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サントリー、4つの圃場の“甲州”を使ったワイン「THE 甲州 テロワールアンサンブル」を発売。試飲もしてみた

2026年9月8日 発売
サントリー「SUNTORY FROM FARM THE 甲州 テロワールアンサンブル 2025」発表会

 サントリーは、日本ワインの新製品「SUNTORY FROM FARM THE 甲州 テロワールアンサンブル 2025」を9月8日に数量限定で発売する。発売に先立ち、都内で発表会を行なった。本商品は個性の異なる4つの産地の「甲州」原酒から成り立っているのが大きな特徴だ。

SUNTORY FROM FARM THE 甲州 テロワールアンサンブル 2025

色/タイプ: 白/辛口
アルコール度数: 12%
ぶどう品種: 自社管理畑の甲州100%
ぶどう産地: 長野県立科町、山梨県南アルプス市、山梨県甲斐市、山梨県中央市
醸造地: 登美の丘ワイナリー
価格: オープン(カタログ価格は3500円・税別)
製造数量: 約2万4000本

日本ワインの主力として「甲州」の新しい魅力を備えた新商品を発売

 最初にワイン部長の宮下弘至氏が、ワイン事業の中長期方針や実績、新商品「SUNTORY FROM FARM THE 甲州 テロワールアンサンブル 2025」(以下、甲州 テロワールアンサンブル)について説明した。直近の2026年1~7月のワイン事業の売上高は250億円で対前年を上回り、日本ワイン販売も前年比103%だったと報告した。ちなみに「日本ワイン」とは、日本国内で栽培されたぶどうを100%使用し、日本国内で醸造されたワインを指す。

サントリー株式会社 マーケティング本部 ワイン部長 宮下弘至氏
ワイン事業の中長期方針
2026年1~7月のワイン事業の売上高

 事業方針の一つが、世界に通用する「ジャパニーズワイン」の確立であり、オリジナリティのある日本ワインで実現することを目標にしている。その中で重要な役割を担うのが日本固有品種である「甲州」であり、栽培面積を増やし、収量の増加に取り組んでいる。具体的には、山梨県内の自園や自社管理畑において、2035年までに約3倍の収穫量である200tを目指す。

日本固有品種の「甲州」
サントリーが目指す日本ワイン
甲州の収穫量と産地

 同社では約10年前から自社畑の強みを生かして、甲州の品質向上にも取り組んできた。日本で長く受け継がれてきた同品種は病気に強く、クリーンな味わいを生みやすい反面、欧州系品種より糖度が上がりにくいのが難点とされている。宮下氏は「品種のよさを生かしながら、いかに凝縮感を高めることができるかが、世界品質の白ワインに並ぶ鍵だと思っています」と考えを述べた。

品質向上の取り組み

 現在、甲州を用いた商品は国際コンクールでも受賞するなど、評価が上がってきていることを紹介した。そのうえで今回は、山梨県産と長野県産の甲州を組み合わせた新商品「THE 甲州 テロワールアンサンブル」をラインアップに加える。単一産地に限定しないアッサンブラージュ(ブレンド作業)により、「既存の概念にとらわれないワイン造りによって、単一産地では生み出せない、新しい味わいの甲州ワインを生み出すことができました」と説明した。

世界的なコンクールで受賞
「SUNTORY FROM FARM THE 甲州 テロワールアンサンブル 2025」
サントリー「甲州ワイン」のラインアップ

自社管理する4つの圃場における甲州の違い

 甲州の詳細については、登美の丘ワイナリー/塩尻ワイナリーでチーフワインメーカーを務める篠田氏が説明した。「THE 甲州 テロワールアンサンブル」は、自社管理する4つのぶどう畑で栽培されている“甲州”から作られているが、同じ品種でありながらそれぞれの産地で違いがあることに触れた。

