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サントリー、国内ジン市場拡大を目指して大阪工場に55億円を投資

平野紫耀が新CMキャラクターに

2024年2月7日 発表

「翠(SUI)」と「ROKU(六)」

 サントリーは2月7日、ジンに関する戦略説明会を開催し、執行役員 RLS事業部長の塚原大輔氏が説明を行なった。

 塚原氏は、「国内のジン市場はこの6年間で1.9倍の伸長を見せている。とくに国産ジンの伸長が著しく、構成比で6割を超えている。もはやジンは単なる外国の酒ではなくなりつつある」とした上で、グローバルではウイスキーの約16%の市場規模があるのに対し、国内では約4%に過ぎないことから、国内市場がさらに伸びていくポテンシャルがあると指摘する。

執行役員 RLS事業部長の塚原大輔氏

 同社では、2017年にプレミアムの「ROKU(六)」、2020年にスタンダードの「翠(SUI)」を発売し、それまで100億円に満たなかった国内のジン市場を牽引してきたが、塚原氏は、2022年の200億円規模から、2030年には450億円規模まで拡大していきたいと語る。

 これを実現するため、ジンの生産拠点となっているサントリー大阪工場に2025年にかけて55億円の設備投資を実施。新たにスピリッツ・リキュール工房を建設するとともに、浸漬タンク5基を新設したり、蒸留釜4基を更新したりすることで、生産能力を約2.6倍に増強するとしている。

 ROKUについては、統合10周年を迎えるビーム社と共同開発した初のグローバルブランドで、商品名の由来ともなっている桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子の6種の和素材で日本の四季を表現しているが、グローバルでは高価格帯のジンにおいて3位のポジションを獲得するまでに成長している。塚原氏は「将来的に世界ナンバーワンを目指していきたい」とした上で、国内でもマーケティングを強化していく方針を明らかにした。

 国内では「旬を味わえる贅沢なジン」をコンセプトに掲げ、ROKUブランド初となる限定品「ROKU〈六〉SAKURA BLOOM EDITION」を2月20日に数量限定で発売する。ROKUの和素材由来の味わいをベースに、複数の桜花・桜葉の原料酒をブレンドすることで、桜餅のような上品で甘い香りや、豊かに桜を感じられる味わいを表現したという。EC・業務用での展開となり、価格は5000円(税別)程度になる見込み。

ROKU〈六〉SAKURA BLOOM EDITION

 翠については、それまでバーで飲む馴染みの薄い酒といったイメージを払拭するため、“居酒屋メシに翠ジンソーダ”という切り口で、リーズナブルな価格で気軽に飲めることをアピールしてきたが、2020年に12億円だった販売金額は、缶で販売している翠ジンソーダとあわせ、2023年には116億円に到達。

 そんな中、翠ジンソーダ缶を昨年12月にリニューアル。非加熱製法を採用することで、柚子などのボタニカルの香りをさらに感じられるように改良。原料の配合を見直して無糖にリニューアルすることで、後口のキレを演出し、より食事にあう味わいを目指したという。

 こうした勢いを加速していくため、2月10日から新たなCMキャラクターに平野紫耀を起用。「いと清々し。翠ジンソーダ」というメッセージを伝えていく。

 今回の発表会後半には平野紫耀も登場。「中華と一緒に飲んでみた。いつも大盛りで来る中華料理屋さんで、普段は食べきれないが、後味が爽やかで、香りもすっきりして、毎回リフレッシュされるような味で、完食できた。いろんな料理とあわせて、どんな料理とあうのか探してみてほしい」とアピールしていた。

平野紫耀

 同社では、2024年の販売計画について、前年比135%の165億円を目標に掲げており、塚原氏は「大変意欲的な計画。簡単な挑戦ではないと理解しているが、創業者のDNAである“やってみなはれ精神”で、日本のお客さまにジンの魅力を知っていただき、ファンになっていただくということを強く思い、この挑戦に向かって邁進していきたい」としている。