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キリンが「氷結 mottainai」プロジェクト立ち上げ、第1弾は横浜のブランド梨

2024年5月7日 発売

キリン 氷結 mottainai 浜なし(期間限定)

 キリンビールは、「キリン 氷結 mottainai 浜なし(期間限定)」を5月7日に発売する。

 同商品は、規格の問題で廃棄される果実を用いる「氷結 mottainai プロジェクト」の第1弾として発売されるもの。フードロスの削減に取り組むとともに、商品の売上1本につき1円を生産者に寄付することで、果実農家の支援にも取り組む。

 第1弾となる浜なしは、木の上で完熟させる横浜のブランド梨。果汁が豊富で、甘くみずみずしいといった特徴を引き出しつつ、約2万2000個分のロス削減につなげる。販売数量としては、約18万ケース(350ml換算)となる予定で、浜なし農家への支援は約400万円になることが見込まれる。

 アルコール度数は5%で、パッケージは350ml缶と500ml缶の2種類。パッケージには、同プロジェクトの取り組みを紹介する特設サイトにアクセスできる二次元コードも用意されている。

 4月15日に開催された発表会では、執行役員 マーケティング部長の今村恵三氏やマーケティング部 氷結ブランドマネージャーの加藤麻里子氏らが登壇し、プロジェクト立ち上げの背景を説明した。

執行役員 マーケティング部長の今村恵三氏
マーケティング部 氷結ブランドマネージャーの加藤麻里子氏

 今村氏は、同社がCSV(Creating Shared Value)経営を掲げ、健康、コミュニティ、環境といった軸を設けて社会課題の解決に取り組んできたことを紹介。氷結ブランドにおいては、2001年の誕生以来、約100種類の果物を使用し、約500商品を展開してきており、「20年以上商品をお客さまに商品を届けられたのは、ブランドにとって欠かせない果物を育ててくださる農家の皆さまの存在があってこそ。農家に支えられているブランド」だとした上で、RTD市場において社会貢献できるチューハイという新たな価値提案を行なうことで市場拡大を目指すという方向性を示した。

 加藤氏は、「果実に根ざしたチューハイ作りの中で、果実農家さんが直面しているさまざまな課題を知った。中でも驚いたのは、味がおいしいのに規格の問題で青果販売できず、加工品にもできない、廃棄されてしまう果実のフードロス、つまりもったいない果実の存在があることだった」と振り返る。

 同社では、4月2日に発売したスタンダードビールの新商品「キリンビール 晴れ風」においても、桜や花火といった日本の風物詩を残していく活動に取り組む自治体への寄附を商品設計に盛り込んでいるが、今回のプロジェクトにおいても、商品を購入することで消費者がこうした社会課題の解決に影響力を及ぼし、活動に参加できる仕掛けになっている。

 同氏によれば、商品化にあたってはブロックチェーン技術を活用してサプライチェーンの信頼性を可視化する取り組みも行なわれており、今後は消費者がトレーサビリティを確認したりできるようなことや、他の商品への展開を図っていくことも検討していくとのこと。

 なお、第2弾については、年内の提供を目標に検討を進めているとしている。

 発表会では、生産農家やJA横浜の担当者も登壇し、浜なしの特徴なども紹介された。浜なしは、品種としては主に幸水となるが、木の上で完熟させてから収穫するのが最大の特徴とされる。その日の朝に収穫したものをその日のうちに直売する形が一般的で、それ以外では見かけることが少ないことから、幻の梨とも言われるという。

木の上で完熟させてから収穫される浜なし

 一方で、気象条件によって、果肉の一部が半透明になり、シャキシャキとした食感が失われてしまう“みつ症”が発生することもあり、菓子メーカーなどと協力して加工品の商品開発を行なうなどしてきたが、それでも廃棄されるものが年間で約19トン(約6万個)にもなっていた。

青果として出荷される浜なし
“みつ症”が発生した浜なし

 できあがった今回の商品を飲んだ生産農家は、「まず浜なしだと思った」「缶をあけたときの香りがいい」と、浜なしの特徴が商品に反映されていることに感心。キリンの開発陣は、「よく冷やして飲んでほしい。氷を入れたグラスに注いで飲むのもオススメ。ジューシーな浜なしの香りを楽しんで」とアドバイスしていた。