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リニューアルした「サントリー〈天然水のビール工場〉京都」の見学ツアーを見てきた

2025年3月26日 取材
サントリー〈天然水のビール工場〉京都

 サントリーは、「サントリー〈天然水のビール工場〉京都」の見学ツアーをリニューアルし、4月15日から一般公開する。予約は4月1日9時30分から受け付ける。

 3月26日には現地の様子が報道関係者向けに公開され、〈天然水のビール工場〉京都工場長の角井達文氏とビール・RTD本部プレミアムビール部の櫻井はるか氏が新たな見学ツアーのポイントを説明した。

 京都工場は、甲子園球場3個分に相当する約10万m2の敷地のなかで、年間約34万kl(大瓶換算で約2700ケース)のビールを製造しており、西日本最大のビール製造拠点として九州を除く愛知県以西のエリアに商品を供給している。

〈天然水のビール工場〉京都工場長の角井達文氏(左)とビール・RTD本部プレミアムビール部の櫻井はるか氏(右)

 角井氏は、「サントリーは天然水にこだわっており、(全国の)4つの工場とも良質な天然水が採取できる場所に立地している。これは競合他社が実現できていないサントリービールの品質を支えるファクトであり、強みと考えている」と語る。

 その上で「京都ビール工場で使用している天然水の主な水源は北西にある“きょうと西山”で、何十年もかけて地層をくぐりぬけ、地下水となり、それを我々が汲み上げて使用させていただいている」として、長岡京市や長岡京森林組合とともに森林整備や涵養活動に取り組んでいることを紹介。

 ビールは麦芽、ホップ、水が原料となるが、毎年作況が変わり、産地によっても品質が変化することから、同じ作り方では同じ味のビールができない。「この違いをつくり手が見極め、製造条件を調整することにより、いつも同じおいしいビールを作り上げている」(角井氏)とのことで、今回の見学コースのリニューアルでは自然の恵みに感謝しながら天然水にまでこだわるものづくりの魅力や、最高のうまさを求めてビールづくりに励むつくり手たちの思いを伝えることをコンセプトに掲げているという。

 ツアーのオープニングには、京都西山エリアの自然の恵みに感謝しながらビールづくりに励むつくり手の思いをまとめた「ようこそ、サントリー〈天然水のビール工場〉京都へ」と題したウェルカムムービーを用意。

 製造工程の説明に加え、つくり手が自身の言葉で思いを伝える「つくり手等身大モニター」を新設。櫻井氏によると、等身大モニターは6か所に設置されており、1か所あたり3名のつくり手が交代で登場。参加するたびに異なる話が聞けるようになっており、熱い思いやこだわりはもちろんのこと、時にはこぼれ話も聞けるのだとか。

つくり手等身大モニター
仕込室の巨大モニター
缶になって工場内のラインを通り抜けていく映像

 仕込工程においては、ガラス張りの仕込室の前に巨大なモニターを新設。ザ・プレミアム・モルツのこだわりの製法を映像を交えて紹介する。パッケージング工程においても、参加者が缶になったかのような目線で工場内のラインを通り抜けていく様子を体感できる映像も用意されている。

仕込室内
敷地内を走るバスの中から出荷の様子も確認できる

 ゲストルームには新しくなったザ・プレミアム・モルツのロゴを設置。オリジナルデザインのグラスや京野菜を使ったおつまみを用意し、神泡アートや神泡セルフサービスといった体験とあわせて楽しめるようにしている。

ゲストルームでは3杯まで試飲を楽しめる
全10種類から選べる「神泡アート」
試飲で使われているグラスは購入することも可能

 また、同工場は1969年に竣工し、その翌年の1970年には大阪万博が開催されているが、その際にサントリー館のシンボルとして設置されていた巨大モニュメント「御酒口(みきぐち)」は同工場の敷地内に移設され、その姿を現代に残している。

1970年の大阪万博でサントリー館のシンボルとして設置されていた巨大モニュメントが残されている

 4月13日に開幕する大阪・関西万博においては、「ワールドKANPAIビール」と称して会場内で試作したベースビールを提供。来場者の声を汲み上げ、それを反映させて9月に全国発売するというユーザー参加型のビールづくりが行なわれることになっている。

 同工場では、4月~5月にかけて見学ツアーの参加者向けにベースビールのサンプリングが実施される予定で、角井氏によれば、9月に商品化される際も同工場が製造を担当することになるという。

4月~5月には「ワールドKANPAIビール」のベースビールのサンプリングも実施される

 万博関連では、5月~10月には小学3~4年生とその保護者を対象に天然水の大切さを学べるイベントを開催するほか、山崎蒸溜所とともに京都エリアの見どころを紹介する周遊デジタルマップを工場見学サイトに用意。

 海外からの観光客をサポートするため、スマートフォンを活用した同時翻訳ガイド(30か国語以上に対応)も導入する。同サービスは、ガイドが話した言葉を文字に起こして翻訳して表示するという仕組みになっており、翻訳機能を利用せず、日本語で表示させることも可能で、聴覚障碍者をサポートできるほか、何かと騒々しい工場内でガイドの声が聞き取れなかったという場合にも役に立ちそうだ。

同時翻訳ガイド

 なお、従来の見学ツアーが工場見学50分+試飲20分の70分コースだったのに対し、新たな見学ツアーは工場見学60分+試飲30分の90分に内容が拡充されており、これに伴い有料化されている。参加費は1000円で、ザ・プレミアム・モルツ3種(最大3杯)を試飲できる。