」(2052円)
・「鯛の紙包み焼き ベラクルスソース」(2052円)
・「タコと白インゲン豆のパプリカファルシ」(1296円)
・「ヴィスカイナサラダ」(100g 810円)
・「牛肉のオープンタコス」(1026円)
・「トリュフとモッツァレラのオープンタコス」(1026円)
※価格は変更になる場合がある

DEAN & DELUCA「Taste of Mexico」の6品

ミシュラン2つ星「Pujol」を支えたヘスス・デュロン氏

 ヘスス氏はメキシコ・シティで料理人としてのキャリアをスタートし、スペイン・バスク地方や地中海沿岸、フランスのミシュラン3つ星レストラン「ラ・マリーヌ」などで研鑽を積んだシェフだ。23歳のころには、日本料理への造詣が深いアレクサンドル・クイヨン氏に師事し、食材の持ち味や季節を尊重する考え方を学んだという。

 長年ヘッドシェフを務めたメキシコ・シティの名店「Pujol(プホル)」は、ミシュラン2つ星を獲得。「世界のベストレストラン50」における同店の第5位躍進を支えた。2026年には、その土地ならではの食材を活かした料理を追求する自身のプロジェクト「MASA」を始動させ、その表現・体験の場として日本での実店舗オープンを準備している。

 修業してきた土地のなかでどこが一番自分の料理に影響を与えているかを問われると、ヘスス氏は「フランス」と即答した。バスクではサンセバスチャンとビルバオで働いていたという。好きな日本の食材を尋ねると、しばらく考えたうえで挙げたのは「土佐酢」だった。

 日本に拠点を置きたいという思いは以前からあったといい、プレスリリースに寄せたメッセージでも「メキシコでは幼いころから日本人のクラスメイトがいたり、かかりつけの小児科医も日本人だったことで、日本を身近に感じていました」と振り返っている。試食会では、2025年夏に大阪のメキシコ料理店「milpa」でイベントを行なったときのことを、通訳を介して「来た瞬間に、ここがもしかしたらずっと住む場所になるんじゃないかと強く感じた」と語る場面もあった。

メキシコに四季はない。だから日本の旬とスペインの影響を軸にした

試食会ではヘスス氏自らが料理を温めてサーブしてくれた

 6品のコンセプトについて、ヘスス氏はまずメキシコと日本の違いから説明した。「メキシコには日本のような季節ごとの食がほとんどない。一年の大半が夏だから」と。そのうえで、今回はメキシコのレシピを日本に合わせて組み替えたと話す。軸にしたのは、スペインがメキシコに渡ったことで生まれたヨーロッパ由来のレシピ群だ。「ある時点からヨーロッパの影響が入っている。今回はその影響を軸にしている」という。

 もうひとつの軸が「日常の顔」だ。日本で知られているメキシコ料理の外側には、家庭で作られるものやストリートフードといったカジュアルな層が広がっている。「デリという形でコラボレーションできたのは、メキシコのそういう側面を見せられるいい機会になった」とヘスス氏は話した。

牛頬肉のブレゼ バナナの葉包み焼き

価格: 2052円

「牛頬肉のブレゼ バナナの葉包み焼き」(2052円)。タコス2枚とフレッシュサルサ「ピコ・デ・ガヨ」を添えて

 ヘスス氏が事前の打ち合わせから「一番のおすすめ」に挙げていた一品。ベースになっているのは、パチューカを州都にもつイダルゴ州の郷土料理「バルバッコア」だ。本来はアガベ(リュウゼツラン)の葉で包んだ羊肉を、土に掘った穴のなかでじっくり蒸し焼きにする。

 バルバッコアの成り立ちについて、ヘスス氏は「中東にルーツがあると思う。基本的に羊を土のなかで調理するものだから」と話していた。

 今回はその羊肉を、ヘスス氏も絶賛したという日本の牛肉に置き換えている。牛ほほ肉を特製のサルサアドボでやわらかく煮込み、バナナの葉で包んで焼き上げたもので、ソースは乾燥唐辛子と玉ねぎ、酢、スパイスで作る。タコス2枚とフレッシュサルサ「ピコ・デ・ガヨ」が付き、温めたバルバッコアをタコスに包み、好みでサルサを合わせて食べる。

