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キリンビール担当者が語る「夏のウイスキーの楽しみ方」
2021年7月20日 19:24
- 2021年7月20日 開催
キリンビールは7月20日、「夏に向けたウイスキーの楽しみ方」と題し、報道関係者向けのオンラインセミナーを開催した。
セミナーの前半では、同社 事業創造部 主査の根岸修一氏から「ジャパニーズ・ウイスキー」の定義や同社のウイスキーの特徴が説明された。
同氏によれば、近年の国内のウイスキー市場は、堅調に推移していたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、居酒屋やレストランがダメージを受けた。一方で、家飲みは堅調に推移しており、新型コロナの影響がなければ、右肩上がりの伸びが継続していたはずだという。
また、海外向けの輸出についても、前年比30%増と、酒類の中でも最も勢いがあるのがウイスキーだとする。しかし、こうした日本のウイスキーの人気を半ば悪用するような形で、本来はウイスキーとは呼べないような焼酎などを海外でジャパニーズ・ウイスキーと称して販売する事例も確認されたことから、日本洋酒酒造組合でジャパニーズ・ウイスキーを定義し、基準を設けるに至った。
ジャパニーズ・ウイスキーと認められるには、いくつかの要件を満たす必要があるが、最も重要なのは原材料。麦芽や穀類などは海外産でも構わないが、水については日本で採取されたものを使用する必要がある。また、糖化、発酵、蒸留といった製造工程は日本国内の蒸留所で行なわれる必要がある。この基準は、2021年4月1日に施行(2024年3月31日までの3年は経過措置期間)され、順次これをうたう商品が販売される。
同社のウイスキーについても、「富士」はジャパニーズ・ウイスキーに該当するが、「陸」「富士山麓」については海外原酒などを使用することから“国産ウイスキー”という表記となり、区別して販売されることになっている。
ただ、同社のウイスキーは、いずれも富士御殿場蒸溜所で製造されており、その味わいについては、いずれの商品にも自信を持っているという。
同氏は、米国のシーグラムと英国のシーバス・ブラザーズとの合弁で1972年に立ち上がったキリン・シーグラムの存在が、その後の同社の洋酒事業の源流だとした上で、スコットランド、カナダ、米国といった世界の蒸留技術を1か所に集約し、モルトとグレーンの両方を製造する世界的にも珍しい蒸溜所になっていると語る。
今回のセミナーでは、ジャパニーズ・ウイスキーの代表として「富士」、国産ウイスキーの代表として「陸」の夏向けの楽しみ方が、マーケティング部 商品開発研究所 中味開発グループ チーフブレンダーの鬼頭英明氏から紹介された。
「富士」については、場面場面によって異なる印象の香りを感じられるのが特徴。グラスに注いだ時には、熟れたメロンのような香りがするが、しばらく置いておくと、それが無くなり、繊細で複雑なウイスキー本来の香りが立ち上がってくるという。
鬼頭氏は、バニラのような、カスタードクリームのような香り、洋梨やマーマレードのような香り、シナモン、焼き菓子……、とさまざまな食材の香りを例に挙げ、富士の香りを表現しつつも、「ウイスキーの表現に正解は無い。感じるままに楽しんで」とアドバイスする。
その後、同氏は少しだけ水を入れて香りをかぐことを提案。これによりウイスキーの香りが爆発し、白ぶどうのような香りが体験できると述べた。
味の特徴については、サラッとしたスコッチのグレーンとは異なり、グレーン自体が主役になるような味で、甘くやわらかいが、独特のコクと厚みがあると表現。香りが強いチョコレートと一緒に楽しんでほしいとしている。
一方の「陸」については、ロックでもハイボールでも、どんなアレンジでもおいしく飲めるのが特徴だと語る。とりわけ、ハイボールについては、「やっぱり夏はこれ。炭酸と陸が一緒になることで、樽由来のボディ感が出て、飲んだ時にグッと来る。止まらなくなる」とする。
ハイボールに合う食べ物の例としては、餃子やフライドチキンなどの油気があって味がしっかりしたものや、サバの味噌煮やきんぴらごぼうを提案。ポテトチップスでは、うすしおよりコンソメ、ミックスナッツなら塩味がオススメだという。また、ライムやすだちなどの青い柑橘類を絞って入れるアレンジも、オススメとのこと。
さらに同氏は、薄切りのキュウリを使った「キューカンバーハイボール」や、薄切りの生姜と砂糖を使った「陸ジンジャージュレップ」といった、夏向けのアレンジを提案。「陸は、いろんなものと合わせやすい、単独でもおいしい、という味にこだわって作った。冬はお湯割りでもいい。お茶やジュースで割ってもおいしい」と、さまざまなアレンジに挑戦してほしいとアピールした。