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アサヒグループ食品2024年事業方針、“多刀流”で食と健康の課題解決に取り組む

2024年1月25日 発表

(左から)コンシューマ事業本部 マーケティング三部長の大髙聡子氏、代表取締役社長の川原浩氏、食品原料事業本部長の林和弘氏

 アサヒグループ食品は1月25日、2024年の事業方針説明会を開催し、代表取締役社長の川原浩氏らが説明を行なった。

 川原氏は、2023年を振り返り、「コロナ禍から着実な回復、成長を遂げている。主要ブランドを中心に売上・利益ともに好調に推移している」と評価。中でもミンティアについては出荷金額ベースの前年比で123%と目立っており、「新型コロナの5類移行で再び外出が増え、エチケットニーズに再注目していただけた1年。V字回復の途上」と紹介した。

 2024年については、“多刀流”でさまざまな価値を届け、今と未来の食と健康の課題解決に挑戦することを事業方針に掲げる。

 指定医療部外品やサプリメントといった商品群で“からだの健やかさ”に貢献しつつ、ミンティアではエチケットやリフレッシュといった側面で“心の健やかさ”をサポート。3月4日に「ミンティア クリアプラス ペパーミント」、4月1日に「ミンティアブリーズ レモンライムドレス」を発売する。

 子育てや介護に関する情報発信を行ないながら、共働き世帯や単身世帯、在宅介護といった多様な家庭環境に対応するため、ベビーフードやフリーズドライ、介護食といった商品を販売することで、ゆとりのある生活を支える。

 また、ビール醸造に取り組むなかで見出された酵母や発酵技術、カルピス由来の乳酸菌研究で培われた技術を応用した酵母素材や乳酸菌素材を社内商品で活用したり、外販したりすることにも積極的に取り組んでいく。

 主要ブランドの目標(出荷金額ベース)は、ミンティアが前年比104%、アマノフーズが102%、1本満足バーが104%、Dear-Naturaが102%、和光堂が105%、バランス献立が92%に設定されている。

 続いて登壇したコンシューマ事業本部 マーケティング三部長の大髙聡子氏は、3月4日に発売する「LaLafem(ララフェム)」と「みんなのココア」について紹介した。

LaLafem(ララフェム)
みんなのココア

 同氏によれば、40~50代女性の“ゆらぎ”に着目し、体や心の変化を感じつつも対処法が分からないとする声や、なかなか職場や家庭で理解が得られないという状況に向き合い、こうした女性に寄り添いたいとの思いから誕生したのが同商品だと語る。

 商品としては、大豆イソフラボンや乳酸菌CP2305などが配合されており、リラックスできる味と香りで“ゆらぎ”の時期を楽に過ごせるようにする工夫されている。60粒(30日分)が入った粒タイプの商品と、7本入りのゼリータイプの商品が用意される。

 また、健康の維持に役立つサプリメントとしては「Dear-Natura」シリーズを販売しているが、30~40代の子育て世代は、自分の健康は二の次にしがちで、子供の栄養バランスに悩みながら、サプリメントの摂取を継続できなかったり、サプリメント自体に抵抗感を感じていたりすることが多いとして、親子でおいしく飲める健康粉末飲料を開発。Dear-Naturaシリーズから「みんなのココア」として発売するに至ったという。

 カルシウムや鉄、ビタミンDといった栄養に加え、ガラクトオリゴ糖、酵母細胞壁末、有胞子性乳酸菌などが配合されており、牛乳と混ぜて飲むことで栄養習慣の継続につながるとされている。

 このほか、同社では女性の月経に関する機能性を訴求する日本初とされる機能性表示食品「わたしプロローグ」を1月25日に発売しており、こうした領域にも積極的に挑戦していく。

 最後に登壇した食品原料事業本部長の林和弘氏は、酵母エキス事業について説明した。

 そもそも酵母は醗酵に欠かせない存在で、同社ではビールを作る過程で副産物として出てくるビール酵母の用途開発という視点で開発に取り組んできた。酵母の核となる酵母エキスには、グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸といった旨味成分が含まれており、ラーメンやスープ、カレー、だし汁、レトルト食品といった食品に旨みやコクを付与できる素材として活用できるとして、同社では1966年から酵母エキスの製造を行なっている。

 近年は海外でプラントベースフードの需要が高まっているが、これに肉感を加えられるのが酵母エキスということで、市場が急拡大。こうした需要拡大に対応するため、同社ではビールを作らずに酵母エキス用の酵母を増殖させる培養酵母による酵母エキス製造に着手。

 アサヒグループ食品では2022年~2025年にかけて25億円、アサヒビールでは2022年~2024年にかけて19億円の設備投資を行ない、アサヒビール茨城工場で酵母を培養し、アサヒグループ食品栃木小金井向上で酵母エキスを製造する体制を整える。これにより、2026年時点での酵母エキスの製造量はこれまでの1.5倍の約5700tになる見込み。

 林氏によれば、培養酵母はエキスに含まれる栄養素をコントロールできることから、さまざまなタイプの酵母エキスの製造が可能で、ビールのおいしさを追求した結果として生み出された酵母とは異なる特性を追求できる。酵母エキスを包む酵母細胞壁も食物繊維やたんぱく質が多く含まれており、将来のたんぱく質不足や健康食品への活用も期待できるとしている。