ニュース

星野リゾートの温泉旅館「界 松本」が和食からイタリアンへ大転換。長野ワインのみというペアリングを味わってきた

2026年8月4日 リニューアルオープン
界 松本で提供される信州イタリアン「Matsumoto sinfonia」

 星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」の「界 松本」(長野県・浅間温泉)が、全館リニューアルオープンした。コンセプトは「松本エレガンテに浸る湯宿」。「エレガンテ」は贅沢や優雅を意味するイタリア語で、建築、音楽、ワインが響き合う様を表わしている。

 今回のリニューアルで最も大きく変わったのが夕食だ。旅館の王道である会席料理から、界ブランドで初となるイタリアンのフルコースへ刷新した。合わせる酒は長野県産のワインだけに絞り込み、常時50種類を用意する。ロビーには界ブランド初となる「NAGANO WINE BAR」が誕生し、全客室は音楽の「楽」をテーマにしたご当地部屋「GAKUの間」へと改装された。

 界 松本が位置する浅間温泉は、城下町・松本の奥座敷として栄えた歴史ある温泉地。松本市は民芸運動の息吹が残る工芸のまちであり、クラシック音楽が街に響く「楽都」としても知られる。その土地の文化を、料理と客室と音の3方向から浴びられる宿になった。

 試泊会ではディナーとワインのペアリングなどを体験してきたので紹介していく。

界 松本(長野県松本市浅間温泉)。JR松本駅からクルマで約15分の距離にある
エントランスホール

信州イタリアン「Matsumoto sinfonia」

コース: matsumoto sinfonia(全7品)
ワインペアリング: NAGANO WINE ペアリング 8000円
グラスワイン: 1200円~2800円(120mL、スパークリングのみ100mL)
ワインの品ぞろえ: 長野県産を常時50種類
※夕食は宿泊料金に含まれる。ドリンクは別料金

 レストランは、レンガ調のタイルをあしらった半個室が並ぶ造り。壁で仕切られているためプライベート感があり、中庭に面したカウンター席も用意されている。

 入り口には、長野県のワイン産地を示した立体地図が置かれている。「信州ワインバレー構想」は長野県が策定したワイン産業の振興計画で、県内には千曲川、日本アルプス、桔梗ヶ原、八ヶ岳西麓、天竜川の5つのワインバレーがある。それぞれの土地の個性を活かしたブドウが育てられ、ワインが造られていることを、席に着く前に学べる仕掛けだ。

 夕食は「matsumoto sinfonia」と名付けられた全7品。これを「NAGANO WINE ペアリング」(8000円)とともに味わった。

 ペアリングで供されるのは6種で、グラスワインのメニューに並ぶ顔ぶれとそのまま同じ。単品で頼むと合計1万900円になるので、8000円のペアリングのほうがお得だ。

 なぜイタリアンだったのか話を聞くと、界 松本の周りには素晴らしいワイナリーがたくさんあり、そのワインを楽しんでもらうために和食のまま進むのか、洋に舵を切るのかでかなり悩んだという。決め手になったのは「イタリアンのオリーブオイルのみずみずしい感じが、地元のワインとすごく合った」ことだった。

 料理の設計では、松本の音楽と、ご当地の食材という2つをうまく融合させることを軸にした。前半で音楽を表現し、後半に向けて信州にちなんだ食材を前に出していく流れになっている。

レストランの入り口にある立体地図。長野県内の5つのワインバレーと、それぞれの位置関係を学べる
食事スペースは壁で仕切られた半個室タイプで、プライベート感も確保されている
中庭に面したカウンター席も用意されている

6種の小さな前菜「Stuzzichino」/サンサンエステート スパークリング ブリュットブラン

Stuzzichino 6種の小さな前菜

 1品目は、ピアノをモチーフにしたオリジナルの器で登場する。黒鍵と白鍵に見立てた台の上に、6種の小前菜が1つずつ置かれている。器は特注で、バイオリンを開けると料理が現われる案なども出たそうだが、試行錯誤の末にピアノへ着地した。

 前菜の品名を記した紙も楽譜のデザインになっている。譜面はプッチーニのオペラのものだ。松本で毎年開かれる「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」ではオペラがよく催され、小澤征爾さんもオペラを得意としていたことに倣ったという。松本市は音楽教育「スズキ・メソード」発祥の地でもあり、「楽都」と呼ばれる街の記憶が、こんなところにも織り込まれている。

