ニュース

キリン、シングルモルトの「富士」を5月16日発売

3000本限定の富士御殿場蒸溜所50周年記念商品も登場

2023年3月13日 発表

「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」(左上)

 キリンビールは、「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」を5月16日に発売する。富士御殿場蒸溜所の50周年を記念した「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」も5月23日に数量限定で発売となる。

 3月13日に都内で開催された発表会では、代表取締役社長の堀口英樹氏と事業創造部 主務の原田崇氏が同商品をはじめとする2023年のウイスキー事業計画を発表した。

 堀口氏は2022年の同社の国産ウイスキー販売実績(金額ベース)が前年比57%増の約40億円だったことを紹介。昨年4月にリニューアル発売した「陸」は、出荷実績が前年の約2倍と国内市場で大きく伸びたのに対し、「富士」については国内向けが約1.4倍、海外向けが約3倍に伸長したという。

代表取締役社長の堀口英樹氏

 同氏は、2021年4月に日本洋酒酒造組合が「ジャパニーズウイスキー」の定義を設定したこともあり、国内外で国産ウイスキーへの注目度が高まり、直近では円安などの影響もあり、海外輸出を増やしていく好機だとし、「富士」のグローバル展開を加速させる方針を示した。

 同社では、2021年に約4億円だった同ブランドを2030年に40億円規模に成長させ、このうち海外市場で35億円を獲得することを目指す。2023年には主に米国とヨーロッパでの販売を強化し、順次、中国をはじめとするアジア・オセアニア地域での販売を強化していくという。

 一方、そうした近年の人気の高まりによって原酒不足が発生していることから、同社では富士御殿場蒸溜所に約80億円の投資を行ない、その生産設備が2021年から稼働している。堀口氏によれば、実際にその成果が商品として目に見えるようになるのは数年後で、しばらくはどうにか原酒をやりくりしていく必要があるとのこと。

 2023年については、国産ウイスキーの販売目標を前年比8%増の約43億円に設定。内訳としては、国内においては「陸」で前年比52%増の23億円、「富士」で前年比4%増の3.5億円、海外向けでは前年比5%増の4.7億円を目指すとしている。

 続いて登壇した原田氏は、「陸」と「富士」に関する直近の動向と今後の具体的な取り組みについて語った。

事業創造部 主務の原田崇氏

「陸」については、2022年のリニューアルを機に出荷実績が前年の約2倍になっており、この傾向が2023年に入っても続いているという。リニューアルによって認知も進んだが、同氏はまだまだ改善の余地があるとして、パッケージに富士御殿場蒸溜所のロゴを掲出するなどの施策を通じて品質面でのイメージアップを図ることを紹介。さらに、独自の香りや味わいをアピールするプロモーションやサンプリングを展開していくとしている。

「富士」については、2020年に発売されてから3年間で売上が10倍に伸びているものの、「陸」に比べると認知率は低い状態であることが課題になっている。インターナショナル・スピリッツ・チャレンジで3年連続でGOLDを受賞するなど、海外での評価が高いことから、海外での拡販を狙っていく。もちろん、国内でも「富士」は販売されるが、同社が見込む今後の伸長の大部分は海外向けでの達成を見込んでいるという。

 また、同社としては、蒸溜所のある御殿場市との協力関係も強化していく。5月下旬には蒸溜所で約50年にわたって使われてきたポットスチルを御殿場駅に設置するほか、5月下旬に御殿場プレミアム・アウトレットに期間限定ショップをオープンする。

 そんななか、5月16日に発売となるのが「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」で、これまでグレーンウイスキーの形で販売されてきた「富士」がシングルモルトとして登場することになる。多彩なモルト原酒が織りなす果実味があふれる芳醇な味わいが風味の特徴とされており、価格は6600円(700ml)。アルコール度数は46%となっている。

 さらに、蒸溜所の50周年記念として5月23日に3000本限定で発売される「50th Anniversary Edition」については、1973年の操業当時のモルト原酒をはじめ、1970~2010年代のモルト原酒がブレンドされている。長期熟成ならではの香りとともに、繊細なモルトの味わいが楽しめるという。こちらの価格は2万1780円(700ml)。アルコール度数は52%の予定。

 原田氏によれば、「富士」以外にも50周年記念商品を用意しているとのこと。

 なお、今年発売の「陸」と「富士」には、50周年記念ロゴも掲出される。このロゴは同社のウイスキー事業の生い立ちを表わしたものとなっており、米国を象徴する白頭鷲、シーグラム家(カナダ)の紋章であるホワイトホース、スコットランドの紋章のライオン、キリンを意味する大麦とホップがデザインされ、「Peritus et Universum(優れた技術を世界に誇る)」の文字が添えられている。