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マクドナルド、価格以上の店舗体験で“バリュー”向上を目指す

2025年3月12日 取材
モバイルオーダーの手順も教えてくれる「おもてなしリーダー」

 日本マクドナルドは3月12日、報道関係者向けに同社の最新の取り組みを紹介する「バリュー」体験会を開催した。

 会場となったのは、2024年12月27日にオープンした「マクドナルド1号線川崎神明町店」。同店舗は、ドライブスルーやパーク&ゴー、モバイルオーダー、テーブルサービス、タッチパネル式注文端末、おもてなしリーダーなど、利用者の利便性を追求した同社のサービスが一通り導入されており、明るい店内の雰囲気とあわせ、今後の同社のスタンダードを体現した店舗となっている。

 同社によれば、マクドナルドとして掲げるバリューとは、店舗体験の向上を通じて利用者に対して価格以上の価値を提供することを意味する。店舗での体験は、品質(Quality)、サービス(Service)、清潔さ(Cleanliness)の3つの観点で磨きをかけ、あわせて手頃感やワクワク感のあるメニューを提供することで、価値の向上を目指しているという。

マクドナルド1号線川崎神明町店の注文カウンター

 店舗体験においては、省人化を目指すのではなく、利用者の利便性を最重要視。こうした姿勢は、同社が「デジタルとピープルの融合」と表現するように、モバイルオーダーやタッチパネル式注文端末といったデジタル技術の導入だけでなく、コンシェルジュ的な役割を担う「おもてなしリーダー」と呼ばれるスタッフを各店舗に配置し、人間によるおもてなしを融合させて体験価値を向上させる取り組みに象徴されている。

 2019年1月に導入が開始された「おもてなしリーダー」は、現在は約1万8000人まで増えており、全国約3000店舗のうち約2850店舗に配置されている。モバイルオーダーやタッチパネル式注文端末といったデジタル技術は、一度利用すると利便性の高さから無くてはならない存在となり得るが、使ったことがない人にとっては大きなハードルになることもあり、そんな時に来店客をサポートしてくれる頼もしい存在だ。

利用者の入店から退店までをサポートしてくれる

 もちろん、デジタル化も抜かりはない。2022年11月には複数に分かれていたスマートフォン向けのアプリを1つに統合し、クーポンの配布やモバイルオーダー、デリバリー注文、アンケートといった機能を提供。月間ユーザーは約2500万人とされる。

 モバイルオーダーについては、2020年1月に全国での導入を完了。スマートフォン1つで注文から決済までが行なえるほか、先にテーブルに着座してアプリから注文すれば、商品をテーブルまで届けてくれる「テーブルオーダー」や、駐車場に停めたクルマまで商品を運んできてくれる「パーク&ゴー」といったサービスが順次追加されており、ここでも利便性の追求が行なわれている。

テーブルオーダーは一度利用すると手放せなくなる

 海外ではコロナ前から導入が進んでいたタッチパネル式注文端末は、国内においては2023年3月から導入をスタート。現在では約1300店舗に設置されており、スマートフォンよりもはるかに大きなタッチパネル端末を操作して注文でき、キャッシュレス決済にも対応する。

 ちなみに、注文した商品はカウンターでの受け取りに加え、番号札の番号を入力しておくことでテーブルまで届けてくれる「テーブルサービス」も利用可能だ。実は、この番号札もかなりハイテクで、ビーコンを内蔵することで、広い店内のどの辺りに番号札を持った利用者がいるのかを商品を届けるスタッフが把握できるようにしている。フードコートの呼び出しベルとは一味違うおもてなしと言えるだろう。

タッチパネル式注文端末
実はハイテクな番号札

 また、1号線川崎神明町店では、注文カウンターにモバイルオーダー用のピックアップボックスを設置。これとは別にデリバリーサービスの配達員向けのピックアップカウンターを設けて交通整理する仕組みも導入されており、モバイルオーダーによるテイクアウトをよりスムーズに利用できるように工夫されている。

モバイルオーダー用のピックアップボックス
デリバリー配達員向けに別の入口が用意されている

 一方、メニューについては、昨今の物価高の影響は避けがたく、3月12日から単品を中心に店頭価格が10~30円の値上げとなっている。それでも、セットメニューについては価格を据え置き、従来「ちょいセット」として提供してきたマックチキン、スパイシーマックチキン(スパチキ)、マックチキンチーズ(チキチー)、エッグチーズバーガー(エグチ)に加え、10年ぶりにハンバーガーのセットを復活させ、500円台のセットメニューを強化。

10年ぶりに復活した「ハンバーガー」のセットはワンコイン(500円)で楽しめる

 コアとなるバリューセットやハッピーセットに加え、朝マック、ひるマック、夜マックと、時間帯ごとにお得感のあるセットメニューをラインアップすることで、いつ訪れても異なる切り口で選べる楽しさを表現している。

 なお、各セットメニュー(朝マックを除く)はフライドポテトがデフォルト設定となっているが、ナゲット、サラダ、えだまめコーンも追加料金なしで選択可能だ。クーポンを利用する場合はポテト縛りが発生してしまうが、クーポンを使わない場合は自由に組み合わせられるので、お腹の空き具合やメインのバーガーとの食べ合わせなどを考えながら選んでみるのもいいだろう。

サイドメニューはポテト以外も選択可能
存在感は薄いが「えだまめコーン」もおいしい