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ファミリーマート、デジタル戦略拡大でコンビになる力を強化

2024年7月16日 発表

(左から)データ・ワン CROの判治秀丈氏、ファミリーマート デジタル事業本部 デジタル事業部長の国立冬樹氏、同 代表取締役社長の細見研介氏、ゲート・ワン 取締役COOの速水大剛氏、ファミリーマート 金融事業本部長 兼 ファミマデジタルワン 代表取締役社長の中野和浩氏

 ファミリーマートは7月16日、デジタル戦略に関する発表会を開催し、代表取締役社長の細見研介氏らが今後の展開について説明した。

 同社では、2023年からリテールメディア事業におけるデジタル戦略を強化。細見氏は、自社アプリの「ファミペイ」が2000万ダウンロードを突破したほか、店頭のデジタルサイネージ「ファミリーマートビジョン」の設置店舗も1万店となり、1日に1000万人にリーチできるメディアに成長してきたことを紹介。「お客さまとのデジタル接点の強化と拡大の施策が大きく進み出している」と語った。

 同氏は「コンビニを取り巻く経営環境は、17年ぶりにゼロ金利が解除され、インフレがこれからが本番であろうと考えている。金利のある世界で、さらに成長を確かなものにしていくためには、お客さまとより強力にコンビになることが必要不可欠と考え、それを目的に昨年来から進めているカスタマーリンクプラットフォーム構想をさらにパワーアップさせ、進化させることに取り組んでいる」と、その背景を説明する。

 7月2日にはファミペイアプリにおいて「ファミマメンバーズプログラム」を導入。来店回数や購入金額に応じて会員ランクが上昇し、ランクに応じた特典を得られる会員プログラムとなっている。

 デジタル事業本部 デジタル事業部長の国立冬樹氏によれば、アプリと店舗をつなぐコミュニケーションチャネルとしてビーコン広告を導入し、来店者にオススメ情報をプッシュ通知していく。

 また、ファミペイアプリの中で、パートナーとなるメーカーが独自プログラムをミニアプリの形で展開できる機能を実装。ユーザーごとの嗜好やニーズにあわせてクーポンやゲームといったコンテンツを配信できるようにすることで満足度の向上につなげていく。

 当初のパートナーとしては、日本コカ・コーラ、サントリー、サントリーフーズの3社の参加が明らかにされており、順次参加企業を増やしていく。同社では、こうした取り組みを日本の小売初のオープンプラットフォーム化としてアピールしているが、この枠組みに参加するには同社の審査をクリアする必要があるほか、プラットフォーム利用料を支払う必要がある。

 データ・ワン CROの判治秀丈氏は、店頭サイネージのファミリーマートビジョンにおいては、NTTドコモが保有する顧客プロファイルエンジンを活用し、実購買データを元に類似した傾向を持つユーザーに対して精度の高い購買提案を行なっていくことを紹介。

 同氏は、店頭サイネージのファミリーマートビジョンは、広告主の数が増加しており、当初の販売促進用途から広告メディアへの移行が進んでおり、内容としても店頭に商品がない企業のものが60%を占めていると明かした。

 続いて登壇したゲート・ワン 取締役COOの速水大剛氏は、そのファミリーマートビジョンについて、設置店舗を現状の1万店舗から大都市圏を中心に2000店舗を追加し、1万2000店舗とすることで、1週間あたりの最大リーチ数を6400万人規模から7700万人規模まで拡大すると説明。

 地方のテレビ局の番組と連携してコラボメニューを開発し、相互送客を図ったり、行政や自治体と組んで熱中症対策をアピールしながら、対策にオススメの飲料を紹介したりと、リテールメディアとしての可能性を広げていくとしている。

 最後に登壇したファミリーマート 金融事業本部長 兼 ファミマデジタルワン 代表取締役社長の中野和浩氏は、ファミペイを軸に展開している金融商品について説明。「ファミペイ翌月払い」の会員が1年間で10万人から28万人に増加していることや、ファミペイバーチャルカードの会員も15万人から150万人に増加していることを紹介した上で、さらに利便性を高めるために、銀行チャージの対応銀行数を現状の11行から10月に100行超に増やす計画であることを明らかにした。

 さらに来春には物理カードの発行をスタート。これにより、ガソリンスタンドや鉄道の改札、海外の加盟店など、全JCB加盟店で決済に利用できるようにする。同カードは、ファミペイ翌月払いと連携させることで、その与信枠の中で支払いが行なえる形になるとしている。