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「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」9月30日発売

2025年9月30日 発売
キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ

 キリンビールは、「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」(350ml缶)を9月30日に発売する。オープンプライスでの販売となるが、コンビニエンスストアでの店頭価格は181円前後になる見込み。

 ビールを飲んだ時のような気分になれる本格醸造ノンアルコールを目指し、4年の歳月をかけて開発された新商品。同社としては、ノンアルコール商品では最大規模の設備投資を行ない、独自の「ラガービールテイスト製法(脱アルコール製法)」を採用することでキリン伝統のラガータイプの味わいを再現している。

 ラガービールテイスト製法については、ホップの苦みや爽快なのどごしが感じられるラガータイプのビールからアルコールを除去する製法とのことで、麦の旨みとホップの爽快な香りや苦味をバランスよく残すことで、飲みごたえとキレを実現している。

 発売に先立ち19日に開催された発表会では、マーケティング部 カテゴリー戦略担当 カテゴリーマネージャーの木村正一氏、マスターブリュワーの田山智広氏が登壇し、商品化の経緯や開発のポイントが説明された。

マーケティング部 カテゴリー戦略担当 カテゴリーマネージャーの木村正一氏(左)とマスターブリュワーの田山智広氏(右)

 木村氏は、酒類メーカーの責任として、お酒のリスクと価値を正しく伝えたり、持続的成長に向けた研究や技術の探求を行なったりすることにあわせ、ノンアル・低アル商品の構成比を増やすことを目標に掲げていることを紹介。

 ノンアルコール飲料については、2009年に世界初となるアルコール0.00%の「キリンフリー」を発売するなど、“おいしさへの新しい挑戦”にこだわりながら開発を継続してきたとする。

 ノンアルコール飲料の市場は、ビールテイスト・RTDともに伸長傾向が続いており、今後もさらなる拡大が見込まれており、ビールテイストについては発泡酒や新ジャンルといった低価格カテゴリーからの流入が見られるという。

 同社としては、ノンアルビールのライト・ノンユーザーは、約250万人とされるヘビーユーザーの約20倍となる約5100万人規模で存在するとして、この層をいかに開拓していくかが今後の成長の鍵になると見ている。

 一方で、「事情がある時に仕方なく飲むもの」というイメージが強く、ユーザーが期待するおいしさと実態とのギャップが大きいことから、木村氏はその溝を埋めることが重要だと語る。

 同氏によれば、ノンアルビールのおいしさへの期待としては、「本格ビールらしさ」と「爽やかリフレッシュ」の2つの軸のニーズが高く、後者については「キリン グリーンズフリー」を提案しつつ、前者に対応するものとして今回の商品を発売することにしたという。

 本格的な味わいを表現する上では、同社のビールの原点とも言えるラガータイプに立ち返り、その味わいをいかに再現できるかに挑戦した。

 開発にあたっては4年の歳月を要しているが、田山氏は「ラガービールテイスト製法」と呼ばれる脱アルコール製法の難しさを振り返る。

ラガービールテイスト製法

 ノンアルビールの作り方としては、発酵を行なわず、アルコールを生成せず、味覚を調整して作る「調合」製法と、一度ビールを作ってからアルコールを抜く「脱アルコール」製法の2つの方法があり、同社のこれまでの商品は調合製法で作られていた。

 田山氏によれば、調合製法の場合、コクを作るのは得意だが、キレの表現が難しく、本格的なキレやのどごしを表現するには、脱アルコール製法が優れている。しかし、実際においしいと思える商品に仕立てるのは難しく、アルコールを抜く過程でビールらしい風味の元となる成分も取り除かれてしまうため、脱アルコールの前後をいかに工夫するかが鍵になってくる。

 前段階で成分の一部が飛んでしまうことを想定してベースとなるラガービールを作りつつ、後段階で味わいを調整する作業を行なうことで、“キリンビール史上最もビールに近い味”を実現しているとのことで、そうした味わいの最適化に時間がかったのだとか。

 同氏は、「単体でもおいしいが、食事と一緒だともっとおいしい。食事を邪魔しないどころか、食事がおいしくなる」とした上で、唐揚げや餃子などはもちろん、麻婆豆腐やエスニックのようなスパイシーな料理とも、寿司などの繊細な和食にもあうと語っていた。

 木村氏は、ラガーゼロの販売目標を年内3か月で約50万ケース(大びん換算)に設定し、グリーンズフリーとの両輪でノンアル市場の拡大を目指すとしている。