サントリー株式会社 登美の丘ワイナリー/塩尻ワイナリー チーフワインメーカー 篠田健太郎氏

 長野県の「立科圃場」、山梨県の「南アルプス圃場」「双葉圃場」「豊富圃場」は、それぞれ土壌も標高も違うため、その土地のテロワールを有する。科学的データで見ても、積算温度が違うため、糖と酸度のバランスも異なってくる。具体的には、長野県の立科圃場は標高780メートルの冷涼地にあり、強粘土質の土壌に畑を作った。ぶどうがゆっくり成熟するため、果実の凝縮感と伸びやかな酸が両立したぶどうを収穫できるそうだ。

4つの圃場の違い
産地による品質の違い

 自社管理畑での取り組みについても説明した。立科圃場は甲州の新たな魅力を引き出すためにあえて冷涼地を選び、畑づくりから始めた。栽培では、伝統的な棚栽培ではなく、垣根栽培を選択し、日当たりの確保とより細かな管理で熟度を高め、この地ならではの個性を引き出している。南アルプス圃場は面積約10haと広く、甲州の畑としては日本最大規模の圃場になっている。この広大な圃場を「高糖度」「多収量」「香り強」の3系統ごとに区画を分け、栽培管理方法を変えながら、甲州の多様な個性を引き出すようにしている。

自社管理畑での取り組み

 完熟を見極めて収穫された甲州は登美の丘ワイナリーへ運ばれ、昨年9月に稼働開始した「FROM FARM醸造棟」で醸造される。新たなプレス機で均一かつ穏やかに搾汁し、直後に冷却したうえで小型発酵タンクによる小ロット醸造を行なうことで、甲州のポテンシャルを損なわずに原酒化すると説明した。

登美の丘ワイナリーでの醸造

 アッサンブラージュによって完成したワインは、南アルプス由来の清らかさとボリューム感、華やかな香りと爽やかな味わい、日照に恵まれた畑由来のふくよかな果実味を中盤に感じ、終盤から余韻にかけては長野県の栽培地由来とされる硬質で緊張感のある酸が爽やかさを残す設計になっていると説明した。篠田氏は「各地で引き出された甲州の個性を1つに調和させることで、品種のポテンシャルを存分に味わえるワインができたと考えています」と話した。

アッサンブラージュによる味わいの設計

魚介料理にもよく合う「THE 甲州 テロワールアンサンブル」

 発表会の後には「THE 甲州 テロワールアンサンブル」の試飲会が用意され、ワインと一緒に鯛とシマアジの刺身、イカの大葉巻きとエビの天ぷらが提供された。甲州を用いたワインは生魚と相性がよいとされているが、その理由として“鉄分”が少ないことが紹介された。一般的に白ワインよりも赤ワインの方が含有量が高く、魚介の生臭さを助長させる傾向にある。白ワインの中でも甲州ワインはさらに含有量が低く、相性がよいとのことだ。

試飲で用意された料理と「THE 甲州 テロワールアンサンブル」
鉄分含有量が少ない

 早速「THE 甲州 テロワールアンサンブル」を手に取り、味わいを確かめてみた。香りは、青りんごの爽やかさをまとい、テイスティングノートに記されている和柑橘の香りとして“ゆず”のようなほろ苦さを少し感じた。味わいについては、「しっかりとした果実味と心地よい酸味」とあるように、ぶどうの凝縮感とすっきりとした酸味が心地よく感じた。フィニッシュにかけて、メロンのような芳醇な香りが少し顔を出すのも面白かった。

グラスに注がれた「THE 甲州 テロワールアンサンブル」
「THE 甲州 テロワールアンサンブル」の中味について
香りも産地によって異なる

 魚介とのマリアージュについては、説明にあったように生臭さを感じることはなかった。さっぱりとした鯛、脂ののったシマアジのどちらも美味しくいただけた。天ぷらについても同じで生臭い感じはなく、ワインのおかげでイカの甘みやエビの旨みのコントラストがくっきりと感じられた。多層的な酸味が上手に調和しているのだろう。甲州ワインの新たな位置付けとして登場した「THE 甲州 テロワールアンサンブル」が、これから市場でどう評価されるのか興味深い。

甲州ワインの新しい味わいとして登場