 合わせるのはサンサンワイナリーの「サンサンエステート スパークリング ブリュットブラン」。自社畑のシャルドネを100%使い、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で仕上げた辛口だ。きめ細かな泡立ちと、フレッシュな果実味、キレのある酸味が調和している。

 小さくてもしっかりと旨みを感じる前菜たちと、キリッと辛口のスパークリングワインが、素敵なディナーの開幕を奏でてくれる。

ピアノをモチーフにしたオリジナルの器で提供される。器は特注品
前菜の品名を記した紙も楽譜のデザイン。譜面はプッチーニのオペラのもので、セイジ・オザワ 松本フェスティバルに倣っている
サンサンワイナリーの「サンサンエステート スパークリング ブリュットブラン」。自社畑のシャルドネ100%

サーモン ミッレフォーリエ/丘の上 幸西ワイナリー ソーヴィニヨンブラン 2025

サーモン ミッレフォーリエ Millefoglie di Salmone

 サーモンとライムクリームを層にして、楽譜の五線譜に見立てた一品。周りにはリンゴのヴィネグレットがかかる。皿にも仕掛けがあり、よく見ると渦を巻いている。レコード盤に見立てた皿だ。

 合わせるのは、塩尻市片丘にある丘の上 幸西ワイナリーの「ソーヴィニヨンブラン 2025」。雨が少なく健全なブドウに恵まれた年のもので、爽やかながらミネラル感と厚みのある辛口に仕上がっている。

 下に隠れたパイ生地のサクサクとイクラのプチプチ食感が心地よく、ワインはミネラル感もあるしっかり目のソーヴィニヨンブランで、サーモンの旨みにとてもよく合っている。

丘の上 幸西ワイナリー ソーヴィニヨンブラン 2025

玉蜀黍のスフォルマート/五一わいん ロイヤル 白

玉蜀黍のスフォルマート Sformato di Mais con Spuma di Prosciutto

 トウモロコシのスフォルマートに、生ハム風味のミルクの泡をかけた一品。上に乗るトウモロコシの新芽は手でつまんで食べる。よく噛むと、新芽の甘さのあとからトウモロコシの風味が追いかけてくる。

 合わせるのは塩尻市の林農園が造る「五一わいん ロイヤル 白」。シャルドネを主体に貴腐ワインをブレンドし、樽熟成させたやや甘口だ。貴腐ブドウ由来の蜂蜜のような甘い香りと果実香が調和した、芳醇でコクのある味わいになっている。貴腐ワインそのものはめずらしくないが、ブレンドして使う例はあまり見かけない。トウモロコシの甘さに合わせた結果だという。

 生ハムの旨みのある泡とともに、トウモロコシの季節感のある甘みを味わうことができる。そこに貴腐ワインをブレンドして樽熟成させたこっくりとした白ワインがとてもよく合う。

五一わいん ロイヤル(白)。シャルドネに貴腐ワインをブレンドして樽熟成させている

鴨モモ肉のラグー タリアテッレ/ブラッククイーン 2024

鴨モモ肉のラグー タリアテッレ Tagliatelle al ragù d'anatra

 ここから料理はご当地の食材へ寄っていく。ジビエの鴨をラグーにして、卵麺のタリアテッレに合わせた一品だ。鴨肉にはオレンジの皮を振り、仕上げにチーズをかけている。運ばれてきた瞬間に香りが立つ。ソースにスパイシーさを合わせたかったという狙いがある。

 合わせるのは、塩尻市のドメーヌ・スリエが造る「ブラッククイーン 2024」。日本の赤ワイン品種の代表格で、黒胡椒のようなスパイシーな香りと、果実の成熟を感じさせる豊かで柔らかなタンニンが持ち味だ。

 鴨肉とオレンジという黄金コンビを味わえるパスタは、口に運ぶとチーズとオレンジが香り、あとから鴨肉の旨みをじんわりと感じることができる。ブラッククイーンは果実感はあるものの甘さは控えめで、コショウのニュアンスがパスタソースのなかにあるスパイス感と共鳴してくれる。

