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糖質オフ商品の市場拡大を目指すローソン、商品開発の裏側

2021年6月11日 発表

6月15日発売の5商品

 ローソンは6月11日、糖質オフにこだわって開発した新商品についての説明会をオンラインで開催した。個々の商品については別記事を参照いただきたい。

 同社 商品本部 本部長補佐の友永伸宏氏は、直近の1年を振り返り、新型コロナウイルスの感染拡大がコンビニ利用者の気持ちと行動に大きな変化をもたらしたとした上で、外出自粛でストレスがたまるとともに健康意識も高まっていると語った。

 ストレスの解消方法としては「好きなものを食べる」という回答が上位となる一方、コロナ禍で体重の増加を気にする人も多く、さらにGoogleでは6月に「ダイエット」というキーワードが検索のピークを迎えるといったデータに着目。食べても罪悪感の少ない商品の開発に注力したという。

ローソン 商品本部 本部長補佐の友永伸宏氏

 さまざまな健康志向の食品がある中、糖質オフの市場が年々拡大し、糖質を意識する人が増えていることから、同社としては2012年に発売した健康機能性ベーカリー「ブランパン」を皮切りに、さまざまなジャンルの商品を発売してきた。

 友永氏によれば、健康機能性ベーカリーは、当初こそ伸び悩んだものの、2014年ごろから急速に伸び、累計で5.7億個を販売するに至った。コロナ禍においては、ベーカリー全体の売上は横ばいとなったものの、健康機能性ベーカリーは前年比で約4割増(3~5月)となるなど好調を維持しており、今後もこの市場が伸びると見ているという。

 同社では、健康志向の商品を中心に取り扱う「ナチュラルローソン」を首都圏を中心に展開しており、そこで培ったノウハウを活用した商品をレギュラー(通常)のローソンでも順次販売している。

 今回発表された5つの商品については、これまでナチュラルローソンの商品開発を担当した経験のあるスタッフが担当しており、3人の担当者からそれぞれの商品へのこだわりのポイントが紹介された。

商品本部 コンセプト開発部 チーフマーチャンダイザーの田口美里氏
商品本部 コンセプト開発部 マーチャンダイザーの小林愛花氏
商品本部 コンセプト開発部 チーフマーチャンダイザーの村田文子氏

 おにぎり担当の商品本部 コンセプト開発部 チーフマーチャンダイザーの田口美里氏は、「おにぎりはほとんどがお米でできており、お米の量を減らすのが難しかった。減らしすぎると三角形を保てず、いろんなものを混ぜて試行錯誤して開発を進めた」と振り返る。

 調理面担当の商品本部 コンセプト開発部 マーチャンダイザーの小林愛花氏によれば、「ダイエットに悪いとされるラーメンを目一杯食べてほしいと考え、普通の麺と同じ量になるようにした。麺の太さや形状、厚みにもこだわった。切った時にザラつきが出ないようにちょっと薄めにしたりと、何度も試作を繰り返した」という。

 調理パン担当の商品本部 コンセプト開発部 チーフマーチャンダイザーの村田文子氏は、「おいしくなければ続かない。自社アンケートでも野菜と主食になる肉を一緒に食べられるところが調理パンに求められている。ワンハンドのサラダを食べているように仕立てた」としている。

 その後の質疑応答で、友永氏に販売価格について聞いたところ、「価格は非常に大事だという思いでやってきた。お客様に日常で毎日使っていただきたい。機能を持たせていいるので、ちょっと高い値段でもいいのではないかと、社内でも議論になったが、機能を持って非常に買いやすい値段というところに大きな価値がある。いろんな調査でも通常の商品より高いから(購入しにくい)という声もあった。原料メーカーさんとしてもこうした市場を開拓したいという思いがあり、ローソンがそれぐらいやるなら我々も頑張ると、いろいろなご協力をいただいた」と裏側を説明。

 その上で、「ナチュラルローソンのノウハウもたまってきており、闇雲に原料を置き換えるのではなく、必ずしも高い原料と置き換えなくても効果が出るということも分かってきた。高コスト体質から削ぎ落とされて筋肉質になってきている。まだ通常のものより少し高いが、今後も詰めていきたい」とし、さらなる市場拡大に向けてさまざまな検討を重ねていく姿勢を示した。