鯛の紙包み焼き ベラクルスソース

価格: 2052円

「鯛の紙包み焼き ベラクルスソース」(2052円)。万願寺唐辛子を合わせている

 メキシコ湾に面した港町ベラクルスは、スペインからの移民文化が深く根付いた土地。そこで親しまれているのが「ベラクルスソース」だ。トマトをベースに、スペイン由来のオリーブやケッパーを加えたもので、魚介との相性がよい。

 今回は真鯛を紙包みでしっとりと焼き上げ、ソースの旨味と香りを閉じ込めている。合わせているのは万願寺唐辛子で、ほどよい青みと風味が加わる。日本の食材を通してメキシコ料理の魅力を感じてもらう狙いだ。

タコと白インゲン豆のパプリカファルシ

価格: 1296円

「タコと白インゲン豆のパプリカファルシ」(1296円)。仕上げにフレッシュトマトのサルサ「ピコ・デ・ガヨ」を合わせている

 ファルシ(farcir)はフランス語で「詰める」の意味。メキシコには唐辛子にさまざまな具を詰める料理が数多くある。「魚介、チーズ、肉、野菜、なんでも詰める。ソースも、豆のソースやトマトのソースなどいろいろある」とヘスス氏。

 本来は辛味の少ない大きな唐辛子「ポブラノ」を使うところ、今回は2人分にちょうどいいサイズのパプリカで代用している。中に詰めたのは、タコと、メキシコの唐辛子を使った黒豆のペースト、そしてアボカドの葉やメキシコのハーブで香りづけした白いんげん豆の煮込み。火を入れることでパプリカの甘みが増し、豆の味を引き立てる。仕上げに、メキシコの国旗の色を思わせるフレッシュトマトのサルサ「ピコ・デ・ガヨ」を合わせた。

ヴィスカイナサラダ

価格: 100g 810円

「ヴィスカイナサラダ」(100g 810円)。メキシコ国旗をイメージした彩り

 名前の「ヴィスカイナ(vizcaína)」は、スペイン北部の県ビスカヤに由来する。「ビスカヤはスペインの海沿いの土地。メキシコでは当時の主要な港のひとつで、そのレシピを魚を使った温かい料理に作り替えた。今回はそれをサラダとして仕上げている」とヘスス氏は説明する。

 味の構成はギリシャの「グリークサラダ」がベース。アクセントに唐辛子を加え、味付けはオリーブオイルとホワイトバルサミコでシンプルにまとめた。カラマタオリーブやパールオニオンに加え、メキシコでも親しまれている塩味の強い羊乳のフェタチーズを合わせている。メキシコ国旗をイメージした彩りで、具材を単体で味わうよりも、サラダ全体を一緒に口に運んだほうが味と食感のバランスが分かる。

牛肉のオープンタコス/トリュフとモッツァレラのオープンタコス

価格: 各1026円

「牛肉のオープンタコス」(1026円・左)と「トリュフとモッツァレラのオープンタコス」(1026円・右)

 タコス生地を使ったオープンスタイルの2種。牛肉のオープンタコスは、メキシコで「美食の都」と呼ばれるオアハカ州の郷土料理「トラユーダ」がベースだ。現地ではトルティーヤにラードを塗り、ラードを作る際にできる豚肉の旨味をのせるのが定番だが、今回は牛カイノミを合わせてトラユーダのエッセンスを取り入れている。ヘスス氏自身も「大の気に入り」と話す一品だという。

 もう1種は、モッツァレラチーズと香ばしくソテーした椎茸をタコス生地にのせ、たっぷり削ったトリュフとトリュフオイルで仕上げたもの。「日本で皆さんが頭に思い描くタコスとは違う体験になると思うので、ぜひお試しください」とヘスス氏はコメントしている。