ブラッククイーン 2024(Black Queen 2024)。塩尻市産のブラッククイーンを使う

金目鯛と季節野菜のズッパ・ディ・ペッシェ/洗馬-K4 Blanc merlot 2024

金目鯛と季節野菜のズッパ・ディ・ペッシェ Zuppa di pesce con Kinmedai, vongole e verdure di stagione

 金目鯛、ハマグリ、ドライトマト、舞茸をブイヨンとともに蒸し焼きにした魚料理。仕上げに自家製のハーブオイルを回しかけていただく。オイルにはイタリアンパセリ、鷹の爪、ディル、ローレルが漬け込まれている。

 北イタリアの色が濃いコースのなかで、この一皿だけは魚介がふんだんに入った南の雰囲気になる。ここには意図があり、旅館にはいろいろな客が来るため、考えさせるような料理ではなく、分かりやすくておいしいものを置きたかったという。イタリアンといえばこれ、というイタリア料理の代表的な魚料理を選んだ形だ。

 合わせるのは、塩尻市洗馬のVOTANO WINEが手がける「洗馬-K4 Blanc merlot 2024」。赤ワイン品種のメルローを白ワインの手法で仕上げた無濾過のワインで、液色はわずかにオレンジがかっている。トマトの酸味に合うよう、果実味と酸味で寄せた組み合わせだという。

 自家製ハーブのオイルを回しかけていただくと、魚介の贅沢な旨みが一気に押し寄せ、ミネラルも感じるようなワインがそれを受けとめている。

ズッパは自家製ハーブのオイルを回しかけていただく。イタリアンパセリ、鷹の爪、ディル、ローレルを漬け込んだもの
洗馬-K4 Blanc merlot 2024。メルローを白ワインの手法で仕込んだ無濾過のワイン

牛フィレ肉のアロースト/Domaine KOSEI KATAOKA Harmonie Double 2022

牛フィレ肉のアロースト Filetto di Manzo arrosto

 メインは牛フィレ肉のアロースト。左上に焼きナスのコンディメント、右上にニンニクのピューレを添える。かかっているソースには、ナス、ミョウガ、大根の味噌漬けを合わせた長野県の郷土料理「やたら」の要素を取り入れている。

 ソースには信州味噌も使われている。味噌汁が冷めると上澄みと味噌に分かれるが、あのイメージで上澄みだけをすくってソースに使い、クリアな味わいに仕立てているという。郷土色の出し方が、そのまま料理の軽さにつながっている。

 合わせるのは、塩尻市片丘のドメーヌ・コーセイが造る「KATAOKA Harmonie Double 2022」。自園産のメルローを100%使った無濾過の赤で、メルロー特有の華やかな香りと洗練された味わいが持ち味だ。

 牛フィレ肉はとてもやわらかく、静かに肉の旨みと向き合える。ソースにナス、ミョウガ、大根の味噌漬けが入っていて、コリコリとした食感と香りが不思議なアクセントになっている。ここではメルローが白ではなく赤ワインになって登場する。和牛のフィレ肉には、タンニンしっかりの重戦車カベルネよりも、華やかな香りのメルローがよく合って、肉の繊細なおいしさを塗りつぶさずに教えてくれる。

Domaine KOSEI KATAOKA Harmonie Double 2022。片丘の自園産メルロー100%

リンゴのティラミス

リンゴのティラミス Tiramisù di Mela

 ドルチェはイタリアンの王道「ティラミス」に、信州に来たと感じさせるリンゴを合わせた一品。普通のティラミスは上にココアパウダーを振るが、こちらは削ったホワイトチョコレートをまとわせている。リンゴの甘味と酸味がココアパウダーの苦味と喧嘩してしまうため、ミルキーで甘めのホワイトチョコレートで全体をまとめたという。

 リンゴのみずみずしさとクラシックなティラミスの合わせ技に、「界」ブランドのコンセプトである「王道なのに、あたらしい。」を感じさせてくれた。

朝食は一転して和食に

夕食のイタリアンから一転して、朝食は和食

 朝食も夕食と同じレストランでいただく。この日用意されていたのは和食で、夕食のイタリアンから一転する構成だった。将来的には朝食にも洋食の要素を入れていくこともありえるという。

