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京樽、約50品目を全面リニューアル~「鯛茶きん鮨」なども新登場

2021年10月19日 リニューアル

新発売となる、京都・美山荘の中東久人氏が監修した「鯛茶きん鮨」(左)と「胡麻香る 鯛ちらし」(右)

 京樽は10月19日、同社が展開する持ち帰り寿司約50品目について全面リニューアルし、同日より一部を除く全国の店舗で販売を開始した。また、これと同時に京都の老舗料理旅館「野草一味庵 美山荘」の四代目主人、中東久人氏が監修した「鯛茶きん鮨」と「胡麻香る 鯛ちらし」の2商品を新たに発売する。

食べやすいサイズ、生に近い素材の「新しい上方鮨」

 ニューアルしたのは、押し寿司やちらし寿司などのいわゆる上方鮨と、江戸前鮨を含む、京樽で販売している商品約50品目。ネタ、シャリの素材だけでなく、調理工程から温度管理に至るまで、あらゆる部分を見直したとしている。

ニューアルした上方鮨の一部

 なかでも上方鮨は今回の注力分野の1つ。同社 商品本部 商品開発部長の丸山翔氏によれば、「押しすしは上方鮨の典型的、代表的なものだが、昔から形を変えてこなかった」こともあり、特に女性からは「食べ方がわかりにくい」「1セットに多く入っていてお腹がいっぱいになるので、もっといろいろ食べたい」といった声が上がっていたとのこと。

 そのため押し寿司については、一口で食べやすい大きさに変更し、店頭で1個ずつ選んで購入できるようにした。価格も1個あたり100円に設定してお得感を出し、さらにアジ、真鯛などのネタについては、「刺身にできる品質のものを軽く酢にくぐらせるだけ」の「“生”に近い素材」を使用している。

鯵押すし
真鯛押すし
金華鯖押すし
鱒押すし 柚子風味
鰻 押すし
やわらか 穴子押すし
「KYOTO style.」シリーズもリニューアル。写真は「雛菊」(990円)。生に近いネタも楽しめる

 同社 代表取締役社長の石井憲氏は、「今までの伝統は守りつつも、新しい上方鮨を我々が創造していきたい」という強い思いから、これまでの押し寿司にはない発想で商品開発を進めてきたと明かした。

京樽 代表取締役社長 石井憲氏

中東氏が魂を込めた「鯛茶きん鮨」と「胡麻香る 鯛ちらし」

 新登場の「鯛茶きん鮨」(1個300円)と「胡麻香る 鯛ちらし」(890円)は、京都の老舗料理旅館「野草一味庵 美山荘」の四代目主人、中東久人氏が監修した。

「鯛茶きん鮨」と「胡麻香る 鯛ちらし」

 決まった空間、かつ顧客の顔が見えるなかで懐石料理を提供してきた同氏にとって、京樽の持ち帰り寿司は「どんな空間で、どんな人が食べるのか、わからない」領域。そうした未知の商品に挑戦してみたいという興味、そして多様なジャンルの料理を経験してきた自身のなかにある「スピリットみたいなものを、ひと握りに込めたい」という思いで、商品開発に挑んだという。

野草一味庵 美山荘 四代目主人 中東久人氏

 そのうちの1つ、京樽が従来から提供してきた茶きん鮨のラインアップに加わる「鯛茶きん鮨」は、今までの茶きん鮨の「課題」の解決も目指したもの。同氏によれば、さまざまな素材が詰まっている茶きん鮨は、「口に含んだときに、具材、薄焼き卵などが口内調理されて、よりおいしさを感じる」ものであるにもかかわらず、多くの茶きん鮨は1個のサイズが大きく、結局「バラバラにして食べることになっていた」という。

 そこで同氏は、茶きん鮨のおいしさを一口で味わえるようにしたいという考えからサイズを小さめに。そのうえで「ひと口でもっと旨みを味わえるよう」に鯛のアラで取った出汁で米を炊き、寿司飯にするときにもひと工夫。シャリには鯛の身のほか、ごぼう、山椒などを混ぜ合わせた。

 さらに外側から包む薄焼き卵についても、素材調達の観点から大量生産品の卵を採用しながら、黄身と白身の割合の調整を含め「卵本来の味がしっかり感じられるようなレシピ」を考案。最後に味の取りまとめ役になるという木の芽をあしらった。

「鯛茶きん鮨」
具だくさんな食感で、緑の木の芽の華やかな風味がより味わい深くしている

 一方の「胡麻香る 鯛ちらし」は、「新しい鯛ちらし」への挑戦をテーマに開発した。ポイントは酢をわずかに配合したゴマダレを使用していること。関西の鯛茶漬けをヒントにしたもので、鯛の切り身とゴマダレをあわせる形にした。

 ただし、切り身の上からゴマダレを振りかけてしまうと、調理してから時間がたったときに「鯛が水分を吸収してカサついたような、食欲がそそらない見た目になってしまう」ため、切り身の裏にのみ手作業で塗ることにした。よりおいしさを引き立たせるためにスダチを追加し、「野菜としての旨み成分が多い」として知られる三度豆(インゲンマメ)も載せている。

「胡麻香る 鯛ちらし」。見えないところにあるゴマダレとスダチが上品な風味に仕立て上げている

 中東氏は「これで完成とは思っていない。今後も商品をグレードアップさせていきたい」とも語り、さらなる美味しさを追求していくことを約束。2022年に創業90周年の節目を迎える同社の新たな看板商品に育っていくことも期待される。

 石井氏も、創業以来初となるメニューの刷新と新商品の投入をきっかけに、今後「100年、200年とより多くのお客様に愛されるお店」を目指すと述べた。