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淹れたて一杯目のような味わいを目指し「綾鷹」が7年ぶりのリニューアル

旨みはしっかり、後味は軽やか

2024年3月21日 発表

綾鷹シリーズの製品はすべて新たなデザインに刷新される

 コカ・コーラシステムは、3月21日、都内で「綾鷹」ブランド戦略および製品発表会を開催し、7年ぶりとなる綾鷹の全面リニューアルを発表した。新たな味わい、パッケージデザイン、容量で4月15日から全国で発売を開始する。

 綾鷹は、創業450年の歴史を誇る京都・宇治の老舗茶舗「上林春松本店」の協力の下、急須でいれたような本格的なお茶の味わいを目指し、2007年10月に導入された緑茶ブランド。今回のリニューアルでは、綾鷹らしい味わいを保ちつつ、現代の消費者のニーズに合わせ、「旨みはしっかり本格、後味は軽やか」「淹れたて一杯目」のような味わいを目指して開発された。

 今回のリニューアルに際しても上林春松本店が協力。約3年の開発期間に試作した点数は200種以上。旨みの強い茶葉を選定し、従来製品に比べて旨みが約40%増加した新たな味わいを実現した。また、昨今の水分補給ニーズに応えるため、スーパーやコンビニ、量販店などで販売されるメインパッケージは650mlに増量した(自販機やオンライン販売では従来の525ml入りも販売される)。

 デザインも大きく刷新。緑茶の波紋が広がる様子と綾鷹独自のネイビーを組み合わせることで、本格感はありつつも目新しさを表現したという。

 リニューアルに伴い、綾鷹シリーズの「綾鷹 茶葉のあまみ」「綾鷹 ほうじ茶」「綾鷹 濃い緑茶」「綾鷹 特選茶」のデザインも変わる。新しい綾鷹同様、波打つ波紋をモチーフにしている。

 綾鷹のメーカー希望小売価格(消費税抜き)は、650ml PETと525ml PETが160円、300ml PETと280ml PETが125円、950ml PETが176円、1L PETが220円、2L PETが371円。

リニューアルの背景

 今回の大幅リニューアルの背景や理由について、日本コカ・コーラ マーケティング本部 緑茶事業部 部長 助川公太氏が説明した。

日本コカ・コーラの助川公太氏

 助川氏によると、2023年の無糖茶、緑茶の市場は、ともにコロナ禍の前の2019年の水準を上回っており成長を続けている。

 一方、緑茶に大きく影響する環境の変化として、温暖化による気温上昇で水分補給ニーズが高まっていること、物価高や値上げの影響を受け節約志向が高まっていること、コロナ禍が明けて人流が戻り、イエナカだけでなくイエソトでの活動が増え、いつでも緑茶を飲む状況になっていることの3つを挙げた。

無糖茶、緑茶の市場は堅調
緑茶を取り巻く環境の変化

 こうした状況の中、「綾鷹も新しい時代に合わせて、さらに成長するためにも今こそ変わるべきだと判断した」(助川氏)という。

 綾鷹を刷新する上で、まずは課題を特定。綾鷹は一定の認知を得ているが、価格に見合った価値の減少、20代、30代の若い世代の取り込みができていないこと、コンビニや量販店など「手売りの市場」での苦戦という課題が見つかった。そこから「500ml前後の容器での価格とサイズのバランスを再検討する必要があるのではないか」と考えたという。

今年の綾鷹の活動方針は心機一転をもじって「心機一煎 綾鷹」
綾鷹の課題

 そこで、綾鷹をより親しみあるブランドに進化させること、現行の飲用者を維持しながら若い世代に飲んでもらうようにすること、今の時代の購買者のニーズに合った価格とパッケージのバランスを再構築すること、この3つを取り組むべきこととしてまとめた。このミッションを達成するために、2024年、綾鷹は新しい戦略をスタートするという。

 戦略の大きなポイントが、ターゲットの変更だ。緑茶は一般的に40代、50代がボリュームゾーンだが、将来の成長の基盤を築くため若い世代をメインターゲットに据えた。

「緑茶を自分で購入する人の比率は、20代から一気に高くなってきている。緑茶を手に取り始めるその時に綾鷹を選んでもらい、好きになってもらうことで、10年、20年と根強いファンとして囲い込むことができ、継続的な成長ができる」(助川氏)

