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ファミマ、7年ぶりにコーヒーマシンをリニューアル

豆の挽き方と抽出方法のブラッシュアップでバリスタの味へ

2025年6月2日 発表
商品本部 FF副部長の鍵浦信氏(左)とバリスタの粕谷哲氏(右)

 ファミリーマートは、「FAMIMA CAFÉ」のコーヒーマシンをリニューアルし、6月2日から順次店舗に導入していく。

 今回のリニューアルは約7年ぶり。従来のマシンを導入した2018年当時からは、コーヒー市場を取り巻く環境が大きく変化してきており、市場拡大に伴って高品質な豆が手に入りやすくなったり、飲み方が多様化したりして、嗜好品としての好みの幅が広がってきている。こうした多様なニーズに対応するための改良が図られている。

 従来のマシンでは豆の挽き方が1段階のみだったが、新たにモータードライブを搭載した“挽き方調整グラインダー”を搭載し、9段階に挽き分けることが可能になった。これにより、濃いめ、レギュラー、軽めといった表現ができるようになり、ブレンドやカフェラテといった種類の違いでも粒度を細かく調整することで狙った味わいを実現している。

 また、抽出においては、バリスタのハンドドリップを再現。豆から均一にコーヒーを抽出できるように、お湯のかけ方や撹拌方法が改良されている。

従来のマシン(右)との比較。ボタンが廃止され、スッキリとしたデザインになっている

 ユーザーインターフェイスとしては、ボタン選択型からタッチパネル型に変更。従来のボタン型ではボタンの数の制約から16種類のメニューしか提供できなかったが、カスタマイズの自由度が増し、34種類(当初)へと大幅なバリエーション拡大が可能になっている。同社では、マシン周りの紙販促物の削減や店舗オペレーションの削減にも繋がるとしている。

 今回の新マシンも、世界的なバリスタの粕谷哲氏との共同開発となっている。同氏は「今までのコーヒーも制約の中で最大限のパフォーマンスを出してきたが、やっぱりどうしてもハード面の課題があった。2~3年かけてこういう機能が付いていたら、僕がお店でやっているような味を提供できるので付けてほしいというようなことをいろいろ言わせてもらった」と振り返る。

粕谷哲氏

 粕谷氏によれば、今回のポイントは、「豆の挽き目」と「均一な抽出」の2つ。同氏は「この豆に対してはこの挽き目がいいというような調整をしたり、お客さまによっては濃いめが好き、薄めが好きという要望をいただいたときに挽き目を調整したものを提供するというようなことをしている」と、豆の挽き方の重要性を説明する。

 同氏のリクエストで搭載されたコンビニ業界初の機能とされ、「僕らがお店で普段やっていることをコンビニでも実現できる、かなり画期的な機能。本当にこれが搭載されるとは思ってなかったので、これから豆にあわせてだったりとか、飲み方にあわせて、もしくは季節にあわせて挽き目を調整して最適なレシピが作れる」とのこと。

 もう1つのポイントとなる抽出方法については、チャンバーの形状を2段式のくびれ型からストレート型に変更するとともに、注湯をストレート(一口)式からシャワー式に変更。さらに撹拌用と抽出用の2つのポンプを搭載し、レンジの幅を1.2倍にすることでレシピに多様性を持たせている。

挽き方調整グラインダー搭載でメニューごとの最適な「豆の挽き目」を追求
「均一な抽出」を行なうなめに3つの新機構を採用

 商品本部 FF副部長の鍵浦信氏は、粕谷氏との共同開発をスタートしてから累計で約17億3000万杯を販売し、昨年には過去最高の売上を記録したことを紹介。直近のコーヒー市場の動向について、2025年は2023年比で102.4%に伸長すると見込んでいるが、コーヒーを飲む目的が従来の眠気を覚ます、ここ一番に集中するためといったニーズから、リラックスやリフレッシュといったオフの部分へと移行していると指摘する。

 同社では、7年ぶりに新マシンを導入することで、その時の気分で飲みたいものを選べるようにし、手軽に専門店品質で提供することを目指していく方針で、夏場に人気のフラッペも含め、さまざまな切り口の商品開発につなげていく意向。例えば、このパンにはこの飲み方がオススメなど、店内で購入できる商品とのペアリングの提案も行なっていきたいとしている。

 新マシンは大阪・関西万博店と都内の店舗から設置を開始。2026年5月をめどに全国への設置が完了する予定。

 さっそく新マシンで淹れられたブレンドコーヒーを試飲してみたが、「軽め」は雑味がなく、後味もすっきりした印象で、「濃いめ」はコーヒーならではの苦味をしっかりと楽しめる印象だ。

 また、カフェラテについては、「レギュラー」のほか、「ミルクリッチ」と「コーヒーリッチ」が選択可能になっているが、その名の通り、ミルクリッチでは濃厚なミルクの甘さ、コーヒーリッチではよりコーヒーの風味を感じられるように調整されていることが分かる。

写真では違いが全く分からないので、ご自身の舌と鼻で違いを確認していただきたい