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ドコモ、言葉では表現しにくい味覚を共有できる技術を披露

2024年1月16日 取材

ドコモが味覚を共有できる技術を発表

 NTTドコモは、明治大学総合数理学部 宮下芳明研究室、H2Lと開発した味覚を共有する技術を発表した。

 東京国際フォーラムでは1月17日~18日にかけて、ドコモが開発に取り組んでいる最新のテクノロジーを紹介するプライベートイベント「docomo Open House'24」が開催されるが、同技術はその中で披露される。

 同社では、6G時代を見据え、100Gbps超の高速通信や超低遅延、超多接続といった通信技術をベースにして提供できるさまざまなソリューションの開発に取り組んでおり、これまでにも各種センシングデバイスを活用することで、触覚などを伝達して共有する「人間拡張基盤」を開発・披露してきた。

 今回発表されたのは、その味覚バージョンとなる。

 味の基本となる五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を数値として計測する機器はすでに存在するが、人によって感度が異なり、全く同じ味でもおいしいと感じる人もいれば、まずいと感じる人もいる。

 今回のデモでは、トマトスープの味について、おいしくないという子供が母親にテレビ電話で相談する場面をイメージ。大人はおいしいと感じる味付けのはずだが、どのようにまずく感じるかは個人差がある上、口頭での伝え方も難しい。

相手にあわせて味を的確に伝えられる

 そこで、まずはセンシングデバイスで伝えたい味を分析して数値化。伝えられる側は、事前に自身の味覚についての簡単なアンケートに回答すると、五味それぞれの感じやすさ(味覚の感度)が推定され、伝えたい味をその人が的確に感じられるような五味のバランスを20種類の味覚標準液をブレンドして再現する。

 味そのものを伝えるのではなく、異なる味覚感度を持つ人同士でどう感じたかを共有するという発想が面白く、実際にデモに参加して試してみると、かなり強い酸味がし、「ああ、子供はこう感じているのか」ということを理解できるようになっている。

 ドコモでは、メタバース空間内のバーチャル体験や、映画やアニメのコンテンツでの活用が期待でき、作者が伝えたい味をコンテンツに付加することで、よりリッチなコンテンツ提供が実現できる、としており、今後は嗅覚の開発にも取り組む意向だ。