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味の素冷凍食品、フライパンへの張りつきをさらに改善した冷凍餃子

2025年1月27日 取材

AJINOMOTO ギョーザ <ギョーザ>

 味の素冷凍食品は1月27日、冷凍餃子に関する説明会を開催した。

 代表取締役社長の寺本博之氏は、「冷凍食品に注目が集まり、新しい製品が生まれ、活況を呈している。そのぶん、新規参入も多く、競争も激しくなってきている。そういう中で、味の素グループだからできるというところにフォーカスしたいと思い、いろんな議論を社内でも繰り返している」とした上で、冷凍餃子については“焼き体験”にこだわっていると紹介。

 同氏は、「モノを売る活動がメインだが、チャレンジしたいのはモノの背景を売るということ。製品開発する際には、かなりの努力をしながら、考え抜いて作っていく。その中にいろんな背景、ストーリーがあり、そこにバリューがあると信じている。我々は餃子で皆さんがウェルビーイングになっていただきたいと本気で信じている。それを粘り強くお伝えしたい」と熱く語る。

代表取締役社長の寺本博之氏

 同社では“永久改良”というスローガンの下で冷凍餃子のブラッシュアップに取り組んでおり、2023年~2024年にかけては「フライパンチャレンジ」なるプロジェクトを展開。消費者から冷凍餃子が焦げ付くとされる3520枚のフライパンを回収し、焦げ付きにくい冷凍餃子を実現するための研究を重ね、2024年2月に張りつきを抑えた商品を発売していた。

 マーケティング本部 リテール事業部 リテール製品戦略第1グループの駒木根理花氏は、「フライパンで焼く餃子は特別の存在。若年層でいうと、約6割の人が手作りであるという認識を持っている。簡単でおいしくて楽しい」と、冷凍食品に抱きがちな手抜き料理のイメージがなく、うまく焼けると喜びを感じられるという体験にこそ同社の冷凍餃子の本当の価値があると指摘する。

マーケティング本部 リテール事業部 リテール製品戦略第1グループの駒木根理花氏

 同氏は昨年のリニューアルを振り返り、「通常よりも開発期間が短く、これで終わりというところまでは行き着けなかったが、背景も含めて評価していただき、ここまでやってくれるなんてすごいよとか、そういう声を励みにしながら、この1年、さらにブラッシュアップを続けてきた」と明かす。

 同氏によれば、餃子がフライパンに張りつくメカニズムをさらに解析。羽根の素の成分を見直し、フライパンと餃子の間に作る油膜の油の種類を変えることで、さらに張りつきにくい状態にした。改良前の製品で12個すべてが張りついたフライパンを使った場合、2024年版は28%が同様に12個が張りついたままだったが、2025年版は7%まで改善できているという。

 今後の改良については、「IHへの対応強化など、引き続き調理性の改善を継続していくが、一定のレベルまで出し尽くした感もあり、中具や皮の食感など、シンプルなおいしさの向上も検討していきたい」とのこと。

 なお、集められた3520枚のフライパンについては、杉山金属が企画・製造、燕三条キッチン研究所が販売を担当する形で新しいフライパンに再生する取り組みに役立てられる。2月から生産が開始され、3月に4w1hブランドで販売される予定で、価格などの詳細は後日アナウンスされる。

再生フライパン

 また、執行役員 マーケティング本部(事業部門管掌)の杉田博司氏は、こうした冷凍餃子の世界観を伝えていくため、これまで単に「ギョーザ」と表現していた商品に「AJINOMOTO ギョーザ」というブランドを設定し、レンジアップ版とあわせてアピールしていく方針を示した。

執行役員 マーケティング本部(事業部門管掌)の杉田博司氏

 2025年を“AJINOMOTO ギョーザ元年”に位置づけ、大阪・関西万博などで日本を訪れるインバウンドの観光客に向けておいしさや楽しさを訴求していくほか、海外版でもAJINOMOTO ギョーザブランドを使用していくことで、冷凍餃子の市場拡大を図っていくとしている。