 献立は、だし巻き玉子、鶏つくねと厚揚げ豆腐、干しえびの卯の花、ひじきの煮物、野沢菜昆布、椎茸真丈、小松菜と厚揚げのおひたし、香の物のこんぶ梅、朴葉蒸し焼き、鮭の味噌漬け、白飯、味噌汁、豆腐、しょうゆ豆、ヨーグルト。小鉢を少しずつ並べる構成で、朝から野菜をちょっとずつたくさん食べることができる。

 朴葉蒸し焼きは固形燃料のコンロにのせて供され、席で温めながら食べられる。信州味噌の香りが立ってきて、夕食のメインで使われていた味噌のソースと、朝食がゆるやかにつながっている。メニューはどれも強い味付けではなく、素材のおいしさをしみじみと感じられる贅沢なものだった。

野菜たっぷりの味噌汁が染み渡る
鶏肉に木の実などを合わせた朴葉蒸し焼き

総支配人に聞く、イタリアン+長野ワインに振り切った理由

界 松本 総支配人 篠﨑隼介氏。ワイン好きで、よくワイナリー巡りもするという

 界 松本 総支配人の篠﨑隼介氏は、「なぜ長野ワインに振り切ったかというと、一番はそんなに大きい旅館ではないからです。外国産や他の地域のワインまで取りそろえたときに、もっと大きなワインセラーや規模感を活用してPRされている方々がいっぱいいらっしゃいましたので」と話す。

 そのうえで、界ブランドがもともと地域にこだわること、小規模な旅館であることを掛け算したときの答えが、地元のワインだけに絞ることだったという。「しっかりと地元のワインだけにこだわるほうが、今後の地域性を伝えていくうえでもいろいろとうまく活用できますし、地域の皆さまの発信地になれる要素にもなる」。提供するワインはすべて日本ワインで、まずは近隣で最もメジャーで歴史のある桔梗ヶ原にこだわり、そこから徐々に広げていく考えだ。

 改装の段階では、レストランのアプローチに壁一面のワインセラーを設ける案も検討したという。ただ、それはどのホテルにもある光景だとして採用しなかった。代わりに、エントランスホールのワインバーを見せ場として作り込み、今後はその場所を使ったアクティビティも考えていくとしている。

 ペアリングのワインは、ソムリエを中心にしたスタッフが100種類ほどを試飲して選んだもの。常時50種類をそろえるが、まだ手を付けていないワイナリーもあり、今後も増やしていく予定だという。

 レストランとワインバーには役割の違いがある。日本ワインには興味があっても長野ワインがどんなものかは分からない、という客が一定数いるためだ。「レストランでまずは長野ワインを知っていただいて、興味を持ったタイミングで、ワインバーでより深く知っていただく。そういった滞在の流れをイメージして構成しています」とのことで、ワインバーには今後なかなか飲めないものも用意していきたいという。

 ワインまわりの体験も準備中だ。同じ銘柄の異なるヴィンテージを飲み比べる垂直試飲など、ワインを掘り下げるアクティビティを構想している。連泊の中日には、サンサンワイナリーへの収穫体験に出かける「手仕事の一時」も選べる。9月から10月ごろの実施を予定しているという。

 食のラインアップも広がる。味わったディナーコースとは別に、ベジタリアン専用のコースもすでに用意されている。リニューアル前のインバウンド比率は年間で20%弱、桜の時期には欧米からの客が4割ほどを占めることもあるといい、そこへ対応できる構えだ。

 連泊のアピールポイントを尋ねると、まず挙がったのが8種13通りの大浴場だった。1日だけでは楽しみきれないという声が多いという。夕食には連泊用のコースも用意され、2日間で別の食体験ができる。ご当地楽「ソノリティコンサート」も演奏家が毎日変わるため、日によって楽器の組み合わせや曲が異なる。

界ブランド初の「NAGANO WINE BAR」

界ブランド初の「NAGANO WINE BAR」。半円形のカウンターは演奏スペースの隣にある

 ロビーに新設されたのが、界ブランドで初となる「NAGANO WINE BAR」だ。緩やかな曲線を描く半円形のカウンターは演奏スペースの隣にあり、どの席からも生演奏を間近に楽しめる。

