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日本のおさけの祭典「混祭2026」開催中。100の酒蔵が日本酒文化の新たな可能性を発信

2026年6月10日~14日 開催
「混祭2026」オープニングパーティから

 camoとルミネが主催する混祭の実行委員会は、「日本のおさけ」文化の新たな可能性を発信するイベント「混祭2026」を6月10日~14日に東京・高輪の「TAKANAWA GATEWAY CITY ニュウマン高輪」で開催している。混祭は今回が2回目で、会場をニュウマン高輪に移して規模を拡大した。

 これに先立ち、関係者を対象としたオープニングパーティを6月9日に開いた。会場では同イベントの趣旨が紹介されたほか、期間中に味わえるオリジナル日本酒カクテルやペアリングフードの試飲・試食も行なわれた。本稿ではその様子をレポートする。

「日本のおさけ」は多様化の時代へ

 オープニングパーティは、ニュウマン高輪 NORTH LUFTBAUM 28階のカフェバー「LOOPS」で開かれた。LOOPSも「混祭2026」の会場の一つで、期間中はオリジナル日本酒カクテルやペアリングフードなどを味わえる。

オープニングパーティの会場となったLOOPSの入口
円形のスペースになっているLOOPSの店内

 まず、「混祭2026」の仕掛け人で、 camo代表取締役 兼 Roots of 発起人・理事のカワナアキ氏があいさつした。「フランスの大きなお酒のイベントに参加し、とても面白い経験をした。そうした新しい機会をつくることで、これまで日本酒に触れてこなかった人に、いかに1杯目を飲んでもらうか。そして、その先にこんな面白い世界があると知っていただきたいという思いで『混祭』という企画をしている」と語る。

camo株式会社 代表取締役 兼 一般社団法人Roots of 発起人・理事 カワナアキ氏

 続いて、会津酒造9代目当主の渡部景大氏が日本酒業界について「昔はみんなおいしい酒をつくることを目指してきて、そこにたどり着き、今ようやく多様化してきたように思う。やっとスタートラインに立てたところで、消費量は少しずつ減ってはいるが、これからが日本酒の頑張りどころ、アピールのしどころだと思う」と話した。

会津酒造9代目当主 渡部景大氏

 渡部氏の話を受け、カワナ氏が日本酒のトレンドの変遷と「混祭」に込めた思いを語った。淡麗辛口の時代から、十四代のような華やかな酒、さらに新政や風の森といった穏やかな酒へと、約10年周期で人気が移ってきたという。一方で、過去50年ほどで酒蔵数は約4分の1に減り、今も1か月に3蔵ほどが廃業している。世界に約26万あるとされるワイナリーに対し、日本酒の酒蔵の登録数は約1500で、市場規模は世界のワイン市場の0.6%程度にすぎない。

 それでもカワナ氏は「飲む人が減っているとはいえ、海外などにまだチャンスがある。2000年前から造られてきた『日本』の酒として誇りを持ち、その魅力をより深く伝えられる機会としてこのイベントをやっている。100年先を見据えた街づくりを進めるJR東日本の皆さんと、この高輪で混祭を開くことになった」と話した。

 最後に、ルミネ 混祭担当の佐藤冴氏が、ニュウマン高輪としての思いを説明した。「日本酒をはじめ、日本の産業を支える生産者は、後継者問題や市場縮小といった課題に直面している。高輪は100年先の心豊かな暮らしをつくる街で、ニュウマン高輪も街づくりの一環として参加している。先人から受け継いだ日本の文化を次の100年へ紡いでいくために『混祭』を実施している。まずは楽しいイベントとして届けながら、日本酒業界や日本の産業の課題を知るきっかけになればうれしい」と語る。

株式会社ルミネ 混祭担当 佐藤冴氏
3人の登壇者によるフォトセッション

 ウェルカムドリンクとしては「獺祭 にごりスパークリング」が振る舞われた。米の甘味と華やかな香りを楽しめる一杯だ。

ウェルカムドリンクとして振る舞われた「獺祭 にごりスパークリング」
米の甘味と華やかな香りが楽しめる獺祭にごりスパークリング

日本酒カクテルとペアリングフードを体験

「混祭2026」のコンテンツは、全国から約100の酒蔵が日替わりで集まる「混祭Park」、ニュウマン高輪のショップと酒蔵がコラボする「スペシャルメニュー」、日本酒ラベルや缶バッジ作りを楽しめる「ワークショップ」の3つに分類できる。混祭Parkは予約不要で立ち寄ることができ、日本酒に合うフードのキッチンカーも出店する。

