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サッポログループが目指すサステナビリティ経営。気候変動に適応する大麦・ホップの新品種開発やDX・IT人財育成プログラムなど

「サステナビリティブック2022」発刊

2022年8月3日 開催

サッポログループのサステナビリティ方針を説明

 サッポロホールディングスは、「サッポログループサステナビリティブック 2022」を発刊するにあたり「サステナビリティ方針に関する記者勉強会」を開催した。

 勉強会では、サステナビリティブック2022の中から特に特徴的な取り組みとして、ポッカサッポロのレモンをはじめとしたレモン事業における広島県との取り組み、サッポロビールが取り組む気候変動に適応する大麦・ホップの品種開発について、また、サッポログループ全体の持続的な成長を実現する「DX・IT人財育成プログラム」について紹介された。

サッポロホールディングス株式会社 取締役 松風里栄子氏

 昨今、全ての企業が地球環境や社会の課題に向き合い、持続可能な社会の実現に向けた行動が求められており、企業が果たすべき社会的責任がこれまで以上に重要視されている。

 その中でサッポロホールディングス 取締役の松風里栄子氏は、サッポログループでは「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを」をサステナビリティ方針に掲げ、さまざまな課題の中から取り組みの軸となるサステナビリティ重点課題を「4つの約束」として整理し、バリューチェーン上のさまざまなステークホルダーと協力しながら、持続可能な社会の実現を目指していくと展望を示した。

サッポログループ 経営理念体系
サッポログループ サステナビリティ方針
重点課題と「4つの約束」は、2017年から取り組みを進めている

 また、ポッカサッポロフード&ビバレッジ コーポレート戦略部 副部長の横谷いづみ氏は、ポッカサッポロのサステナビリティ方針を支える要素として「H+ESG」(健康・環境・社会・ガバナンス)を挙げ、同社がサステナビリティ視点で取り組むテーマと方向性について17項目の重要課題を設定し、各テーマに沿って企業活動を展開していくと述べた。

ポッカサッポロのサステナビリティ方針
ポッカサッポロが掲げる17の重要課題

ポッカサッポロのレモンをとおして育む地域共創

ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 オールレモン事業部 国内産地形成グループ グループリーダー 土屋淳一氏

 続いて、ポッカサッポロフード&ビバレッジ オールレモン事業部 国内産地形成グループ グループリーダーの土屋淳一氏が登壇し、国産レモンとポッカサッポロの連携について「国産レモンの生産振興を主目的としてレモンをとおして持続可能な社会をデザインしていく」と語った。

 国産レモンを取り巻く社会環境は、農業就業人口の減少や高齢化による後継者不足、不安定な収入、耕作放棄地の増加などがあり、これらへの対策も含め広島エリアでは2013年よりさまざまな活動を進めてきたという。

 瀬戸内海に位置する離島である大島上島でのレモン栽培を行なっているほか、国産レモンのPRやプロモーション、県立広島大学との「レモン長期観察介入研究」で、日常的にレモンを摂取し健康状態の効果を確認するなどしている。

 このように企業が地域に根差して協力しながら長期的にコミットしていくことは、生産者や地域、社会、企業にとって重要であると同氏は繰り返し強調し、今後も国産レモンの生産振興やレモンのPRを進め、“ポッカサッポロ=レモン”のブランディングやレモンの価値を上げていきたいと述べた。

レモンを通じて持続可能な社会をデザインする
広島県との連携
国産レモンを取り巻く社会環境
大崎上島で行なうレモン栽培
広島エリアの活動
今年で5年目となるレモン長期観察介入研究
広島・大崎上島との地域共創

サッポロビールの気候変動に適応する大麦・ホップの品種開発

サッポロビール株式会社 原料開発研究所 所長 須田成志氏

 次に、サッポロビール 原料開発研究所 所長の須田成志氏が登壇し「気候変動に強い大麦やホップを開発することで、よい原料を安定・継続的に使うことができ美味しいビールができる」とサッポロビールが原料にこだわり続けてきた歴史も含めて説明した。

 サッポロビールは140年以上前から品種改良を行なっており、大麦・ホップの100%道内産化をはじめ、酸化して味が落ちるのを防ぐことができるLOXレス大麦や、ユニークアロマホップの開発・品質普及、海外展開などを行なってきた。

 よい原料を安定的に調達し続ける手段として、環境への対応の優先度が高いとのことで、例えば収穫期直前に雨が当たると「穂発芽」となり麦芽としての価値が失われしまうという。栃木県では2014年に大雨による穂発芽被害が23の市町におよび、被害金額は23億1900万円となった。

 さらに、同氏は気温が上がることで作物の病気が増えるため、病害抵抗性の高い品種開発の優先度も上げていると述べた。

 2030年までに気候変動に強い品種を開発し、2035年までに国内での実用化、2050年までに国内外での実用化を目指すとしている。

サッポロビールの歴史
LOXレス大麦の開発・実用化
ユニークアロマホップの開発
気候変動に強い大麦の開発
2030年までに気候変動に強い大麦の開発を目指す
ビールジョッキ1杯に使う大麦の量
原料からビールをもっと美味しくする

DX人財育成で最終的には企業風土・文化の改革も目指す

サッポロビール株式会社 改革推進部 DX推進グループ グループリーダー 安西政晴氏

 最後に、サッポロビール 改革推進部 DX推進グループ グループリーダーの安西政晴氏が登壇し、サッポログループのDX・IT人財育成について全社員をDX人財化するために環境整備や推進組織体制も強化していくと説明。

 日本のDX・IT人財は圧倒的に不足することは明らかであり、人財育成だけではなく自社ラボの中で研修ができるシステムを作り上げ、育成した人財が活躍できる場の創出も含めて取り組みを進めているとのこと。

 苦労している点として、「グループ全体のDX推進は大がかりになることもあり積極的でない社員もいる中で、それでも突き進めることが必要。DXを推進することで今までの企業風土や・組織文化を変え、より柔軟な強い企業・組織になることを目指している」と語った。

「サッポロ サステナビリティブック」は、毎年発刊しており、サッポロホールディングスWebサイトからダウンロードできる。

サッポログループのDX推進構造
4つの環境整備
DX・IT人財育成の必要性
DX・IT人財育成の全体像
2022年 DX・IT人財育成プログラム
育成スコープ
DX・IT人財キャリアマップ
DX成果創出へのストーリー
今後の人財育成計画
今後目指していく姿