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味の素冷凍食品、フライパンへの張りつきを改善した「ギョーザ」を2月発売

フライパンの洗い方にも問題? ライオンと共同検証

2024年1月31日 発表

リニューアルした味の素冷凍食品の「ギョーザ」

 味の素冷凍食品は、フライパンへの張りつきを改善してリニューアルした冷凍の「ギョーザ」を2月11日に発売する。

 同社では、昨年5月にフライパン一面に冷凍餃子が張りついた写真がSNS上に投稿されたことをきっかけに、そのようなフライパンを募集。これが話題となり、本誌でもその裏側を取材し、紹介してきた。

 当時はまだ集計中だったが、最終的には3520枚のフライパンが集まったとのことで、同社ではそれらを1枚ずつ検証していった。その模様は「冷凍餃子フライパンチャレンジ」というWebサイトでも公開されている。

 マーケティング本部 国内統括事業部 製品戦略部 リテールグループ ギョーザ担当の駒木根理花氏によれば、看板商品の「ギョーザ」は毎年少しずつリニューアルを重ねているが、それらは常に世の中の社会環境や情勢の変化にあわせ、消費者の困りごとや悩みごとに対応していく“永久改良”というコンセプトの下で実施されている。

マーケティング本部 国内統括事業部 製品戦略部 リテールグループ ギョーザ担当の駒木根理花氏

 昨年のフライパン募集の反響が大きかったのも確かだが、理想的な形で冷凍餃子をきれいに焼けている人は全体の約8%に過ぎず、約25%は明らかに失敗した状態だという調査もあり、「うまく焼けたという感動体験を届けたいのに、実感していない人が多い」として、その原因を究明し、商品に反映できないか検討してきたという。

 その結果としてリニューアル発売されるのが今回の商品で、羽根の素となる成分のバランスを調整することで、フライパンに張りつきにくい設計になっている。

 駒木根氏によると、12個を並べて焼いた時、従来品では12個とも焦げ付いて剥がれないフライパンに対してリニューアル品を試したところ、26%のフライパンできれいに剥がれるようになったという。

 それでも46%では一部に張りつきが残り、28%では12個が張りついたままになったという結果もあり、今後も永久改良を続けていくとしている。

従来品を焼いて焦げ付いてしまったフライパン

 1月31日に開催された発表会では、代表取締役社長の寺本博之氏も登壇。同氏は「人口減少や高齢化で食品産業では市場拡大が見込みづらい状況の中で、冷凍食品市場は非常に元気な状況。主力の餃子については、さらに元気で、そのぶん新規参入も多く、競争が激しい状況が続いている」とした上で、「焼き餃子の本来の価値が置き去りになり、価格競争に偏重していないか」と指摘。

代表取締役社長の寺本博之氏

 同氏は、「非常に手間のかかる下ごしらえをメーカーがやり、最後は皆様のキッチンのフライパンや食卓のホットプレートで仕上げていただく。タイムセービングに価値がある。最初に水なし、油なしをうたったメーカーだが、誰が焼いても失敗なく焼ける、しかもきれいに羽根がつく。失敗なく焼けたときは満足感があり、自然と笑顔になる。これこそが商品が持っている価値」だと語った。

 続いて登壇したマーケティング本部 国内統括事業部 製品戦略部 リテールグループ長の多田裕之介氏は、年間1兆円規模となっている冷凍食品市場の近況について、2023年上期は前年同期比107%と伸長していることを紹介。

マーケティング本部 国内統括事業部 製品戦略部 リテールグループ長の多田裕之介氏

 新型コロナの5類移行により、通勤頻度が増え、毎日の献立を考えるのが大変になり、物価上昇により外食を控え、家で楽しむスタイルが拡大していることが冷凍食品業界にとっては追い風になっているとする。

 同社では、「ギョーザ」とあわせ、「ザ★」シリーズについても2月11日にリニューアル発売する。各商品では、内容量を少なめにすることで価格を抑え、手に取りやすくしているが、「ザ★シュウマイ」ではシャキシャキした食感の筍を採用するとともに生姜の風味を増強するなど、味の面でも改良を行なっているとのことだ。

 今回の発表会では、出席した記者が従来品では焦げ付いてしまうフライパンを用いてリニューアル品を焼いてみるという体験も用意された。手順としては、パッケージの裏面に書かれている内容そのもので、火をつける前に餃子を並べ、フタをして中火で加熱し、5分経ったらフタを取って、茶色い羽根ができるまで数分焼く、という流れ。別のフライパンを使い2回焼いてみたが、いずれも焦げ付くことなく、きれいな焼き上がりになっており、改良が実感できた。

 その後、フライパンの洗い方が原因で、張りつきやすくなっており、正しく洗浄することで一定数のフライパンで改善が確認されたとして、食器用洗剤メーカーに協力を打診した結果、ライオンから協力が得られるようになったことが明らかにされた。

 ライオンからは快適生活研究所 リビングケアマイスターの杉本美穂氏と研究開発本部 リビングケア研究所の瀬尾真大氏が登壇し、正しいフライパンの手入れのポイントが紹介された。

ライオンからは快適生活研究所 リビングケアマイスターの杉本美穂氏(右)と研究開発本部 リビングケア研究所の瀬尾真大氏(左)

 一般家庭に広く普及しているフッ素樹脂加工が施されたフライパンにおいては、熱いうちに水をかけるような「急激な温度変化」、空焚きや強火といった「高温での使用」、洗剤を使わずに水だけで洗ったり、料理を入れっぱなしにするといった「汚れの残存」、金属製の調理器具や研磨粒子が入ったスポンジを使うことによる「表面に傷をつける」の4つのNG行動に注意してほしいとしている。

 味の素冷凍食品では、ライオンとの共同での検証を通じ、さらなる改良についても検討していくとしている。