 スペシャルメニューには、サウナ施設「高輪SAUNAS」と福島県・曙酒造のコラボによる日本酒リトリート、カフェバー「LOOPS」の日本酒カクテルコース、焼肉Bovin d'orと滋賀県・松瀬酒造による8品8酒のペアリングコース、800°DEGREES TAKANAWAと能登の蔵元による6品6種のペアリングコースなどがそろう(一部は予約が必要)。ワークショップでは、自分で描いたデザインをラベルにした世界に一つだけの日本酒を作れるため、父の日のプレゼントにもよい。

 オープニングパーティでは、スペシャルメニューの一つ、LOOPSの「日本酒の歴史をカクテルで遡るカクテルコース(3ペア)」を体験できた。日本酒を「和」に閉じ込めず、その時代ごとに出会ってきた西洋の文化や価値観をカクテルで表現するというコンセプトで、3種のカクテルはペアリングフードとともに提供される。コースは現代から過去へ遡る構成だ。

1杯目「Back to Wild」(2010年~現代/熟成・旨味・テロワールの時代)

 1杯目は2010年以降の現代をイメージした「Back to Wild」。吉田酒造店の「吉田蔵 u Night & Dance」に、発酵苺とストロベリービネガー、赤紫蘇、黒胡椒を合わせた一杯だ。あざやかなピンク色で、赤紫蘇と黒胡椒をグラスの側面にもまぶした見た目も美しい。口に含むと胡椒の辛味と紫蘇の風味が広がる。最初は見た目より塩味を強く感じて驚いたが、2口、3口と飲むうちに違和感は消え、爽やかさが感じられた。

 ペアリングフードは「鴨/発酵ビーツ/カカオニブ」。山椒のきいた鴨のパストラミに発酵ビーツと赤紫蘇のピュレを添え、カカオニブのほろ苦さが重なる一皿で、同じ赤紫蘇を使ったカクテルとの相性がよい。

1杯目のカクテル「Back to Wild」。吉田酒造店の「吉田蔵 u Night & Dance」に発酵苺とストロベリービネガー、赤紫蘇、黒胡椒を合わせた
ペアリングフード「鴨/発酵ビーツ/カカオニブ」。山椒のきいた鴨のパストラミに発酵ビーツと赤紫蘇のピュレを添え、カカオニブのほろ苦さもよく合う

2杯目「Ginjo Air Spritz」(2000年~2010年/吟醸・芳香の時代)

 2杯目は、日本酒が香りを楽しむ酒として花開いた2000年代をイメージした「Ginjo Air Spritz」。華やかな香りで人気を集めた八戸酒造の「陸奥八仙 ピンクラベル」に白葡萄とエルダーフラワーを合わせ、日本酒のエアーフォームを乗せた。泡は最後まで残り、その食感と華やかな香りを楽しめる。エルダーフラワーの香りは吟醸香を邪魔せず、むしろ引き立てていた。

 ペアリングフードは「アスパラガス/ビーフ生ハム/メロン」。定番の生ハムメロンを、豚肉ではなくビーフ生ハムで仕立てることでメロンとの調和が増し、酒粕ヨーグルトの酸味やディルの爽やかさが味を引き立てる。直火で焼いたアスパラガスの香ばしさもよく合う。

2杯目のカクテル「Ginjo Air Spritz」。八戸酒造の「陸奥八仙 ピンクラベル」に白葡萄とエルダーフラワーを合わせ、日本酒のエアーフォームを乗せた
ペアリングフード「アスパラガス/ビーフ生ハム/メロン」。直火で焼いたアスパラガスの香ばしさに、ビーフ生ハムとメロンを合わせた前菜

3杯目「渡船のマティーニ」(1980年~90年代/淡麗辛口の時代)

 3杯目は淡麗辛口が持てはやされた1980~90年代をイメージした「渡船のマティーニ」。定番のドライマティーニを日本酒ベースで再構築した一杯で、松瀬酒造の「松の司 純米酒 渡船」にドライヴェルモットとフィノシェリーを合わせ、オレンジビターズを振っている。渡船のすっきりした味わいがヴェルモットと合わさり、マティーニとして成立している。

 ペアリングフードは「初鰹/白味噌/クレソン」。レアに揚げた初鰹をブリオッシュで挟んだ和洋折衷のカツサンドで、オレンジゼストの甘い香りとクレソンのほろ苦さが奥行きを生む。初鰹のレア加減と白味噌のコクが、渡船のマティーニとよく合った。