売り場ではポップより人。スタッフの勉強会で味を伝える

 今回のラインアップは、メキシコ料理の流れを汲むだけに、メニュー名と見た目から味を想像しづらいものが多い。「ヴィスカイナ」「ファルシ」「バルバッコア」といった言葉に、日本の客がすぐ反応できるとは限らない。

 この点についてDEAN & DELUCA側は、売り場のスタッフが口頭で伝えることで補うと説明した。スタッフがシェフから直接作り方を習い、実際に食べる機会を設けたという。そこで得たポイントをほかのメンバーにも共有し、売り場の担当者が「どう食べたらおいしいか」を客に伝えていく。

「いろいろな言葉や地方の背景があるので、しっかり学んで自分たちのものにして、理解したうえで販売につなげる。今回はかなりハードルの高いチャレンジ」と担当者。販促用の小さなポップは用意するものの、基本は現場のスタッフが伝える方針だ。

 ポップを並べないのはブランドの考え方によるものでもある。「食が主役なので、ポップが主役ではない。料理がすべてを語るという考えで、できるだけ物は置かない。皿が白いのも、そこに料理の色が映えるからです」という。1つずつ説明を書き並べるよりも、食べてもらい、その場で会話をするほうを選ぶ、というスタンスだ。

 なお、持ち帰ってから温めないと食感が損なわれる商品もあるため、温め方はリーフレットを付けて案内する。店頭に書ききれない情報はWebサイトに掲載するという。

スパイシーさは控えめ。素材の味が立つ日本向けのアレンジ

 試食会では3品プラス、メニューにないチュロスをいただいた。全体を通じて感じたのは、メキシコ料理と聞いて身構えるスパイシーさが、かなり控えめに調整されていることだ。辛さで押すのではなく、素材の味が立つように組み立てられていて、日本人向けのアレンジがしっかりきいている。

試食した「ヴィスカイナサラダ」

 ヴィスカイナサラダは、アクセントの唐辛子が入っているものの、辛さよりも先に野菜の爽やかさとおいしさが来る。そこにフェタチーズが加わることで、サラダながら食べ応えも出ていた。

試食した「タコと白インゲン豆のパプリカファルシ」

 タコと白インゲン豆のパプリカファルシは、唐辛子ではなくパプリカを使っているので辛くない。ここは安心してほしい。タコという日本人にも馴染みのある食材が入っていることもあって、ヘルシーな前菜という印象に仕上がっていた。

「牛頬肉のブレゼ バナナの葉包み焼き」
フレッシュサルサ「ピコ・デ・ガヨ」を添えて
温めたバルバッコアとサルサをタコスで包んでいただく

 牛頬肉のブレゼは、タコスに包んで食べるという行為そのものにメキシコ料理らしさがあって、素直に楽しい。バルバッコアは本来羊肉のところを日本の牛肉に置き換えているため、味わいは優しく、旨味が深い。抵抗なくメキシコ気分を味わえる一品だった。

メニューにはないが、試食会の特別なサービスとしてヘスス・デュロン氏が用意してくれたチュロス。サクサクでとても軽やかだった

 試食会では、メニューには入っていないチュロスもヘスス氏が用意してくれた。揚げたてに砂糖をまとわせたシンプルなもので、これも印象に残っている。

 販売は8月7日から9日までの3日間のみ。世界のファインダイニングで腕を磨いたシェフの料理を、デリとして持ち帰れる機会はそう多くないのでぜひ試してみてもらいたい。

 あわせて8月8日には、DEAN & DELUCA 品川店 THE WINE STOREで、ヘスス氏の料理とソムリエが選んだワインをペアリングするディナーイベント「- Taste of Mexico - Table & Wine by Jesús Durón」を開催する。16時~17時30分と19時~20時30分の2回制で、定員は各回8名、料金は8800円。