 綾鷹は2007年に導入されたブランドで、当時の10代は最初から身近に綾鷹がある。その世代が今、20代、30代になっているため、「綾鷹を選ぶことに抵抗がなく、むしろ好意的に受け止めてくれるのでは」と考えた。この世代を「綾鷹ジェネレーション」と名付け、訴求していくとともに、ブランドパーパスも見直し、綾鷹の製品コンセプト、味わい、パッケージ、キャンペーンを刷新したという。

自分で緑茶を購入する人が増える20代をメインターゲットに
綾鷹のブランドパーパスを見直した

 新たな綾鷹の製品コンセプトは「淹れたての一杯目のおいしさ」。一杯目のお茶は、緑茶本来の旨味がしっかりありながらも後味が軽やかであるという点に着目し、「飲み疲れることなく、1日を通して気軽に本物の緑茶のおいしさを楽しんでもらえるのでは」と考えて決定した。

 従来の綾鷹に対する消費者の評価は「おいしいけれど、ちょっと高級そう」というもので、「気軽に飲める味わいから少し遠ざかってしまっている」という。苦く渋い味わいを好む層にとっては物足りず、スタンダードな味わいを好む層からは、味が濃すぎて普段飲むには重すぎるという、中途半端なポジションになってしまうという懸念もあった。

 そこで、新たな綾鷹は「緑茶のど真ん中の味わいを目指す」。ただ、実際に開発を進めると、一杯目のおいしさをペットボトルの緑茶で再現するのは非常にハードルが高く、「想像以上に大変な作業だった」という。上林春松本店の代表、上林氏とともに素材を一から見直し、何度も試作を繰り返し、通常、飲料の開発は1年程度のところ約3年をかけて「上林様にもお墨付きをもらえる味わいに到達することができた」という。

新しい綾鷹の製品コンセプト
従来の濃く苦みのある味わいから、スタンダードな味わいに変更

 新しい綾鷹は、淹れたての一杯目に現れるしっかりとした旨みと軽やかな後味が特徴。現在の綾鷹と比較して旨みの成分が40%アップし、相対的に苦味が少ない。消費者調査の結果でも、従来の綾鷹の味わいのイメージは残しつつ、新しい印象を与えていることが分かる。

実際に飲んでみると、新しい綾鷹は苦みが少なく、ごくごく飲める印象。旨みもしっかり感じる。色合いは従来品よりも明るくきれいな緑色だ(写真右側)。今回、旨みを増す効果を狙って新たに酵母粉末が採用されているが、きれいな色が持続するという副次作用も得られたという

 新しい綾鷹のメインパッケージは650mlに増量しているが、これも実際に消費者がどのくらい緑茶を飲むのかを調べ、1日600ml以上飲まれていることが分かったため。価格とのバランスも考慮し、デザインやサイズを決めていった。

素材を見直し、旨みの強い茶葉を採用することで旨みが40%アップした
緑茶の消費量が増えていること、お得感を求める傾向を意識して容量を増やした

 なお、キャンペーンも刷新するが、今回の発表会で詳細な内容は公開されなかった。4月上旬に改めて発表するという。

現行商品を超える味わいに

 発表会では、綾鷹を監修している上林春松本店の代表、上林氏と助川氏の対談も行われた。

日本コカ・コーラの助川氏と上林春松本店の代表 上林春松氏(右)

 上林氏は「お茶は一杯目がおいしいと言われるが、それは当然のことで、栽培から製造加工まで一杯目がおいしくなるように作られている。現在の消費者もそれを求めているのだと考えている。バランスが良く、飲みやすい」という。

 ただ、今回のリニューアルについては「綾鷹はすでに成熟したブランドで、現行製品も非常に高い評価をもらっている。大きな変更を加えるのは非常に勇気のいる決断だった」と振り返った。

「(助川氏には)いつも無茶振りをされる」と上林春松氏

 また、デザインについて、以前は自分の好きなデザインが最終選考まで残ったことは一度もなかったが、「今回は最初にいいなと思ったものが採用された」といった裏話も披露された。

 一方、助川氏は、試作したお茶を飲んだ上林氏から「現行商品を超えていない」というコメントが続いたことを紹介。「もう未来永劫、製品を出せないかもしれないというような不安にかられた」と苦労話を語った。

「3年という時間をしっかりかけて、200以上の試作品を作って、妥協せずに準備をしてきた結果、あらゆる人に満足していただける味わいや製品に到達したと思っている」(助川氏)

「どうなることかと思っていたが、ようやく今日の日を迎えることができた。時間や作業に非常に多くの時間を費やしたが、最も注いできたのはやっぱり情熱。自信を持って届けられる新・綾鷹が完成できた。淹れたて一杯目の味わいをどうぞ皆さん、ご賞味ください」(上林氏)