3杯目のカクテル「渡船のマティーニ」。定番のドライマティーニを日本酒ベースで再構築した一杯。ベースは松瀬酒造の「松の司 純米酒 渡船」
ペアリングフード「初鰹/白味噌/クレソン」。レアに揚げた初鰹をブリオッシュで挟んだ和洋折衷のカツサンド

 3組のペアリングを通じて、現在から過去へと日本酒の歴史を遡る体験ができた。これらのカクテルとフードはアラカルトでも楽しめるほか、小玉醸造の焼酎「杜氏潤平 白麹 芋焼酎」をベースにした「Sweet Roast Highball」、黄桜の「黄桜 山廃特別純米 山田錦」の燗冷ましにダージリンの香りを移してパロコルタドとアマレットを合わせた「Modern Umeshu」も用意されている。

LOOPSの混祭コラボオリジナルカクテルは全5種。アラカルトで注文できる
カクテルコースの最初のペアリング
カクテルコースの2杯目(右)と3杯目(左)のペアリング

参加酒蔵の日本酒と貴重な資料を展示

 会場のLOOPSは柱や壁の一部がくり抜かれ、ギャラリーとして使えるようになっている。そのスペースには、「混祭2026」に参加する酒蔵の日本酒に加え、各蔵の創業当時の貴重な資料も並んでいた。

 とくに目をひいたのが、各蔵の歴史を物語る資料だ。福島県のhaccoba-Craft Sake Breweryは原点となった書籍「諸国ドブロク宝典」を、兵庫県の三宅酒造は、段ボールがなかった時代に藁で巻いて運ばれた創業銘柄「菊日本」のボトルと推定84年前の新聞を展示。岡山県の辻本店は江戸中期の図録「日本山海名産図会」、大阪府の秋鹿酒造は酒造免許、新潟県の葵酒造は明治後期のチラシを並べ、宮城県の新澤醸造店と荻野酒造は創業当時の蔵の写真を掲げていた。

福島県haccoba-Craft Sake Breweryの「jam」
haccoba-Craft Sake Breweryの原点となった「諸国ドブロク宝典」
兵庫県三宅酒造の「QA つきをよむ」
段ボールがなかった時代、破損を防ぐため藁で巻いて運ばれた創業銘柄「菊日本」のボトルと推定84年前の新聞
宮城県新澤醸造店の「零響 Absolute 0」。精米歩合0.85%という究極の大吟醸酒
新澤醸造店の創業当時、蔵の前で撮影された写真
宮城県荻野酒造の「荻の鶴 別仕込 真夏の猫」
昭和20年代に撮影された荻野酒造の蔵の写真
新潟県葵酒造の「Maison Aoi 撫子」
明治後期に制作されたチラシの絵
岡山県辻本店の「御前酒 1859」
江戸中期の図録「日本山海名産図会」
大阪府秋鹿酒造の「秋鹿 魂の一滴」
秋鹿酒造の酒造免許

 展示された日本酒も多彩だ。宮城県・新澤醸造店の「零響 Absolute 0」は、精米歩合0.85%という究極の大吟醸酒。ほかにも全国各地から、定番の純米酒や生酛づくりの酒、クラフトサケ、ミードまで、個性豊かな銘柄がそろった。

静岡県萩錦酒造の「美裡」
福井県常山酒造の「常山 玄達 GENTATSU」
石川県吉田酒造店の「吉田蔵 u Thank you」
石川県松波酒造の「大江山×二兎」
北海道森ノ醸造所の「UPAS」
島根県吉田酒造の「美月」
新潟県八海醸造の「唎酒 Rishu 春紫菀」
広島県今田酒造本店の「富久長 妙花風」
岩手県赤武酒造の「AKABU 純米酒」
広島県三輪酒造の「神雷 イワクラ 白ラベル」
栃木県松井酒造の「松の寿 HADEなMATSUKOTO」
山口県旭酒造の「獺祭 にごりスパークリング」
鳥取県太田酒造場の「辨天娘 生酛 強力」
島根県板倉酒造の「イトナミミード」
滋賀県松瀬酒造の「オーガニック 渡船」
滋賀県笑四季酒造の「笑四季 未来派宣言 月下美人」
北海道二世古酒造の「二世古 特別純米 辛口 吟風60」
福島県仁井田本家の「にいだしぜんしゅ めろん 3.33」
鹿児島県西平酒造の「NISHIHIRA's Sonic Aging」
新潟県阿部酒造の「ReLe:」
千葉県寺田本家の「発芽玄米酒 むすひ」
鹿児島県大山甚七商店の「宮ヶ浜 MIYAGAHAMA Candy」
福岡県三井の寿の「夏純吟 チカーラ」