 提供するのは、松本市と広域連携している「桔梗ヶ原ワインバレー」のワイナリーで醸造されたワインを中心に厳選した地元信州のワイン。桔梗ヶ原ワインバレーは約130年前からワイン醸造を行なってきた産地で、長野県内にワイン文化を根付かせた土地でもある。標高700mの高地がもたらす気候風土を活かした個性を体感できるよう、長野県産から厳選した5銘柄をグラスで用意する。

ご当地楽「ソノリティコンサート」と、松本の「三ガク都」を映すロビー

ディナータイムのあとに開かれるご当地楽「ソノリティコンサート」。演奏家は日によって変わる

 ディナーのあとは、ロビーでご当地楽「ソノリティコンサート」が開かれる。高さ10mの吹き抜け構造を活かした音響効果のある空間で、毎晩開催される。コンサートの冒頭では、使用する木材の種類による音色の特性をスタッフが解説する。ギターの生産が盛んな松本らしい導入だ。

 ロビーは360度どこを見渡しても松本の文化を体感できるデザインになっている。加工前の木や職人の道具、楽器の制作過程を伝える展示のほか、2本のギターが配されている。

 空間には、松本を象徴する「三ガク都」のオブジェも置かれている。北アルプスのふもとで登山や自然との共生文化を育んだ「岳都」、音楽と芸術が日常に溶け込む「楽都」、明治時代に設立された旧開智学校に象徴される「学都」の3つだ。長野ワイン、松本でまり、弦楽器、りんごといった、この街を形づくるものたちが並ぶ。

松本を象徴する「岳都」「楽都」「学都」の三ガク都を表わすオブジェ
「楽都」を象徴するように、ロビーには楽器やレコードも並ぶ

8種13通りの湯めぐりと、湯上がり処

 浅間温泉は、松本城主の御殿湯が設けられていた歴史を持つ。界 松本ではその名湯を引いた内風呂や露天風呂に加えて、身体を優しく温める「ラディアントバス」、檜の芳香が広がる「檜おがくず風呂」、浮力に身を任せる「寝湯」、そしてサウナと、館内にいながら8種13通りの湯浴みを楽しめる。

 湯上がり処では、信州の恵みであるりんごを使った「りんご酢」で水分を補給できる。夕食前にここまでやってから席に着けるのが、温泉旅館でイタリアンを食べることの贅沢さだ。

サウナ、寝湯、檜おがくず風呂など、8種13通りの多彩な湯めぐりを施設内で楽しめる
湯上がり処でほっと一息。りんご酢で水分を補給できる

全室が「GAKUの間」に。1室限定の「GAKUスイート」

1室限定の「GAKUスイート」は約130m2で、リビングスペースに専用のピアノを配している

 客室はすべて、松本が育んできた音楽の「楽」をテーマにしたご当地部屋「GAKUの間」へ生まれ変わった。全室に、ギター塗装の高度な技術を応用した工芸品「松本渓声(けいせい)塗り」のアートと、レコードプレーヤー、スピーカーを備える。館内着のまま部屋でレコードをかけられる旅館は、そう多くない。

 1室限定の「GAKUスイート」はテラスとあわせて約130m2という広さ。客室専用のピアノを配したリビングスペースに加えて、温泉露天風呂、プライベートサウナと専用の水風呂を備える。テラスにはスピーカーとデイベッドが置かれ、外気浴中も音楽に浸れる。

 スタンダードの客室も十分な広さと質感がある。客室数は全29室で、うち19室が露天風呂付きだ。

GAKUスイートにも、そこかしこに音楽の気配がある
GAKUスイートは温泉露天風呂とプライベートサウナも備えている
GAKUスイートの寝室
スタンダードの客室でも十分な広さと質感がある
ルームキーにも信州らしさがある

界 松本

所在地: 長野県松本市浅間温泉1-31-1
TEL: 050-3134-8092(界予約センター)
客室数: 29室(うち露天風呂付き客室19室)
料金: 1泊4万1000円~(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込、夕朝食付)
アクセス: JR松本駅よりクルマで約15分

 温泉に浸かってから浴衣のままイタリアンを食べ、地元のワインを楽しみ、ロビーで生演奏を聴く。書き出してみると欲張りな一日だが、それが館内から一歩も出ずに完結している。旅館の夕食は会席料理という常識を外したことで、松本という街の輪郭がかえってくっきりと出てきた。ワインを目当てに信州へ向かう理由が、また1つ増えたと思う。

空室・料金チェック